『絶対アイドル辞めないで』は救いのないハッピーエンドである。
オタクに共感の嵐を呼んで話題になっている=LOVEの「絶対アイドル辞めないで」
この曲に対して僕なりの解釈を交えて感想を書き残しておきます。
イコラブの描くオタク⇔アイドルの関係性
イコラブの曲を語る前提になるのがイコラブのグループ名の由来です。
これを言い換えると
アイドル側は”アイドル”とは仕事で、それに対して矜持を持っていなければいけない。
ファン側はその”アイドル”としての姿に対して愛を送る。
このファンとアイドルがイコールな関係性こそが指原Pの描く理想のアイドル像でありイコラブのテーマということです。
なのでイコラブの曲に出てくる主人公はほとんどの場合相手と対等の関係を望んでいる描写があります。
拗れオタクによる感想
歌いだしの絶対アイドル辞めないではここでは置いておきます。
その下もストレートな歌詞なので素直に共感、推しにはステージでずっと輝いていて欲しいですよね。
これさぁ~~~~~~~~わかるよ、拗れオタクなら一回は考えたことあるんじゃないですか?
「”ちょっと”寂しくなるかな」
という部分が、自分がいなくなったとしてもアイドルは
「来なくなったんだ」
程度にしか思わないのを自覚してるようで解像度高いです。
アイドルには”内緒にして”、神様には”隠してね”なんですよ。
アイドルは夢を見せる仕事なので内緒にするのは当然として(?)
この「神様」は運営やメディアのことだと解釈できます。
「お前らアイドルの熱愛を知っても表に出すなよ」
ということになるんですよ、うわわわわ。
ピンク髪のきゃーたんに歌割振ってるってことは結構ド派手な色に染めたことも考えられますよね、例えばメンカラとか。
推しに綺麗な姿で会いたいから自己投資する~じゃなくて
「合わせた」
なのが重すぎです、怖いよ。
「絶対アイドル辞めないで」に至る感情を歌ったこのパート、めんどくさいオタクのそれで好きです。
推しことを想いすぎて病むことを「過剰摂取は中毒へ」と言い換えてるのが上手すぎて脱帽です。
推しには好きにさせた責任をとって欲しいとかいう推しからしたら迷惑な押し付けの感情もわかりすぎて無限に頷きです。
傲慢~~~~!ただのオタクなのに「全て知ってる」とか言っちゃうの痛いけど、でも、正直ちょっとわかる。
実際は推しの一部しか知らないのは理解しているのに全部を知った気になっちゃうのわかります。
推しの全部を知ってる(知らない)私(自称全知オタク)が推しはアイドルをやってる時が一番だと信じて止まないから「絶対アイドル辞めないで」って言えちゃうんですよね。
普通だったら「ずっとアイドルでいて」というマイルド表現になって「絶対アイドル辞めないで」なんてお互いにとって重い言葉は言えないです。
ただ、この曲が世に出たからこそ言えるオタクはいるとは思います。
空がステージで街はその対比として出されているのでそれ以外の場所、ということでしょうか。
星=アイドルという表現はもうイコノイジョイでは定番ですね。
推しはステージ以外だと輝かないって言い切っているのがこの主人公の強い意志を感じます。
「眩しい君が世界一」という部分、星は街じゃ輝かないということを踏まえるとアイドルを辞めた推しは…?
この極端な考え方だからこそ出る言葉が「絶対アイドル辞めないで」なんですよね。
2番に入るとさっき「全部知ってる」と言っていたにもかかわらず、「教えて欲しい」と言っています。
結局オタクはオタク止まりであるということを理解しているんでしょうね。
そしてアイドルを卒業して別の夢に向かうことで急に来る「終わり」を受け入れる「覚悟」はあるということですが、多分これは強がりですね。
終わりを見据えてそれまでの時間が欲しいからこその「教えて欲しい」なんだと思います。
急に来る終わりってめちゃくちゃ辛いんですよ、だからせめて気持ちを整理する時間が欲しいって気持ちは本当にわかります。
人生で沈んでいるときに推しに出会って生きる活力をもらうみたいな典型的なそれですね。
僕にもそういう存在はいるのでわかります、勝手だけど頑張る理由にすることで救われるんですよね。
ここではっきり「エゴ」という言葉が出てきました。
自分の好きな推しで居て欲しいという気持ちは痛いほど分かります、でもそれはエゴ以外の何物でもなくて。
それでも「絶対」、「ずっと」と言わずにはいられないんですよ、どうしようもなくアイドルの君が好きだから。
推しには大きなステージで輝いて欲しいし自分は少しでも前の席が欲しいという平均的なオタクの願いでいいですね。
ただここでも「絶対」、「ずっと」が出てくることでエゴを含めて強く願っていることがよくわかります。
うっっっっっっっわマジか。
現場で聞く推しの生歌って特別で心に沁みるんですけどそれを「なんか」で表現するのはあまりにも秀逸で何を経験してきたらこれできるんだ…。
ここからラスサビまで指原節全開でMVが公開された日にイベント帰りに一人で泣いたのを覚えています。
この関係って=LOVEじゃん、もうね、涙ですよ。
君の努力も私の愛もどちらかが欠けたら一瞬で崩れてしまうのに強固な関係に思えてしまうのって何ででしょうね。
そしてアイドルに縛られない推しの幸せを願ったのに否定で入るのが最高にエゴ剥き出しで本当に。。。
「だけど…」からの「でもね」でどうしてもアイドルを辞めないで欲しい強い意志を感じます。
オタクはどうしようもない生き物なんですよ。
ここにきて言い切りが入るのが心境の変化を感じます。
どうしても君はアイドルが一番で、そんな君を好きになったこと、出会った日からのことを思い出してやっぱりアイドルで居て欲しい、アイドルの君が好きで夢を見ていたいという気持ちをもう一度開放するような印象を受けます。僕もこれになりたかった
でも報われないことも、いつかは結末が来ることも、この好きはは歪で複雑な愛ということも、そして逃避であるということも全て受け入れた上での
「絶対アイドル辞めないで」というオタクの叫びはグロいはずなのに言葉選びが切なくも美しく仕上げているのが素晴らしいです。
そしてこれをアイドルに歌わせるのは相当重いことだと思います、実際会見でもみりにゃが語っていましたね。
「絶対アイドル辞めないで」
重い言葉だと思います、でも、それでも、どうしてもオタクという生き物は推しに私の理想(My ideal)を願わずにはいられないということでした。
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