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テレビの存在。
テレビというと、今まではなんとなくつけていて、なんとなく見ているものだった。日常生活の雑音のひとつとして、一人暮らしのさびしさを埋めるためのものとして存在していた。
「この番組が見たい!」という強い目的があってみるテレビ番組はドラマや映画以外はほとんどなかったと思う。そんなドラマや映画ですらも、最近は似たような放送が続いているから、見たいと思って見るよりもたまたまそのチャンネルをつけていたから見た、というような感覚が多い。
まあ要は、半分どうでもいいコンテンツ。
そんなテレビの存在が、最近私の中で変わり始めている。
きっかけは佐久間宣之のオールナイトニッポン0。最近聞き始めたけど、毎回本当に面白いからみんな聞いてほしい。radikoなら一週間前は無料、Spotifyなら去年のクリスマスまでの放送が無料で聞けるので是非。
テレ東のプロデューサーである彼が、後輩や他局のディレクターを呼んでテレビのことについて話す回を聞いてから、テレビを見ることがすごく面白くなった。番組の裏話だけじゃなく、番組作成の過程など、普段聞かないような違った視点からコンテンツとしてのテレビを見ることができたからだと思う。
放送を聞いて、いままでテレビを「表面」しか見ていないんだなと思わされた。番組に出演しているのは芸能人だから忘れがちだけど、番組に出演する前に番組を作る人間がいる。
テレビの「面白い」をつくるのは、芸能人よりもむしろ製作者側にあるのだろうなと思った。
やりたいを伝える企画力、それをカタチにする構成力、実際に番組を作る制作力、おもしろいをつめこんでいく編集力、いろんな力が合わさって一つの番組が出来上がるんだなぁと思うと、いままでのテレビの見方はもったいない気がしてきた。
NHKで「あたらしいテレビ」という番組を放送していた。今までのテレビの在り方、今現在のテレビの在り方、そしてこれからのテレビの在り方について、ディレクター、放送作家などテレビに関わる6人が話し合う。
外出自粛を強いられる現在、(佐久間さんの言葉を借りると)「おうちエンタメ」はかなり重要だろう。テレビはそんな「おうちエンタメ」の一つだが、今の時代にはテレビ番組に対抗するおうちエンタメも少なくない。
代表的なのはSNS。最近はいろんな有名人がインスタライブをしているし、YouTubeではチャンネルを開設する芸能人も多い。
そして、最近はPrime VideoやNetflixなどの動画配信サービスが広く普及し始めている。月に1~2回のカフェ代と同じ金額で映画やドラマ、アニメが見放題である。ありえない。(余談だが、ネトフリにはAKIRAとパプリカが追加されているので是非見てほしい。)
そんな「おうちエンタメ」が若者を中心に広く普及している中、いまのテレビはどうだろう?
そもそも、テレビはエンタメとして機能しているだけではない。ニュースのような、「今現在の状況」を伝える役割がある。
「あたらしいテレビ」のなかでヒャダインがこう言っていた。
ヒャダイン「勇気とか連帯とかを、誰しもがみれるテレビが説くべきなんですけど、でも実際いまテレビがやってることは、テレビがこんなに怖いとか、こんなに経済にダメージがあって、ダメージがあった人にインタビューして暗い顔を映して、コメンテーターが暗い顔してお話する」(続く)
— 飲用 (@inyou_te) May 10, 2020
(飲用さんを引用。ありがとうございます…すげえ…)
連日、ニュースはコロナウイルスの報道ばかりで、ただでさえ外出自粛のストレスがあるのにより疲弊してしまっている気もする。
だからこそ、前述した2つの「おうちエンタメ」でなんとか気持ちを持ちこたえる。
でも最近はテレビだって負けてなくて、昔人気が爆発したドラマの再放送をやってたりする。野ブタ。とか。1話見逃して結局見てないけど、あれめちゃめちゃ好きだったな。
今のテレビの武器、特徴は今まで放送してきた番組という膨大なアーカイブを持っていることだ、ってヒャダインがいってた。
再放送を俳優さんの副音声付きで見たいなんて声もあったりして、これはドラマに限らずバラエティでも、番組のディレクターさんの副音声で裏話聞きたいとか。
本当に、実現するにあたってはいろいろな障害があるだろうけど、可能性はいくらでもあると思った。
佐久間宣行「いままで再放送やらなすぎたんじゃないかなっていうのは思います。いまのテレビ界が。新規のドラマとバラエティで埋めなきゃいけないものだけじゃなくて、定期的にある時間帯に再放送枠があっても、もしかしたら良かったのかなって感じましたね」/『あたらしいテレビ』
— 飲用 (@inyou_te) May 10, 2020
これはテレビに関わらずかもしれないけど、今回こんなイレギュラーな状態だからこそ新しく見えてくるものも結構あって、今回に限らず今後も残していけるカタチはたくさんある。
ピンチはチャンスなんて言われるけど(この言葉はあまり好まない)、でもやっぱり悲観的に見るよりはポジティブに捉えた方が、新しいものだったり、今よりもイイものが生まれたりするのかもしれない。
テレビの「おもしろさ」はその時代時代で変化するものなのかな、と思う。だから一概には言えないけど、でもやっぱり時代を追うごとに番組の「おもしろさ」に対するハードルは上がっていくのかもしれない。
冒頭に述べた「日常生活の雑音」の役割っていま思ったけど意外と重要かもしれない。常に「おもしろい」が試される必要はなくて、なんとなく安心感につながったり、ぼーっと見てた時にちょっとタメになるようなことを知ることが出来たり、なんかそういうのでもいいんだな。
テレビって幅広い。いろんなものに順応できるのかもしれない。
もうなんかまとめられなくなってきたので、ここで終わり。
これからのテレビがすごく楽しみだ。
余談。最近好きなテレビ番組は有吉の壁、あーやっぱ好きだ―というテレビ番組はおやすみ日本(ねむいいねをおしまくる)と又吉のヘウレーカ、やっぱおげんさんは外せないかもしれない。