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【ブルアカ 】山海經生徒:キサキとカイの因縁【ブルーアーカイブ 解説&考察】
今回は月華夢騒の舞台である『山海経高級中学校』で重要なキャラとなる龍華キサキと申谷カイについて考察をしていきたいと思います。
ではまず学校の名前になっている『山海經』から解説していきます。
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『山海經』とは紀元前4世紀頃に書かれたとされる中国の地理書ですが、その内容は摩訶不思議で、40からなる国々に住まう妖怪や仙人が登場するファンタジー世界の設定資料集のような作品です。
『山海經』は自然崇拝の思想を汲んでいる事から、中国の民族宗教である『道教』では山海經に出てくる神々が信仰の対象となっております。
これらの事からゲーム内の『山海經』が伝統を重んじ、他校と関わりを持たない排他的な校風という設定は、“異国の宗教である仏教が道教に混ざる以前の自然崇拝が主流だった頃の中国”の情勢が反映されていると考えられます。
龍華キサキ
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続いては山海經の門主である『竜華キサキ』のモチーフの考察を行っていきます。
考察要素として竜華という名前や服など『龍』が強調されていることと、山海經に関連性がある存在で候補にまず上がるのが、中国神話上最強の存在である『応龍』が妥当であると考えられます。
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山海經の『応龍』の神話では、『蚩尤』と云う不死身の武神が伝説上の帝王である『黄帝』と戦った時に応龍が加勢し蚩尤を殺しましたが、神を殺してしまったため神々から追放され天に登れなくなってしまいました。
しかしながら殺傷の禁忌を犯してまで人を助けた神として多くの信仰を受け、年老いた応竜は黄竜になるという伝説が生まれ、黄龍は四竜の長になり、実質神話上の頂点の存在となりました。
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これらのことからキサキのモチーフが応龍であれば、門主の地位であるのも合点がいくと思います。
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月華夢騒のイベントではキサキが門主に就任した時から様態が悪くなってしまったようですが、これを応龍の神話に照らし合わせて考えると、応龍が蚩尤を退治した時、応龍の地位も上がりましたが、神を殺してしまった為、飛龍でありながら天に登ることが出来なくなったという部分と関連性があるのではないかと考えました。
申谷カイ
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続いては元錬丹術部長である申谷カイについて考察していきます。
申谷カイのモチーフは二つ名が五塵の獼猴である事から猿に関連する存在だと思われます。
そして『不老不死』の妙薬を研究をする錬丹術の元部長であることを考えると、『不老不死』を求めて旅に出た猿の『孫悟空』が候補として上げられるでしょう。
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『孫悟空』は言わずもながら西遊記の主人公で、不老不死を求めて旅に出て道教を学んだ後に、観音菩薩から勅を賜り三蔵法師の一人である玄奘の護衛を任され、無事天竺まで送り届けたことで褒美として闘戦勝仏という名を釈迦から賜り仏となりました。
この神話によって孫悟空は道教の神として信仰される事になるのですが、悪く言えば孫悟空は道教の神でありながらも異国の宗教に被れた純粋な中国の神ではありません。
もとより西遊記という物語自体、純粋な民族宗教であった道教に異国の宗教である仏教の教えを導入するきっかけとなった物語です。
この事からカイが悟空だと考えると、伝統を重んじる山海經からすれば異国の宗教に染まった神である事から追放されたのではないかと考えることが出来ます。
その他に孫悟空とカイの類似点を見た目から考察していきますが、服の雲は筋斗雲を彷彿させますし、ブレスレットは緊箍児に似ている気がします。
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そして一番気になるのがカイの髪色です。
彼女の髪色は道教のシンボルである太極を彷彿させるものですが、悟空との関連性を考えると『呼猿洞伝説』が関係しているかもしれません。
『呼猿洞伝説』とは仏教が盛んだった地域の民話で、洞窟で慧理という僧が侍者である白い猿と黒い猿を呼び出したという伝説があり、この『呼猿洞伝説』と、実在した三蔵法師がインドまでの旅路を書いた『大唐西域記』が合わさって作られたのが『西遊記』という物語です。
これらのことからカイの白と黒の髪色は孫悟空の元型となる『呼猿洞伝説』の白い猿と黒い猿を表しているのではないかと考えました。
次に孫悟空と関連性がありそうなのが山海經の最初のイベントである龍武同船で重要なアイテムとなった『萬年参』です。
『萬年参』は覚醒剤みたいなものとして扱われていましたが、名前からして西遊記で出てくる『人参果』という赤子のような形をした果物が元になっているかもしれません。
その効能は嗅げば360年、食べれば4万7000年も長生きできるという中国版のマンドラゴラのようなもので孫悟空はこれを盗んで食べていたという話があります。
食べれば萬年生きれるという『人参果』は、『萬年参』の名前と合致するのではないでしょうか。
『萬年参』=山海經の特産品、覚醒剤みたいなもの
『人参果』=食べれば萬年長生きできる果物
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また今回のイベントの月華夢騒では京劇が重要な要素でしたが、西遊記は京劇の中でもかなり人気があった物語であることから、『萬年参』も『京劇』のどちらも西遊記に馴染みがあるものです。
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更に次回では『猿の手』がキーアイテムになるようですが、この猿の手とはイギリスのホラー小説のタイトルで、内容は『インドの猿のミイラの手』が3つ願いを叶えてくれるという物語です。
そしてこの『インドの猿』という要素もまたインドにて仏となった孫悟空に当て嵌まるワードであることから、次のイベントも『西遊記』に関連していると考えられます。
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前述で西遊記という物語は、道教に仏教の要素を導入するきっかけとなった物語と説明しましたが、
これらの事から山海經の一連の物語は、中国の民族宗教であった道教が西遊記によって仏教と融合してしまった事象のメタファーになっているのではないかと考えました。
最後にカイとキサキとの関係について考察をしていきます。
孫悟空のモチーフの候補の一つとして上げられる山海經に出てくる『無支祁』という水辺に住まう猿の妖怪がいるのですが、この『無支祁』は『応龍』によって退治され封印されたという話があります。
つまりカイがキサキに恨みを抱いているのも、無支祁と応龍の因縁が元になっているのかもしれません。
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今回の考察は以上で終わります。
現在注目されている西遊記ですが、もし山海經のイベントも西遊記に関連していたら、怒涛の西遊記ブームに来ているのかもしれませんね。
ここまでご視聴ありがとうございました。