ショートショート/「救いの御子」
まだ年端もいかぬ若い見習いシスターが尋ねた。
「神父様、クリスマスには七面鳥を食べるという慣わしがありますよね。
でも七面鳥さんも私たちも同じ命・・・。少し可哀想に思えるのです」
神父はにっこりとほほ笑みながら答えた。
「確かにそうですね。神様の下、すべての命は同じ重みを持ちますからね。でも、近頃はある方のおかげで、その慣わしを行う家庭は少なくなってきていると聞いていますよ」
「まあ、そうなのですか!それは嬉しいです。七面鳥さんにとっては救いの御子ですね!!」
見習いシスターは胸の前で両手を合わせて喜び、さらにこう尋ねた。
「そのお方のお名前はなんとおっしゃるのですか?」
神父は何かを思い出すように、壁のステンドグラスに目をやり、やがてこう答えた。
「確か・・・、ケンタッキーさん、と聞いていますよ」