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【1周年記念】世界設定用語解説&考察 Ver.2【リバース1999】
今回はリリースから一年経ち第7章で物語も一段落したので、新規情報を加えた上で世界設定や用語解説をしていきます。
・神秘学家について
神秘学家とは錬金術や占星術など現代では役に立たない学術に長けた人達の事で、そのため彼らの言葉は意味不明で人間からは疎まれている。
神秘学家が人間と大きく異なる点は『グノーシス』という魔術回路を体内に宿しているところです。
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『グノーシス』はギリシア語で『知識』という意味で、キリスト教グノーシス主義に於いては“神から齎された超越的な知識”を『グノーシス』と云いました。
グノーシス主義では本来、人とは神の一部であり本質的には神と同一と考えられ、『グノーシス』を辿ることによって上位存在に到れると考えられておりました。
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ちなみ『グノーシス』を齎した上位存在は複数おり、キリスト教の象徴であるイエスと、イエスの双子とされる『ソフィア(知恵)』、またエデンの園に現れた『蛇』が存在します。
いずれも劇中の登場人物や台詞に関連性がありそうなので覚えておくといいでしょう。
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要するに神秘学家達はグノーシスと魔術回路から人智を超えた知識を引き出し神秘術を使っている。
ではその神秘術とは具体的にはどういうものなのかを考察していきます。
・神秘術について
神秘術を解き明かすために必要な考察材料はキャラクターの紹介欄にかかれている『ミディアム』と『本源』。
レグルスの場合はロンドン近海で違法放送を行っていた『ワンダフル・ラジオ・ロンドン』という海賊DJが『本源』のひとつの【DJ】に当てはまります。
この史実に存在していた『ラジオ・ロンドン』はレグルスの特徴と同じなので、『ラジオ・ロンドン』が彼女のモチーフになっていると考えられる。
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2つ目の『本源』には【遠い星の輝き】とありますが、獅子座の恒星である『レグルス』が当て嵌まります。
そして『ミディアム』の【レグルス】はカバンに付いている『アンチモン・レグルス』であると考えられます。
2つとも錬金術師のアイザック・ニュートンに関連性のあるモノですが、錬金術のシンボルを図解にした『錬金術師の太陽』というモノとキーワードが符合します。
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そしてこの『錬金術師の太陽』は太陽神アポロンを象徴化したものなのですが、アポロンはレグルスの特徴となる『錬金術』『音楽』『光』の要素と合致します。
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前述ではグノーシスが『超越的な知識』であり、グノーシス主義では“人と神は同一”と考えられていると解説した事からも解るように――
レグルスのグノーシスは太陽神アポロンに紐付く知識を引き出して神秘術を使っている。
このように『ミディアム』と『本源』は神秘学家のグノーシスの元となる存在を導き足すための連想ゲームのヒントとなっていると考えられます。
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また何故【本源】が2つ在るかという理由については、『テウルギア(神働術)』という魔術が関係していると考えられます。
『テウルギア』とは『グノーシス』の概念を齎したカルデア人が研究していた魔術で、神性的な存在に由来する『類似のものと類似のもの』を媒介に、『グノーシス』を使って知識を引き出し用いる術の事。
つまり図解のようにレグルスは『アポロン』に関連する『DJ(音楽)』と『星(光学)』を『本源』として、この『本源』が『類似のものと類似のもの』である。
そしてレグルスは2つの『本源』を仲介してアポロンの知識を『グノーシス』という魔術回路から引き出している。
即ち『神秘術』とは『テウルギア(神働術)』であると言えます。
・ユーディモについて
神秘学家にはユーディモ(Udimo)という別の姿を持っている。
その姿は犬だったり羊だったり、中には銅像だったりIDM5100だったりと様々です。
ユーディモの謎を解くのに必要なのは劇中でも何度か出ている人工言語のエスペラント語です。
Udimoをエスペラント語だとすると英語でOh Godと訳される。
キリスト教において“神への呼びかけ”はエピクレーシスと云い、神の『聖霊』に祈る事を指す。
『聖霊』とは主にキリスト教では神の異なる姿の鳩の事を指しますが、グノーシス主義に於いては人の精神的な姿であると言われております。
つまりユーディモは神秘学者の精神体である聖霊と言えます。
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ちなみに劇中で『プネウマ』という言葉が多用されておりますが、『プネウマ』とは世界や人を創り出している霊的なエネルギーのことで
グノーシス主義では人の精神体である『聖霊』は『プネウマ』であると定義されております。
つまり『内なるプネウマ』の様な“人に宿るプネウマ”を指す場合は『聖霊』を意味し
“外的なプネウマ”は単純に自然に存在する魔力だと思えば、台詞の意味がわかりやすくなるかもしれません。
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また補足として自然存在と意識覚醒者を除く神秘学者のユーディモは、星座や干支や星雲など、全て星に関連した名前に由来しております。
例えばジョン・タイターが持つIDM5100は活版印刷機座、ピクルスの銅像は大理石の銅像座だったりと、意外な物も今のところ全て当てハマっております。
何故ユーディモが星二関連しているのかと考えると
宇宙は神々が住まう国だと考えられたり、神話に纏わる星座が多かったりと、古では今東西問わず星と神を同一に考えられておりました。
なので神秘学家の聖霊となるモチーフが星由来なのも、星と神と人を同一に考えているからだと思われる。
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神秘学家について要約すると――
グノーシスは魔術回路であり、【本源】は知識の元となる存在のこと
【ミディアム】は【本源】と術者を結びつける「徴」となるもの。
神秘術師は【グノーシス】から【本源】に由来する力(知識)を引き出して神秘術を使用している。
【ユーディモ】については神秘学家の霊的な姿であり、劇中では『内なるプネウマ』と呼ばれているもの。
・組織について
まずはヴェルティが所属する組織『聖パブロフ財団』について解説していきます。
組織名になっているパブロフ(Pavlov)はスラブ系の名前ですが、由来はキリスト教の使徒である聖パウロのことです。
聖パウロは新約聖書の多くを執筆し初期のキリスト教設立の立役者となった人物ではありますが、思想はプラトン主義に傾向しておりました。
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これに関連しているのが、財団の初期メンバーのゲオルギオス・プレトンという実在したキリスト教徒です。
彼は熱烈なプラトン主義者だったのでローマ正教に異端的な扱いをされていた人物なのですが、プレトンもパウロもキリスト教徒でありながらプラトン主義という点が一致しています。
ここから財団はプラトン主義の傾向が強いキリスト教異端宗派のアリウス派やグノーシス主義の思想に近い組織ではないかと考えられます。
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続いて財団の特徴について解説していきます。
財団は人間と神秘学家が共存している組織でありますが、人類史上主義を掲げており、神秘学家は冷遇されがちで人間のために従事させられることになっています。
財団には幾つか組織が存在しており、最前線学校やゼノミリタリー、計算科学研究センターなどが存在しております。
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ゼノミリタリーは財団の軍隊で、世界の警察の様な組織です。
命令に忠実で汚れ仕事も行っているが、団結力は強く組織内の神秘学家に対しては差別的な態度が見られない。
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ラプラス計算科学研究センターでは神秘術を用いた研究が主流で、そのため財団とは異なり神秘学家の方が幅を利かせており、人間の方は肩身が狭いという真反対な構図となっております。
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ちなみにラプラスにはローレンツ研究所という秘密結社が存在しておりXはその組織の一員です。
ローレンツ研究所はストーム発生後に設立された組織で、ストームの起因となった『はじまりの蝶』を探しているようです。
元ネタとなるのは『ローレンツ・アトラクター』という方程式の解です。
『ローレンツ・アトラクター』は気象予報士のエドワード・ローレンツが作った大気変動モデルの予測不能なカオス的な動きのことなのですが、
『ローレンツ・アトラクター』の3次元グラフが蝶のように見えることから『ローレンツ・バタフライ』と名付けられました。
この事から『はじまりの蝶』は実在的な個体ではなく、『ローレンツ・バタフライ』のようなカオス的なエネルギーであると言えます。
最近の物語ではストーム免疫付与の呪文である『はじまりの円』が出てきましたが、このローレンツ・バタフライも幾重もの結び目を持つ円です。
『はじまりの蝶』がローレンツ・バタフライのようなカオスエネルギーであると考えると、『はじまりの円』とも関連性があるかもしれない。
・マヌスヴェンデッタ
マヌスヴェンデッタはラテン語で『復讐の手』という意味。
彼らは神秘学家の純血主義で見境なくテロを起こしている。
ストームを意図的に早め、人間の文化がない太古の時代まで遡のを目的にしています。
アルカナ曰く、あくまでもストームを利用しているだけで、ストームを作ったのは財団であると主張している。
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また最初のストームが起こる年である1999年に財団とヴェンデッタは戦ってゼノミリタリーは敗戦したようです。
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しかしながら宿敵のアルカナは自分が死ぬことをソフィアに宣告してからヴェルティに会いに行って予告通り死にました。
これからはソフィアがヴァンデッタを率いて行くことになりそうですが、いつかまたアルカナはひょこり戻ってきそう。
・ストームについて
物語の重点となるストームについて解説していきます。
ストームについてわかっていることを纏めていくと――
戦争や経済恐慌などその時代の転換点に発生し、ストーム症状はその時代を象徴する【文化】の要素が肉体や認識に影響を及ぼす。
逆行しているのはストームの発生源だけではなく、世界規模で起こっていること、過去に逆行しているだけではなく、2度に渡って年代が上昇しています。
なにより不可思議なのが、逆行した世界には自分がおらず、親殺しのパラドクスも起こらない。
また公式からストームによって時間が逆行しているわけでもないと明言されている。
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劇中の発現を参考に図解にしてみると、大体このようになる。
注目すべき点は6回目と9回目のストームは時間が後退せず前進している。
次に、ハインリヒとマーカスが元いた1912年の世界ではストームが起こって二人は60年代に飛ばされたわけだが、戻ってきた1913年はストームが発生しておらず、またマーカスも存在していない異なる世界であると考えられる。
ストームは法則性のない紊乱であると言われていましたが、断言できることは、移動した時間軸には『自分』がいない
そしてストームの発生原因である戦争などの“歴史的事象”はタイムラグはあれど“必ず起こる”
また財団や教団の島など、神性的な場所は影響を受けない
これらのことからストームについて推測されるのは並行世界説です。
簡単に言えば自分が今存在する世界とは異なる事象が起こった時間軸が無限に存在するという仮説です。
この仮説に当て嵌めて考えると、ヴェルティや財団は時間を逆行しているのではなく、“異なる世界線を移動している”と考えることができます。
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例えばマーカスが元いた世界はストームが起こった世界線で、8度目のストームで戻ってきた世界線はストームが起こらなかった世界線という事になります。
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更に洞察を深めていくと、この並行世界説は哲学の分野ではライプニッツの『可能世界論』に回帰します。
『可能世界論』では神は無限の世界線を創り、その中から神にとって最善の世界線を選んでいる。という仮説です。
またこの仮説では運命は神によって定められており、人はどれだけ抗おうが運命を回避できない。
そしてAの世界線に存在する人物がBの世界線に存在しなくても、Bの世界線に代わりとなる人物がいれば運命は調和される。
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例えば私達の現実にはレグルスは存在しませんが、その変わりとなる海賊放送は存在しておりました。
このように異なる世界線であっても同じ様な存在がいれば、運命に矛盾が生じないように神によって調整されているという考えを『可能世界論』と言います。
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これらの仮説をストームの疑問点に当て嵌めていくと――
財団などヴェルティがストームの影響を受けないのは、それらの存在は神にとって“善”の状態のものであるから。
歴史的事象が必ず起こるのは、それが神によって定められた運命であるから
異なる世界線に『自分』がいないのは、自分と同じ様な存在がその世界線にいれば運命の調和が取れるように神が調整しているから
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つまるところストームは神によって起こされた現象であり、神にとって最善ではない世界線はストームによって消されていると考えることができます。
あくまでこれらは考察ですが、ストームという科学では解明できない超常現象を起こせそうなのは、やはり超越的な存在である神くらいなので現時点では暫定的に妥当な考えであると思えます。
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今回の考察は以上で終わります。
リリースから1年経ちましたがリバース1999というゲームは様々な国の歴史や学術の存在を知るきっかけとなっており、哲学など好きな自分としてはとても楽しませて頂いております。
今後の展開を楽しみにしつつ、これからも考察をしていこうと思います。