パイロット志望者必見!航空身体検査における視機能検査方法②

こんにちは。視力激やばパイロットです。
今回は前回に続いて航空身体検査の視力測定方法を解説していきます。
前回の遠見視力編を見ていない人はぜひそちらからご覧ください。

今回は中距離視力以降についてです。
早速見ていきましょう。

パイロットに必要な中距離視力の基準

まず基準を見ていきましょう。

1.身体検査基準
[第1種]
裸眼又は自己の矯正眼鏡の使用により各眼が80cmの視距離で、近見視力表(30cm視力用)により0.2以上の視標を判読できること。

2.不適合状態

3.検査方法及び検査上の注意
[第1種]
3-1
検査条件は遠見視力の場合に準じる。
3-2
視力判定基準は、5個以上の視標に対してその正答率が60%以上であることとする。

4.評価上の注意
5.備考
5-1
常用眼鏡を使用しない者で、中距離視力基準について矯正眼鏡を必要とする者については、矯正眼鏡及びその予備眼鏡を携帯することを航空身体検査証明書に付す条件とすること。
5-2
矯正眼鏡を必要とする場合、矯正眼鏡を使用した状態で遠見視力基準に適合するものでなければならない。なお、矯正眼鏡はルックオーバー型、二重焦点レンズ、三重焦点レンズ又は累進屈折力レンズ等とする。跳ね上げ式眼鏡も使用してよいが、矯正眼鏡を跳ね上げた状態で遠見視力基準に適合するものでなければならない。

航空身体検査マニュアル

簡単に言うと中途半端な距離での視力検査です。
80cmなんで大体腕伸ばした先くらいで視力検査をするということですね。
正直この検査が厳しいという人には出会ったことがありませんが、注意点とすれば遠見視力と同じ矯正眼鏡でクリアする必要があるということでしょうか。
5-2にあるのは遠近両用レンズのことで、どのレンズでも基本的に適合になりますが、下記のような跳ね上げ式の遠近両用眼鏡だけは注意が必要になります。

跳ね上げ式眼鏡(眼鏡の愛眼参照)

パイロットに必要な近見視力の基準

1.身体検査基準
裸眼又は自己の矯正眼鏡の使用により各眼が30cmから50cmまでの間の任意の視距離で近見視力表(30cm視力用)の0.5以上の視標を判読できること。

2.不適合状態

3.検査方法及び検査上の注意
3-1
検査条件は遠見視力の場合に準じる。
3-2
視力判定基準は、5個以上の視標に対してその正答率が60%以上であることとする。

4.評価上の注意

5.備考
5-1
常用眼鏡を使用しない者で、近見視力基準について矯正眼鏡を必要とする者については、矯正眼鏡及びその予備眼鏡を携帯することを航空身体検査証明書に付す条件とすること。
5-2
矯正眼鏡を必要とする場合、矯正眼鏡を使用した状態で遠見視力基準に適合するものでなければならない。なお、矯正眼鏡はルックオーバー型、二重焦点レンズ、三重焦点レンズ又は累進屈折力レンズ等とする。跳ね上げ式眼鏡も使用してよいが、矯正眼鏡を跳ね上げた状態で遠見視力基準に適合するものでなければならない。

航空身体検査マニュアル

これは先ほどの中距離視力から距離を近づけただけでそれ以外は完全に同じなので割愛します。

パイロットに必要な視力以外の視機能

航空身体検査マニュアルには視機能の項目に視力以外の4つの項目があります。目が良ければいいと思っていたひとには意外な盲点かもしれません。

単純な視力と違い、眼鏡等で矯正できないものもあるのでネックだったりします。
人によってはここで不適合になってしまう人もいるので、詳しく見ていきましょう。

パイロットに必要な視力以外の視機能①
両眼視機能

両眼視機能とはその名の通り両眼で物が見れているかという検査項目です。両眼で物が見れていないと、物が立体的に見れなかったり、二重に見えたり物の遠近感がわからないから不適合になってしまうのです。
基準は下記のとおりです。

1.身体検査基準
航空業務に支障を来すおそれのある両眼視機能の異常がないこと。

2.不適合状態
2-1
斜視
[第1種]
2-2
不同視を呈するもの
2-3
輻湊・開散運動に異常が認められるもの

3.検査方法及び検査上の注意
3-1
眼位検査は交代遮蔽検査法によること。なお、マドックス杆検査法又はこれに準じる検査法を用いてもよい。
第2種については、初回の航空身体検査時に行うこと。

[第1種]
3-2
左右眼の屈折度に2ジオプトリー以上の差異があるものを、不同視とすること。
3-3
輻湊検査は視標が2つに見える点又は両眼視線の開散する点を取ってもよい。簡便な方法として、ペンライト等を被検者の鼻根部に接近させ、それが2つに見える点、又は開散する点をもって輻湊近点とする。その点と外眼角との距離を計測し100mm以下を正常とする。

4.評価上の注意
4-1
上記2.の不適合状態の疑いがある場合は、眼科医の診断により確認すること。
4-2
不同視を呈するものについて、深視力が正常である場合は、適合とする。深視力検査の正常範囲は、次のとおりとする。
二杆法の場合は、5回平均値が30mm以内のもの
三杆法の場合は、5回平均値が20mm以内のもの
4-3
斜視のある者がプリズム眼鏡により矯正されている場合、プリズム眼鏡を使用した状態で、遠見視力、中距離視力、近見視力、両眼視機能及び眼球運動検査について基準に適合することが確認されれば、適合とする。

5.備考
[第1種]
上記2.不適合状態の者が、国土交通大臣の判定を受けようとする場合には、視力、屈折度、眼位、輻湊近点、両眼視機能検査(プリズムテスト、大型弱視鏡、深視力、フライテスト等)の成績を付して申請すること。

航空身体検査マニュアル

ごちゃごちゃとわかりずらいことが書いてあるのでひとつずつ見ていきましょう。
簡単に言うと2の不適合状態に該当するものがアウトなのですが、それはなんなんだという人も多いと思います。

2-1 斜視
これは聞いたことある人も多いかもしれません。人の目は右眼も左眼も見ようとする物の方を向きますが、片目がまっすぐ向いていてももう片方の目が違う方向を向いているという状態のことです。
程度に差はありますが、3%ほどいるらしいのでさほど珍しいことではないようです。

そしてこの検査方法が3-1にある交代遮蔽検査法です。
どんな検査をするのか説明します。

これは左右の目を交互に隠してその時の眼の動きを見るという検査です。
斜視や斜位が入っている場合は目が動きます。

厳密にいうと斜位と斜視は異なります。
斜位:普段は両眼を使って物を立体的に見ることができているが、片眼を覆われると眼が動いてしまう。
斜視:目を覆っていなくても常に片眼が見ようとしている物体からずれていて、立体的に見ることができていない。

つまり、この検査で眼が動いたからダメというわけではなく、この検査によって眼位というものを測定し、それによって斜視と認定されてしまうと不適合ということになります。

下に参考動画を貼っておきます。私とはなんら関係のない動画です。
他にもYoutubeにあると思います。


代用できるというマドックス杆検査法というのは受けたことはありませんが、これのことだと思います。

ただこの斜視も全く矯正ができないということではなく、プリズム眼鏡で矯正することができます。
その眼鏡を使用した状態で遠見視力、中距離視力、近見視力、両眼視機能及び眼球運動検査に適合であれば適合となります。

2-2 不同視
不同視は3-2に書いてあるように左右の矯正眼鏡のジオプトリー差が2以上あるものを不同視と認定します。
ただしこれも深視力が正常である場合は適合になります。

この深視力検査はいったい何をするのかというと、棒が2本もしくは3本あって、1本が動いている状況で他の棒と同じ遠近感になった時にボタンを押すといった検査です。これを何回か繰り返します。
多分下の動画を見ればすぐわかります。

この動画以外にも深視力検査の動画はYoutube探せばたくさんありそうです。

二杆法は棒が2本で三杆法は棒が3本(この動画のような)の検査です。2本の方が少し難しいので許容範囲が広くなっています。

これが正常範囲であればジオプトリー差が左右で2.0以上あっても適合になります。

2-3 輻湊・開散運動の異常
これが一番わけのわからない人が多いと思います。
人は近くを見るときに両眼が内側に寄り、遠くを見るときに両眼が外に開きます。この内側に寄る動きを輻湊運動といい、外側に開く動きを開散運動といいます。
その検査の具体的な方法が書かれているのが3-3です。
簡単に言うと、寄り眼ができるかという検査です。ペン等を目に近づけていき、それを見続けるとどこかで見続けられなくなり、両眼が離れます。この点を輻湊近点として、この点と眼の距離が100mm以下である必要があります。
要は眉間から10cmの距離まで寄り眼ができればいいのです。

以上がパイロットに必要な視力以外の視機能一つ目の項目です。

めちゃくちゃきりが悪いのは承知の上ですが、モチベーションが続かないので一度ここまでで公開させてください(笑)
平日は忙しくて、、というのは言い訳ですね。
のんびりにはなりそうですが、残りの三つ書いた後に見やすいように編集します。どうかお許しくださいmm

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