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生活における調律のゆらぎを切り取ることはできるのか?

こんにちは。していいシティのこうきです。私たちは現在、まちの中にある調律(Tuned-Untuned)を切り取り可視化していくプロジェクトを、FabCafe Kyotoにて行っています。今回は、自分たちの活動と制作の活動の一部始終を記録していきます。

生活の中に潜む違和感を見つけ、既存の仕組みや価値観に対するアプローチをしたり、新たな捉え方を広げたりする活動を行なっている「していいシティ」。都市に生かされる人々が「していいんだ!」と新たな発見をすることで、自分が好きな手段で都市に介入して生きていける社会を目指しています。

生活における心地の良さが揺れ動く場所

まず、私たちは日々の生活の中でどのように人々が心地よいと感じるか、もしくは心地が悪いと感じるかを可視化するため、その場所と状況、必要な条件など広く様々な人から募集することにしました。

誰でも付箋を貼り付けて議論ができるパネルを設置

このパネルはFabCafe Kyotoにて常時展示されており(2022年4月時点)、興味を持った人がふらりと立ち寄って、付箋に書き込んで貼り付けられるようになっているため、パネルに様々な人の調律の視点が浮き彫りになっていきます。

調律に関する情報が書かれた多くの付箋が貼られる

パネルに貼られた付箋を元に、興味を持ってくれた人々と議論を行いながら調律の兆しを確認していきます。その人がtuned-untunedだと捉えたその瞬間には、その場所の情報に紐付けられた、その人なりの場所の使いこなし方や訪れるタイミングなどが隠されていることが分かってきました。これらの情報をもとに、私たちは実際にその場所に出向いて調律のヒントを追体験してみることにしました。

緩やかな川のせせらぎと自身の調律

曇り空に緩やかな川の流れが心を落ち着かせる

ところ:鴨川沿い
とき:平日の正午ごろ
もの:鴨川の水の流れと川沿いの遊歩道

リサーチを兼ねて外へ出たその日はお昼近くになっており、街は活気に溢れていました。振り返るとその日は、前日に徹夜をしたためか、なんだかペースを取り戻すことが出来ず、まるで何かに急かされるように歩いていました。ところが、鴨川につくとふっと身体がリラックスしたような感覚に襲われました。ゆっくりとした鴨川の水の流れ、雨に濡れた草の香り、河川敷の開放感が私たちに安らぎを与えてくれた気がします。ボーっとする身体には、鴨川の水の流れがとてもマッチするように感じました。

爽やかな光景に突如現れた"小さな地獄"

高架下のネットに発生した奇妙な白濁色の物体

場所:鴨川沿いの五条大橋の下
とき:平日の正午ごろ
もの:白華(コンクリートのつらら)

気持ち良い風に吹かれながら、歩いて行くと橋が見えてきました。高架下に抜ける道を進むと、何だか異様な光景が目に飛び込んできました。そこには、何らかの液体による水滴が滴り落ちることによって、白いつららのようなものが出来ていたのです。後に調べたところ、コンクリートが溶け出し結晶化する白華もしくはエフロレッセンスという現象のようです。橋の耐久性への問題や人に対する有毒な成分などの心配はないものの、全く前提知識のない状態でこの白華に遭遇すると、その不思議な形に驚きと戸惑いを覚えます。見慣れないこの現象が、せっかくリラックスしていた気持ちを不安にさせる、そんな気がしました。

Tuned-Untunedを切り取るための方法

リアルなその瞬間を切り取った"鴨川の要素”

鴨川で発見した調律の兆し。そのtunedやuntunedな状況を記録する一つの方法として「瓶詰め」を実施しました。鴨川の水を汲み上げ、落ちていた白華のかけらを瓶の中に入れ、この場所における調律の要素を閉じ込めました。これにより、自分自身が感じた感覚の輪郭をより明確に、そして鮮明にアーカイブすることが出来るのではないかと考えました。また、写真に収めたその時の光景と、感じたことを文字に起こして、アートブックに記録しました。

状況を写真に、背景を文章に

今後も同じように、各地で要素を閉じ込めるという行為を通して生活における調律の追体験と採集、またアーカイブを実践していきます。作品はFabCafe Kyotoにて実際に展示もしているので、もし気になった方がいらっしゃったら、ぜひお手にとって見てみてください。

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