残像に口紅を

傾いた影がもし
ふたりをひとつにして
古く焼き付いた嘘を
しばらく忘れさせてくれる

ガラス張りの6月
さっき生まれた銀河
泡沫の日々だと
本当は気づいていたのに

深い夜の淵で

白けた街の通り
少し濡れたアスファルト
ささやかな終わりさえ
手のひらをすり抜けてしまう

冷たいまま
遅れる痛みと
踊る君が
眩しすぎて

黄昏時のような世界で
くさぐさ罪咎沁みると
嘯きまた交わって
彼の日を忘れていこう

共犯者とふたりで笑って
遅くまで起きてた夜が
月の頼りない波長で
僕らを色づける

御伽話のような世界で
呼吸と信号を合わせ
酷く滲む目を凝らし
君だけ見ていたよ

共犯者とふたりで笑って
朝日を見たくなかった
目をつぶって言葉と君の
残像に口紅を

いいなと思ったら応援しよう!