ぶいすいーとのCM動画のメイキング解説
こちらの記事はResonite Advent Calendar 2024 と Cluster #2 Advent Calendar 2024 の9日目の記事です。
clusterは2回目だけど空いてたので入れちゃいました。
こんにちは、ginjakeです。
VRプラットフォーム「Resonite」や「cluster」でいろいろ遊んでいます。
今回は他人の作品で勝手にCM選手権 で制作したぶいすいーとのCMについて。
いわゆるメイキングです。
とある映像作品について解説してもらって、人の工夫や想いを知るのが楽しかったので。
作ったモノ
撮影環境
・Resonite
・VRゴーグル(Varjo aero)
・Vive Tracker 2018、Tundra Tracker
・iPhone 12 Pro
きっかけ
clusterには「てつじん」という破天荒なイベンターがいる。
トイレで大喜利、クリスマスに朝まで正拳突き、懺悔イベント(シスターは酔っ払い)など、数々の謎イベントを立ち上げてきた。
てつじんさんと海外旅行の話で盛り上がり、そのまま流れで参加しないかと誘ってもらった。
【観客のコメントで作るゲームの内容を決めたらどうなるの!?』選手権!!】 が大好きだったので、嬉しかった。
↑犠牲者の作品
他人の作品で勝手にCM選手権 はそんな彼が企画するイベントだ。
応募されたアイテムやワールドのCMを作っちゃおう
ただしテーマは観客が決める
応募してもらった作品の中から、参加者が作りたいCMを選択
そのあとに観客のコメントでテーマを決めるという内容である。
当日サプライズで株式会社 ROOX「V睡まくら ぶいすいーと」が登場。
ジャンケンで勝ち、光栄にもCMを作らせて頂くことになった。
無慈悲なテーマ決め
宣伝対象が決まった後は、観客によるテーマ決めだ。
「半呪力」「即オチ2コマ」
「騒音」「保険会社が作った焼肉のタレ」
など、不安になる要素しかないテーマが採用されていく。
阿鼻叫喚のテーマの数々
先ほどまで和気藹々と喋っていたCM製作者たちがヤケクソになっていく。
果たして自分はどんな滅茶苦茶なテーマになるのだろう。
なんかオモロイの来い、いやでも意味不明すぎても困る。
いや困った方がおいしいか?などドキドキしながらコメントの沙汰を待つ。
いったいどんなテーマになったのか!?
「爆発と革命が起こす新時代のまくら」
「※」
うーん、なにこれ……
2つ目なにこれ?
記号が来るのは予想外。
意味不明なモノを投げてきやがって、オイシイぞチクショウ!
正確には米印らしいのだが、とりあえずアスタリスクとして解釈する流れになり、この日は解散。
結果発表まで3週間程度、頭を悩ませつつのCM製作がはじまった。
CM製作編
実は大体の構想は、実はテーマ決定後すぐに決まっていた。
他の参加者のように編集技術が優れているわけでも、演技がうまいわけでもない。
だからこう、勢いで行くしかない というのがあった。
アスタリスクってなんだ……わからん……わからんがそのまま押し切ろう、そうだアスタリスク仮面!!!助けてくれ!!!!!
blenderに籠って謎ヘルメットとヒーロースーツを作った。
自作アバターだとライセンスとか気にしなくていいから楽だよね。
アスタリスク仮面はなかなか良いアイデアだと思う。
でも滑るかもしれない。
もう1つくらい何かやりたい。
こういうのは第一印象が一番大事だ。
そうだ、リアルアバターを使おう。
開幕からマジかコイツって思わせてやるぜ。技術不足を誤魔化すためならなんだってやる
自分の顔は既に地上波に晒されてるし、今更恐れる事なんて何もない。
決して勝負ではないのだが、
大切な商品を預けてもらった以上は本気で何かを作りたい。
技術と演技はみんなに勝てないが、顔を晒すのは自分しか出来ないのでは?
そのうえでアスタリスク仮面の二段構えだ。
真面目な話をすると、私が宣伝するのは現実世界の商品である。
だからリアルのシーンをどうしても入れておく必要があると思った。
おふざけしつつ、そこはちゃんと宣伝したかった。
寝具や洗剤、風邪薬などいろんなCMを見た。
だいたいこういうパターンが多いように思われた。
まず悩みを持った人物がいる。
顔色が悪かったり、目の焦点があっていない。
そこに第三者が勢いよく登場。
「そんな悩みもこれで解決」
商品の良さについて軽く解説したあと、
最後はなんかさわやかな感じで終わる
分かりやすくて良いなと思った。
これをリアルアバターとアスタリスク仮面で行ったのが最初のシーンである。
撮影方法
VRシーン撮影にはResoniteを使用した。
ResoniteとはclusterのようなVRプラットフォームで、その場でアイテムを出したりワールドを編集出来るのが特徴だ。
Unityも動画編集ソフトも良く分からん、だから慣れてるツールを使った。
フルトラで演技するシーンもあれば、アバターをフィギュアのように置いて
撮影したシーンもある。
ボタンを押す事でいろいろ切り替わるようにギミックを組んだ。
今回使ったCompnentは全部おすすめ。
Fluxを使わずとも、ボタンで切り替わるアニメーションを作成することが出来る。
「BooleanValueDriver」→ボタンを押すだけで値の切り替えが出来る。「ValueMultiDriver」→複数個所を1つの値で管理出来るようになる。「ValueGradientDriver」→細かい値の調整とか凄く便利
いくつかはNeosVRの記事でいくつか解説しているので、そちらを見てもらえると嬉しい。
https://zenn.dev/ginjake/articles/10f85a02e0b863
カメラまわりの操作が直感的で、アンカー機能も非常に優秀。
というか、カメラアンカーをSpinnerでぐるぐる回すだけでそれっぽくなるよね。
電脳空間っぽく、ぶいすいーとの3Dモデルをワイヤーフレームにする案も考えた。
尺が足りなかったのと、ぶいすいーとの3Dモデルは他の方作成ということで、なんかあったらアレだし想定外の使い方は止めておくか~って事で没になった。
自作アバターのウェイトが適当すぎて貫通が酷く、
頑張って1時間撮影した後、気に食わずに修正してもう一度撮りなおした。
こんな感じでResoniteを撮影ツールとしてふんだんに活用した。
リアルでの撮影シーン
細かいこだわりとして、clusterゲーム革命のTシャツを着ている。
また、ROOXさんが販売しているケーブル・ランニングワイヤ VRにケーブルを通し、iPhoneで撮影した。
三脚などのまともな撮影機材がないので位置の調整が大変で2時間くらいかかった。
ここは普通に撮影しただけなので特に書く事がないかも
回復してない感を出すために顔を洗わなかったくらいだろうか。
動画編集
撮影したシーンは、Davinci Resolveで繋ぎ合わせた。
無料で使えてとてもおすすめである。
集中線やテロップを入れ、AIでボイチェンした声を入れた。
イベント会場とか、音がちゃんと聞こえない場所でも使えるようにとの工夫である。
今回は撮影も演技も全て一人。
アバター+AIボイチェン、本当に便利である。
人に頼めたら一番良いのだが、構図が定まってない以上無限に撮りなおしが発生して申し訳ない。
それなら満足行くまで一人でやるかという感じ。
結果発表
いよいよ作ったCMの発表である。
てかみんな凄すぎる。
滅茶苦茶なテーマだったにも関わらず、オモシロおかしくも商品の魅力が詰まったCMの数々。
発想も技術も凄くて、こう来たかぁと感心してばかりだった。
自分の番は一番最後。イカれたCMとMCのおかげで場が最高に温まった状態での放映である。
ある程度ウケた気がする?
ROOXさんのお気に召すか不安があったのだけれど、気に入ってくれて凄く嬉しかったです。
後日ぶいすいーとの本体まで頂いてしまいまして、本当にありがとうございます。
参加してみて
作ったCMはたったの30秒。
しかしながら、今まで作ったどんな動画よりも一番手がかかった。
短い時間の中で内容を削りつつ、魅力を伝えないといけない。
1秒1秒が本当に大切で、カットしたシーンもいくつかあった。
普段CMってちゃんと見ないけど、改めて凄さが良く分かります。
VRをやってると世界の解像度が上がるなぁと思う事がある。
美術ワールドに行くと美術何も知らんなぁ、ちゃんと勉強するかってなるし。
旅行をしていても建物のデザインとか空間設計を見るようになった。
この美術館の導線設計いいなぁ、道に迷わず自然な流れで鑑賞出来るようになっとる。
このカフェいいね、ちょうど疲れてきた頃なんだよ休憩したかった。
うちも参考にするかみたいな。
今回はまさしくそうで、CMに対する解像度が大きく上がったし、
何より動画編集の楽しさを知ることが出来た。
誘ってくれたてつじんさん、ROOXさん、他のCM製作者さん
本当にありがとうございました。
そしてclusterもResoniteもどっちも盛り上がって欲しい。
今回はツールとしてResonite、イベント会場としてclusterを使った形になったがいい感じになったと思う。
clusterの手軽さとResoniteの自由度、両方とも好き。
そういうわけで、アドカレ滑り込み推敲とか全然してない駄文でした。
読んでくれたみなさんありがとうございました。