知的障碍者施設に実習に行った話①
私は大学の時に福祉科に所属していたので
卒業資格を得るために2週間ずつの実習に
行く必要がありました。
当時自分のバイトの給料だけで
やりくりしていたので
バイトを休んで実習に行かないといけない
2週間に備えてお金を貯めないと
いけませんでしたし
その間タダ働きで
自給思考になっていた私は
当時すごく後ろ向きな気持ちだったのを
覚えています。
せめて食費だけは賄いのない中
最低限に削らないといけないため
冷凍食品を買い込んでの
お弁当生活でした。
実習は候補地を選べるのですが
3年生の実習では
知的障碍者施設に行くことになりました。
発達障碍の疑惑があったり
精神障碍を持つ友達がいたりした私は
当時そういった脳の障碍の方に少しだけ
関心を持っていました。
また私の年代でこども時代の頃に
知的障碍にまつわる話や啓蒙が
よく世の中に出回っていました。
流行り廃りではないですが
今でいう発達障碍や性同一性障碍など
その時代その時代で
フォーカスの当たる障碍というのがあります。
私はそんな中で
こどもの頃にあった
「聖者の行進」というドラマや
書籍で「アルジャーノンに花束を」などに
感銘を覚えていたということも
あったのでしょう。
どちらもドラマ化されて
綺麗にメイクされた芸能人が
知的障碍者を演じているのを見て
「これはきっとリアルじゃない」
と思っていました。
知的障碍も軽度ならば見た目は
ほとんど健常者と変わらないものの
施設に入所するような重度な知的障碍者は
私の知るイメージでも
メイクどころか
体毛の処理すらできていません。
それは実習初日に答え合わせされることと
なりました。
私は最初の1週間でとくに重度な障碍を
持つ方々が入所されている棟へ配属されたため、そこでは髪は短く切り揃えられ
失礼ですが男性が女性かも区別がつきにくい方もいらっしゃいました。
少しショックだったのは食事の時間でした。
今までまともな食生活をおくれていないからか歯が発達していなかったり
身体的な病気を併発している方も多く
同じメニューをそれぞれの障碍の特色に
合わせて配置されていたり
時にはゼリー状にされていたりしています。
給食の残飯をひとつの鍋に合わせられたように
ご飯とお味噌汁とおかずを
ゼリー状に固められたものが
一色単にごちゃまぜにされたものが
出たりする方もいるのです。
しかもそれらを綺麗に平らげることが
みなさん出来ません。
私は初日
その光景が目に焼きついたまま
その後に食べる自分の弁当が
辛くて仕方なかったのを覚えています。
私はこの日考えてしまいました。
「彼らは生きてて何か楽しいのだろうか。」
つづく