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僕とネズミの話し最終話
次の日、僕はまた仕事に行く気にもなれず、昼近くまで寝ていた。
真っ白になった灰のように何もする気にもなれず、テレビをつけた。
ああ、ネズミさんの好きだった、いいともがやっている。
ネズミさんとなんとなしに見ていたいいともがなぜか泣けてきた。
そうですね!
またお決まりのフレーズを言っている。
そうですね!と観客席が映った。
えっ?僕は目を疑った!
ネズミが映ってる!客席に座ってる!
正確にはお客(女性)の太ももに座っている!!
えっ?えっ?ネズミさん?
すぐにカメラはゲスト側に移動してしまい、あれが、ねずみさん?
なのかどうか・・・
いやいや、ねずみさんが生きていれば、すぐに連絡くれるだろうし、お客さんの飼っているネズミかもしれないし・・・・
しかし僕は居ても立ってもいられなくなり、ネズミさんに連絡をしてみた。
えっ出ないよね。やっぱり空似だよね。
「あっごめん、今収録中だから。」
電話がつながったと同時に切られた!
ネズミさんだ!やっぱり今見えたのネズミさんだ!!
呆然とする中、静か~にふつふつと、こみ上げるこの怒りはなんだろう。
その後何度かけても圏外なので、収録が終わるのを興奮しながら待っていた。
あのやろう、生きてただけならまだしも、アルタ行って、いいとも乗り込んで、そうですね!
だと!
なんてやろうだ!
番組が終わると同時に連絡をした。
くそ!
通じない!まだ増刊号用の収録中か!!
1分が長い長い!
なんて言ってやろう!
あれは全部芝居だったとか?だとしたらもう!!
また少しして連絡をしてみた!つながった!!
ネズミさんの第一声
「やっと連絡くれたよ~!!見てた?収録?映った?俺映ってた?」
「うおおおーーーーーーーーーい」
大きなツッコミをいれた!
「テレビ出てたとかじゃないでしょうよ!生きてたんですか?」
「それがね君~生きていたんだよ~!すごくね!!ねずみリターンズです!」
「いやいや、そんなリターンズとかより、どうやって?ホントに毒チーズ食べたんですよね?」
「食べたよ。それに食べてなくて、ジョーダンでーす。とかもし言ったら、君、俺のこと殺すでしょ?」
「殺しますね。」
「えっ?食べてないんですか?」
「食べました。」
「えっ!ホントは?」
「だから食べました。」
「じゃ~なんで生きてるんですか?」
「運命の王子様がキスをしてくれたから、そしたら毒チーズがゲロっと。」
「本当は?」
「ただ普通にゲロっとね、もう上から下から大洪水よ!200グラムも痩せたもん!そしたらそのスリムなボディーで、檻なんてするっとね、スイカのごとく楽に通れましたよ!」
「じゃーどうして連絡くれなかったんですか?」
「携帯落としてな、データ全部飛んじゃってね、行き場の無いふらふらの僕を今のお姉さまが、助けてくれたんです。それで、彼女の家で看病してもらってたらいいともの収録行くっつーもんだから、そりゃ~行くでしょう?」
えっ?
僕は焦った、
「じゃー今の女性の家に今後も住むんですか?」
「ふん!ばっきゃーろー!彼女には俺の親友から連絡あるまでの期間だけ泊めてもらってるんだぜ!親友からの連絡があるまでだぜぃ!」
「じゃ~・・・・その親友っていうのは・・・」
「ぶぁっきゃろーい!それ以上言わすんじゃね-やい!アルタからの帰り道わかんね~から早く迎えに来やがれ!」
「わかりましたよ!アルタから離れないで下さいよ!すぐに迎えに行ってあげますから。ったく!」
携帯を切ると直ぐに着替えをすまし、人使いの荒いネズミさんの愚痴を言いながら、玄関を走り出た!
空はいつもより青く感じた。空気が透き通ってて気持ちがいい!
いつもより、足が軽く感じたし、いくら走っても疲れる気がしなかった。
もちろん手には封の切ってないチータラを持っている。
ネズミさんの喜ぶ顔が待ち遠しい。
僕とネズミの生活はこれからも続いてく。
おしまい