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死について考えるということ【日記:2024/1/7】

・「起きろ!いいサーフだ」同居人の声で目が覚める。昨日走った時にはだいぶ荒れていた海だが、夜通し吹いていたオフショアの風でいい波が立っているのだという。

・家からウェットスーツとブーツを履いていつものビーチへ。朝の時間帯なのにすでにサーファーたちは海に繰り出していた。タモもニコニコでボードにワックスをかけている。

・沖には綺麗なサーフが立っているが、僕が練習する岸に近い白波は崩れ気味。長いビーチを十分に観察し、気持ちよく練習ができそうなスポットを探す。

・こちらにきて、自然を見る目が着実に培われてきた、と思う。どんなスポーツもアクティビティも、周りの環境の観察にはじまる。よく耳を澄ませ、目を見開き、肌を撫でる風に神経を集中させる。

・なんども同じビーチを走り、サーフィンをすることでその土地の特性が分かってきたりする。この時間帯、この潮の大きさだと波はこちらがわに向かってくる、などを身体を通して学ぶ。

・何度も大きく崩れた波に押し流されつつも、数回白波をキャッチして乗ることができた。うれしい。いい1日のスタート。朝ごはんにベーコンエッグとハッシュドブラウンを大量に作ろう、と話し、タモを招く。

・シャワーを浴びて朝ごはんにしよう、としていると隣のレイチェルがエレーナをつれてやってくる。今日の午後まで子供の面倒をみてくれないか、ということだ。看護師である父親のルークは南部の村に出産の手伝いで数日出ていて、レイチェルはオンラインスクールがある。今日エレーナを遊ぶのは僕の役目だ。こうして信頼して任せてもらえるのはうれしい。

・最初に8月に出会ったときに比べて、エレーナは本当にたくさんの言葉を喋るようになった。子供の成長をこんなに間近で見られるのは貴重な体験だ。一緒に猫と遊び、川とビーチを散歩し、タモやミドリの家を覗きにいく。

・8月に1日面倒を見た時は相当泣き散らかしていたけれど、今日はママがいなくなって数分泣いたあとはご機嫌に過ごしてくれた。歌を歌うのが好きなようで、エレーナの名前の歌を作ってあげると喜んでいた。かわいい。

・レイチェルが引き取りに来たときにはすでに4時過ぎで、空はもう暗くなりつつあった。ほぼ一日中外にいてすっかり体も冷え込んだので、サウナに火を入れてじっくり温まる。来週はマイナス五度まで落ち込みそうだ。

・夜ご飯は昨日のクリームスープにパン。温まる。ここ一週間ほど読んでいたINTO THE WILDを読み終える。すごい本だった。ノンフィクションはやはり引き込まれる。主人公が実際に撮った餓死する前の自撮りの写真をネットで見つけて、その清々しい笑顔に心が締め付けられた。

・読み終わった頃にちょうど友達からメッセージがあった。「死ぬことっで怖いと思う?」この本には過去のさまざまな若者たちの旅と死が取り上げられていて、ちょうど死について考えていたからびっくりした。主人公のクリスや著者、そして彼らの前に極北の荒野に魅せられて行ったたくさんの若者は、自分がまさか死ぬなんて考えもしなかった。

・僕は死ぬのが怖いというよりは、人生の短さが怖いと思う。あと何回季節のサイクルを目にできて、あと何回この場所を訪れることができて、あと何回素晴らしい旅ができるのか。美しい景色を目にしたり、久しぶりに友人と会って心が昂ったとき、ふとそう思う。そして、ひとの一生の短さを恨む。

・死という究極の時間制限がくるまで、やはり僕は周りの大切な人と一緒に時間を過ごし、自分のからだでめいいっぱいに地球を感じ、創作欲を撮ること・書くこと・描くことで発散させたい。今年も激しく生きよう。

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上村幸平|kohei uemura
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