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歓迎と送別の温度感格差


私の勤めている会社に
人事異動でやってくる社員や
新卒で入ってくる社員に
ウェルカムボードを作ろうという
きまりごとがありました。

とくに今度直属のエリアを担当する
マネージャーはそれに対する温度感が高く
月末処理の合間にせっせと数人の社員が
その準備をしていました。

そしてバックヤードのホワイトボードに
3×3で印刷されたウェルカムボードに
一言ずつ寄せ書きのような一言を書けとの
指示が有りました。

ちなみにこのきまりはずっとあったわけではなく私のような古参メンバーからすると
割と最近出来た決まりです。

しかも今度異動してくる社員は
以前長く働いていた元店長で
産休明けに違う店舗だったところから
また戻ってくるというシュチュエーションで
私ともう一人の古参メンバーからすると
その社員に対する寄せ書きは
これまで何度も書いたことがあったので
「今更書くことないよね」
と話していました。

さらに歓迎される側のその元店長は
その決まりができる前の上司で

歓迎される側より
 送別される方を
 盛大にするべきよね


という相反する考えの持ち主で
私ともう一人の古参メンバーは
その元店長の考え方に割と寄っていました。

元店長は典型的な姉御肌で
正義感が強く
人懐っこさがないものの義理堅く
長い付き合いの人や後輩には慕われ
浅い付き合いの人や上司には
誤解されやすいタイプの方でした。

なので私と古参メンバーは 
その店長の下で働き出した時
同じような感じで歓迎されてはいません。

ただ今まで一緒に働いて来て
異動などで離れたりする際は
きちんと送り出す
というスタンスで今までやってきました。

今まで一緒に働いてきた仲間には
寄せ書きを求められても
書きたくなるような思い入れのある
エピソードがあるからです。

一方で今から働き始める人に対しては
正直思い入れはありません。
なので私たちは「やれ」と指示をされているからやるに過ぎないのです。

元店長のその方は
そういう中身のないような惰性のメッセージなどは嫌う傾向があります。
私ももう一人のスタッフもそれを
よくわかっていました。
だからより私たちは乗り気では
なかったのでしょう。

どちらかというと元店長の考え方に
納得していた私は思いました。

ではなぜ上はそんな指示をするんだろう。

送別される側に対しては
そんな指示は降りてこないのにです。

答えはすぐに出てきました。

それは
雇う側と雇われる側の認識の違い
です。

そりゃあ雇う上の人間にすれば
去っていく人間より
入ってきた人間の方が大事です。


同僚として働く私たちからすれば
入ってくる手間のかかる人間より
去っていく人の人間の方が
思い入れは大きいです。

本社と現場に分かれている
私たちのような職業では
ほっといたら
後者の考えの方が強くなるでしょう。

ただそれが当たり前だった私たちの世代より
下の世代から突如として
そういった決まり事が始まったのでした。

だから歓迎されて入ってきた世代の
社員たちが率先してウェルカムボードを
作っていました。
自分達はそれが当たり前の環境で
育ってきたからです。
私たちにはそれがありませんでした。

人間は人にされてこなかったことを
人にしてあげるのは難しいものです。


例えるなら
殴られるのが当たり前の環境で育った親が
こどもに暴力を振るうハードルが低かったり

DV家庭の世代間の連鎖なども
こういったことから止めることが難しいのかなと感じてしまいました。

私たちの職場のたかだか10歳前後の中でも
こういった世代間格差があります。
36歳という時に若者よりの気持ちになり
時に上の世代の気持ちがわかる立場でも有り

スマホの使い方がわからないご年配の方に
「そんなこともわかんないの?」
とついつい思ってしまうシーンも有りますが

自分がされてきていない教育を
受け入れることも
自分が思っているほど簡単ではないのかなと
感じました。

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