オール・久石譲・プログラム コンサート
お盆の最中、彩の国さいたま芸術劇場で10月、11月に上演する「ジャパニーズ・ミニマル・ミュージック ~オール・久石譲・プログラム~」のリハーサルを行いました。
初の顔合わせでしたが、非常に素晴らしく充実したリハーサルを行えました。
今回のコンサートは、全て久石譲さん作曲の作品で、前半は「フェルメール&エッシャー」という、オーソドックスな室内楽(ピアノ独奏、ピアノ三重奏、ピアノ五重奏)のために書かれた作品。後半は「ヴィオリストを撃て」という10人編成のバンド的室内楽を演奏するのですが、どちらも本当に素晴らしい曲たちです。
「フェルメール&エッシャー」は、ミニマル曲でありながら久石さんの映画音楽的な美しさに溢れた曲。特に「Sense of the light」という曲はとても美しい曲であり、何かの映画音楽で使われても全く違和感のない曲です。逆に「Encounter」という曲はエッジの効いたミニマルテイストの曲。音源で聴くとひとつの旋律のように聞こえるのですが、生演奏で聴くと5人それぞれが演奏する短いフレーズがパズルのように組み合わさり、とても立体的に聴こえてきます。これはもう鳥肌もの。是非、生演奏で聴いて下さい。
そして今回の目玉、「ヴィオリストを撃て」ですが、これはもう全曲神曲です。殆どの曲が、久石節全開のミニマル曲なんですが、まず聞いて欲しいのが「KIDS RETURAN」。これは北野武の映画でお馴染みの曲なので知っている人も多いと思いますが、疾走感あふれる名曲です。久石さんの公式サイトにも挙げられているので、映画の名シーンを思い出しながら是非聞いてみてください。 これが生演奏となるとめちゃくちゃかっこいいのです。掛け値なしでお勧めできる曲で、北野映画のファンであればこれ一曲聴くだけで満足できると思います。
そしてもう一曲聞いて欲しいのが「DA・MA・SHI・絵」。この曲は久石さん指揮によるオーケストラの演奏会でも度々演奏されている曲ですが、1980年代に書かれた久石さん初期の名曲です。
「DA・MA・SHI・絵」
https://www.youtube.com/watch?v=Lud-yxLaOn8
これがもう、まさにド直球のミニマル曲。身近いフレーズが幾重にも重なりつつ音楽が推進していくのですが、久石さんの音楽の特徴として、音楽の展開が非常に早い!通常ミニマル曲は同じフレーズが延々と続くイメージだと思うのですが、久石さんの曲は同じフレーズが繰り返されているにも関わらず、曲想がどんどん展開していきます。なので全く退屈しないのです。これは第2部で演奏する「ヴィオリストを撃て」全ての曲に言えることで、とてもカラフルなイメージが次々に溢れ出てきますので、息つく暇もなく楽しんで聞いてもらえると思います。
そして最後に言わずと知れた名曲「SUMMER」。北野武の映画「菊次郎の夏」のメインテーマですが、CMなどでもお馴染みの曲です。ピアノ・ソロのバージョンは良く演奏されていると思いますが、今回は室内楽バージョン。このバージョンでは殆ど演奏されたことがないと思いますので、是非聞いて欲しい1曲です。
「SUMMER」
というわけで、プログラムだけを見ると久石ファンであっても知らない曲が多いと思いますが、久石ファンには絶対に楽しんでもらえるプログラムだと自負しています。 リハーサルもめちゃくちゃ良い感じでしたので、本番は絶対に素晴らしいコンサートになると思います。 知られざる久石さんの一面を楽しんで頂けたらと思います。 是非お越しください!劇場でお待ちしております。
<コンサート概要>
ジャパニーズ・ミニマル・ミュージック
~オール・久石譲・プログラム~
10/12(土) 15:00
あいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホール(大阪)
11/10(日) 15:00
彩の国さいたま芸術劇場(埼玉)
■出演■
中川賢一(ピアノ/音楽監督)
石上真由子(ヴァイオリン)
森岡聡(ヴァイオリン)
安達真理(ヴィオラ)
鈴木皓矢(チェロ)
長谷川順子(コントラバス)
大石将紀(サクソフォン)
井上ハルカ(サクソフォン)
畑中明香(パーカッション)
宮本妥子(パーカッション)
■曲目■
<第1部>
揺れ動く不安と夢の球体(for two marimbas)
アルバム『フェルメール&エッシャー』より
Muse-um(for piano)
Circus(for piano trio)
Vertical lateral thinking(for piano trio)
Sense of the light(for piano quintet)
Encounter(for piano quintet)
<第2部>
アルバム『ヴィオリストを撃て』より
794BDH
Kids Return
MKWAJU
LEMORE
TIRA-RIN
DA・MA・SHI・絵
Summer
*第2部はPA(音響拡声装置)を使用した10名編成での演奏になります。
*本公演に久石譲氏は出演いたしません