No1 犬を飼う日が来るなんて


子どもの頃からずっと猫派だった。猫派だとか犬派だとかそんな概念が芽生える前から、家に猫がいたから生まれた時から猫が生活の一部だった。
覚えている歴代の猫の名前は【ちま】【ぼうず】【みーちゃん】【しょう】の4匹。他にも家に住みつく猫もいたりして、「ねこちゃん」と呼んだりしていた。子どもの頃からそんな生活だったから、自然と猫モチーフのものを集めたり、お絵描きをさせれば「猫」を描いていた。
犬が嫌いなわけではなかったけど、身近にいるからという理由だけで圧倒的に「猫が好き」となっていた。
そうして犬の良さを知る機会が無いまま大人になっていた私は、ある日、ふと「大きな犬に乗りたい」と突然前触れもなく思った。
確か20代後半の頃だったと思う。「大きな犬を飼って、乗りたい・・・」となぜか本当にふとそうした思いが脳内をよぎった。映像でそうした類のものを見たわけでも無ければ、映画や本の影響でもなく、思いついてしまったというのが正しい表現だと思う。
そしてなぜかその時に思い浮かんだ犬種が「秋田犬」だった。
今なら分かる。秋田犬に大人の人間が乗れるはずがないし、犬にとっては大迷惑な話だと。
私は自分の人生を振り返っても、こんな風に突然の思い付き?閃き?を受け、実際にやらないと気が済まなくなってやってみるものの、「思ってたのと違う」という経験を山ほどしてきた。例外ではなく、秋田犬に乗りたいという思い付きもそうだった。
ただし、秋田犬が想像の500倍可愛かったので、乗れなかったこと以外は嬉しい誤算だらけだったこともここに書き残しておきたい。

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