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「見ることの重奏」東京都写真美術館

2024.8.--.夜

これもサマ―ナイトミュージアムの恩恵。ありが東京都。
どうしても仕事終わりに行くもんだから1晩1展示くらいしか見られない。しかも学校の夏休みは8月中のみだから、7月分のサマ―ナイトは使えないんだ...…でもご安心を。写真美術館は木曜も夜間開館やってるから、他の金曜夜間と被らないで行けちゃう。毎週木曜は写真美術館に行こう。

・見ることについて、もう一回ちゃんと考え直すきっかけになるような、濃ゆい展示だった。そりゃあ院生向けプログラムも組まれる訳だわ。大卒ではあるけど今は専門学生だからな~でも参加してみたかったなぁ!だれでも歓迎ってのもありがたいけど、自分に合った濃密な時間を参加者が得るためには属性の縛りも仕方がないって思っている。

・写真美術館で今やっている展示って、にっぽんの里山と、100階建ての家と、見ることの重奏っていう3本立てだけど、それぞれかなり毛色がちがうけど全部写真技術を使った展示だっていうのが、写真の度量の大きさ、ひいては写真美術館自体の懐の広さを感じられて圧倒しちゃう。特に100階建ての家と見ることの重奏は写真美術館のコレクションをふんだんに使用している。科学館みたいな体験型展示にも対応できるし、美術館的な瞑想体験にも資料を提供できるし、ってのがすごい。写真美術館のコレクションを使用しているから、写真撮影もできる=スマホに記録を残せるってのが大変有難い。自戒も含めて、写真ばっか撮ってんじゃねーよって気持ちになるときもあるけれども(周りの人がそんな気持ちになってしまっているのかもしれないけれども)鑑賞の仕方はそれぞれですしね。私は1周目は写真撮らない。2周目に、気になったのを中心に撮るようにしている。このスタイルが私にとって一番ちょうどよかった。2回、楽しめるし!2周目の、写真撮るって決めてからはそれはそれで見え方が変わる気がする。

・私の「見ること」についての脱線はこのあたりにして。今回の「見ること」について。以前、弟が「僕はアートや芸術が分からない、どれがそうか、そうじゃないかってはっきりしてないじゃん」っていう雑談をしてて、私は「芸術って技術みたいなとこがあると思うんよ、芸も、術も、技の一種じゃないかね。で、アートってカタカナ語を使用するのは、正直よく分かっていないからカタカナにしたんじゃない?だから、分かんないってのはそれはそれで正しいと思うよ。」って。そしたら弟曰く「ふーん。じゃあ天気図とかも見ようによればアートになっても良いわけだよね。」だから私は、「そうね、実際、植物標本の絵が鑑賞目的に美術館で展示されてることもあるし。いいな~って思ったらアート領域にぶん投げても良いんじゃない?」ってことで煙に巻いた。まーた脱線しちゃった。

・てな訳で、最初の方にサイアノタイプの植物標本があって、そんな雑談を思い出した。植物の状態を記録した写真ではあるけれども、全体がブルーで、海中の水草のような、ふんわり浮いた姿の植物で、画面として好き。画面を見た私の情動を確認したから、これは私のアート部門に持ち込んでも差し支えないと判断した。植物学者が見たら、植物に対する感動もあるんじゃないかな、写真技術に対する造詣が深ければサイアノタイプ自体の色味とかにも感動するのかな、って思うから、一枚の画面で人によって、あるいはその人の状況によって見え方が変わるのは何ら不思議ではない。のは、分かるけれども面白いね。ただの一枚の画面でしかないのに。

・同じような感じで、街中の記録として写真を撮ってた人の写真を気に入って、作品として賞玩して自分の写真にも影響してきているような話もあった。時代も様々な作家が並んでいたけれども、緩やかなつながりがあって、その線をゆるゆるとつないで歩いてっていうのも楽しい。みんな微妙に関係があるって、なんだかデスゲームみたいな集まり方だな。でも、そういう展示は、私、大好物でしてよ。ちょっとずつ関係があるから、大きな壁でどかんと障壁を作らないで、なんとなく他の写真を意識できるようなワンルーム構成はとても良かったと思う。

・建築模型の写真は、できれば私もあんな風に撮りたいなって思っていることの最上位みたいな具合だったので、とても参考になった。ふつうに好き。大好き。

ぐじゃぐじゃいろいろ書いてみたところで百聞は一見に如かずだし、一見だってかなり心許ないから百見くらいすればいいと思う。写真撮れるんだからそれ見返せば良いじゃんとか思うけども、そういう撮った写真ですらその時の私の意思みたいなのが反映されているから、それそのものではないんだよなぁ。

にしたって、写真撮れるはずの今回の展示で、なんで記事内に写真が無いまま文字が並んでいるかって?...…そりゃあ、2周する時間が無かったからですよ。たぶんまた行っちゃうだろうなぁ。


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