UberEatsの配達員を1年続けて分かったこと(後編)
◾️はじめに
こんにちは、68連勤→4休み→54連勤(継続中)のシスティナです。
常軌を逸した勤務状況をポストしたところ、たくさんのご心配と労いの言葉をいただいてしまいました。すみません。そしてありがとうございます。
勤務中は仕事を待っている余暇時間も多く、僕は全然元気です。
みんなも絶対頑張っているはずなのに、他の誰かを想えるその気持ちがうれしいです。
僕よりも自転車の方が先に音をあげたことで、無機物にパワハラしていた事実に気付いてしまった稀有な機会となりました。ごめんね、Tb01(機種名)
今回はわくわくドキドキのトラブル編です。張り切って参ります。
◾️トラブル事例
・パンツ一丁で受け取りにくるお客様
たまにヨーロッパのヌード絵画みたいな装いで現れるお客様がいる。
一糸纏わぬ…、いやギリ纏ってはいるけど。そんなものは最終防衛ラインでしかないわけで。
壊れかけのウォールマリアがそこにはあった。
リヴァイとハンジはガンギレしていると思う。
なるべく驚いた様子を表情に出さないように努めているけど、平静を装えているのか自信がない。
純粋な疑問だけど、こういう人達って女性配達員のときはどうしているのだろう…。
・住所不備
住所の入力が不十分で、配達予定地を示すピンが全然関係ない場所を示していることがある。
ピンが墓地に刺さっていたときは幽霊からの依頼かと思った。
急なホラー。シオンタウンのBGMが幻聴で聞こえてくる。このまま置き配したらただの供養だ。
スタ丼の大盛りだったので、かなりがっつり入れたい系の幽霊。
・メッセージでぶちギレお客様
森羅万象にキレ散らかすお客様。
極稀に「全然関係ない方向に向かってるけど!」「遅い!」「本社にクレームつけるぞ?」とキラーマシンにもひけをとらないお怒りの連続攻撃をしかけてくる人がいる。
こういう人には謝罪や説明をしても、「返してるヒマがあったら早くして」と追い討ちをかけてくる傾向があり、救いはない(当社調べ)
Uber側のシステムには「ダブルピック」という依頼方式がある。
受注すると2件同時に配達することになるのだが、どちらから先に配達するかはUberのシステムが効率を加味して自動的にふるため、配達員側では選ぶことができない。
そのため2件目の配達となるお客様から見ると、まるで的外れな場所に立ち寄っているように映ってしまうのだが、全く寄り道などしていない。
っていうかアプリ上に「別の配達を終えた後にお客様へ配達を行います」って表示されてるはずだからちゃんと見て〜〜〜!!!(怒)
・体育会系の営業マン4人組事件
↑に似たケースで、ダブルピックでシーシャバーにマックを届けにいった。
到着する頃に注文者が店の階段から降りてきて、
「遅いわ。もう俺たち店出るからさ。いまさら持ってこられても意味ないのよ。」と1発かまされ、別の男が凄みながら続けてくる。
「なんのためにUber頼んだか分からないから。お兄ちゃんそれ買い取っとけや?なぁ。」と現金を支払わず商品を受取拒否する姿勢を示して、輩みのある4人に囲まれた。自分のUberEats配達員史上初めてのピンチだった。
こういった場合は後からUberサポートに連絡して、支払い頂けなかった旨を伝えれば保証を受けれるので問題はないが、暴力に訴えられたら無傷では済まなかっただろう。僕と電動自転車が無事で本当に良かった。
廃棄のえびフィレオと全身の力が抜けきったポテトを食べながら、僕は強くならなくてはならない。と刃牙みたいなことを思った。
余談だが、翌日にキックボクシングジムに入会した。
・マスターハンド
わずかにドアの隙間から手を伸ばしたかと思うと無言で料理を奪っていく。
マスターハンドがあらわれた!!!
最初はびっくりしたけど、やりとりが最小限で済んで効率がいいから個人的にはあまり気にならない。
・店主がごきげんすぎる(言葉を選んだ)
個人店に多いけど、10年来のツレくらいのタメ口を使ってくる。
食堂のおばちゃんのような優しさや面倒見のよさがベースにあるタメ口は愛嬌だけど、タクシー運転手や医者のタメ口はコミュニケーション上の立場を優位に保ちたい半マウントだと思っているので(偏見)、そういったお店からの依頼は控えることにしている。
受けてしまうと万が一、欠品などのトラブルが起きた際に解決が面倒というリスクがあり、これをどうとらえるか…配達員でも意見の分かれるところ。
そしてワンオペなことも多く、すごく待たされる。
駐禁切られたりするのでバイク勢は気をつけて。
◾️?な事例
・犬?
オートロックのインターホンを押したら、犬の鳴き声だけがフロントに響き渡った。
もしかしてグルメ犬からの配達依頼だった…?(いきなりステーキ)
・波状攻撃
公園のそばの道を通っていたら保育園児たちが大量にシャボン玉を生成していて、あっという間に泡に取り囲まれてしまった。
なおも生み出されるシャボン玉が風に流れて僕を追跡してくる、そんな昼下がりがあった。
・優しいおばさま
夏の暑い日の配達。お客様に商品を手渡したあとに品のあるおばさまが「暑い中ご苦労様ね。これよかったら飲んでね」とウィダーと聖書を渡された。
ウィダーと聖書…!?
◾️つらいこと
・壊れると働けなくなるものが多い
電動自転車、自転車のバッテリー、スマホ、Uberバッグ、ワイヤレスイヤホン(+自身の体調)
どれもUberEatsをする上での必需品で、弱点となるアキレス腱。
長い時間酷使するものなので消耗も早く、値が張ったり、注文して届くまでに時間がかかるものも多い。
もしこれらが壊れた場合、有給が存在しないUberEats配達員は、「稼働できなくなることによる収入減」「修理や新調による出費」のダブルパンチを受けることになる。
こういったイレギュラーに対して金銭的に備えたり、可能なものに関しては予備を用意しておかないと「働けば買えるのに、道具がないから働けない」という悔しい詰み方をする。
僕の場合、特別に厚意をもって応援してくれたリスナーがいなかったら4んでいた月があった。
みんなは命の恩人です。本当にありがとう。
・夏場
夏場はUberEats繁忙期なので配達員はとても嬉しい。
心なしかすれ違う同業も多いように感じる。
ただ、とにかく野外を動き回る仕事なので、汗が止まらない…。
1日8時間以上稼働すると、間でシャワーを複数回浴びないとかなりしんどい。
・クソ客
「遅いよ」と文句を言う客。
わずかに扉を開けて無言で料理を奪いとっていく客。
置き配設定になっていないのに「置き配で頼んでるのになんでインターホン鳴らすの?」と怒る客。
住所不備で配達先が日本海になっている客。
配達先に着く直前で「あ、これ引越前の住所だった。本当はこっちね」と悪びれもなく4km先の住所をメッセージしてきた客。(←この者にだけは然るべき報いを与えた)
配達回数2800↑最上位ランクドライバーの僕は今までに数々のクソ客と出会い、ときに戦ってきた。
聞いてる方には意外に思われるかもしれないけど、クソ客は実はそこまでしんどくない。
なぜなら、UberEatsはサポートが迅速で手厚いからだ。
トラブルが起きたときにはUberサポートに連絡すると、すぐにオペレーターが間に入ってお客様に連絡して対応してもらえる。
おそらく大抵の場合は返金対応でカタがついている。
Uber本社がおおらかな返金対応をしても大丈夫な理由として、ドライバーを直接雇用しないことによる人件費の削減と、加盟店から受け取るロイヤリティ、利用者から受け取る配達手数料による資本力がある。
そのおかげでドライバーは守られ、安心して配達することができる。
他のフードデリバリーはどんな感じなんだろう。
【遅いと文句を言う客】
このフードデリバリーに必ずといっていいほどつきまとうトラブル。
実はこの問題、UberEats側のシステムも複雑に関わっており、お客様と配達員の間にある認識の違いがトラブルを生んでいることが多い。
まず前提として、UberEats配達員の移動は「歩き、自転車、バイク、車」に分かれている。
どの配達員に依頼がとぶかは配達員の現在地から配達先までの距離によって傾向はあるが、車やバイクの配達員が見つからなければ自転車のドライバーに長距離の依頼がわたることもある。
ピーク時や悪天候で店側がパンクしているときはそもそも料理の提供が間に合わないこともあり、配達時間がめちゃめちゃ遅れる。
実際にバーチャル原宿のマックで40分待たされたこともある。
そしてUberEats配達員には「キャンセル」というシステムがある。
文字通りキャンセルは一度は依頼を受けたものの、さまざまな理由でとりやめるというもの。
「誤操作で依頼を受けてしまった」「店の待ち時間が長すぎる」「商品が持っているバッグに収納できなかった」「事故に巻き込まれた」「体調が悪くなった」などなど。
キャンセルされた場合、新たに配達員を検索してマッチングを行うのだが、近くに配達員がいないと時間がかかってしまう。
これらの要素がからみあうと、「なんでこんなに配達が遅いんだ…」とお客様が空腹とイラだちを募らせることになる。
さんざんキャンセルされた上で、そんな経緯を知らない配達員が料理を届けた結果、お客様の滅びのバーストストリームを直でくらうという不幸が各地で多発してしまうのだ。
僕も10分未満で届けたのにライフで受けたことがある。なんで!?
とはいえお客様はそんなこと知る由もないし、Uber側は到着予定時間というトラブルの種になるような表示を出すし、配達員はこの問題に対して現状ガード不能なので、UberEatsアプリ側でそういったことに関するフォローの表示や説明を入れてほしい。
そして最速でお届けを希望するお客様に関しましては、サブスクの「Uber One」に加入してお急ぎ便で注文していただくようお願いいたします。
◾️収入
実際のところ、どれだけの収入になるのか。
UberEats配達員に興味はあっても、そこが明らかにならないと踏み切れないという方も多いと思う。
月収を置くのはかなりの生々しさがあり、抵抗を感じるので週払いのスクショだけ置いておこうと思います。
僕が配達しているときは、平日日給¥6,000・休祝日日給¥10,000を最低目標にして働いています。
固定給と違い歩合給なので、どれだけ頑張れば最低限生活が成り立つ収入になるのか把握する習慣がつきました。
◾️さいごに
中二病小説しか紡いだことのない、文筆はてんで素人な自分のnoteを読んでくれた皆様。
ここまで時間をくださり、ありがとうございました。
面白かったと言っていただけて、ただただ耳を赤くして恐縮するばかりの僕ですが、もしよろしければ次の記事もご覧いただけたら嬉しいです。
それではまたひぐらしのなく頃に。(布教)