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『建築と時間と妹島和世』で好きを思い出す

大学に入ってすぐにCasa BRUTUSに出会い、建築及び建築家という概念・存在をそこで初めて認識した。それまで「建物をつくる」がなんとなく泥や土、砂、みたいな印象だったのが一発でひっくり返り、それまで特定の職業に憧れを持つことはなかったのに、即座に「うっわ、建築家になりたい」となった。悲しいのはそれに気づいたタイミングで、「もっと早く教えてくれれば数学がんばったのにな」であり、仮面浪人的なことをして早稲田の建築(なんで早稲田だったかはよくわからない。ただ確信めいたものがあった)に入り直そうかと真剣に考えたものの、毎日の楽しさには抗えずに、そして今に至る。

好きのパワーは凄まじく、大学在学中から、社会人2社目に入る直前くらいまでに持っていた建築関連の知識は今思うと素人にしては立派、みたいなレベルで、それをほぼ全て忘れてしまっているのがとても悲しいけど、それでもこのタイミングで「めちゃ好きだったな」を思い出せてよかった。そう、わたしは建築が好きです。改めて勉強しよう。建築家にはならないけど。でね、

最近毎日が(だめな意味で)ヤベーので、「よしっ」と気合を入れて自宅から自転車で45分、ユーロスペースに駆け込んだ。映画は苦手なのだけど、60分なら行けるっしょ、というのもあり。あ、いや、TENETは2時間半でも大丈夫だったけど。内容は大阪芸大のアートサイエンス学科棟ができるまでの話。ドキュメンタリーだしホンマさんなので、なにか事件が起こるわけでもない。でかい画面に白場がひかれると眩しいな、みたいなことを序盤で思いつつ、それでも、気がついたときにはめちゃめちゃな集中力で観ていて、それを見ている自分(比喩です)もびっくりした。

なかでも、何度か繰り返されていた「なんで建築家が現場に行く必要があるのか」という質問と、それに近いところで、「現場と事務所でそれぞれ何をしているのか」について語る妹島さんがとてもよかった。建築家は大切なことをどちらで決めるのか。どちらだと思います? それは是非映画で。

あと観た人みんな思うと思うのだけど、妹島さんはマジでおしゃれだな〜、あるいはわたしの着るものの好みとドンピシャだな〜。全スタイリングが最高だった。特にプラダの白Tが(そういう切り取られ方をされていたというせいもあって)とても印象に残った。めちゃほしい〜。

というわけで、好きなものと好きだった感情を強く思い出させていただいた、という意味でとてもいい映画でした。

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