真イカのパプリカソースに捧ぐ鎮魂歌(レクイエム)
先日、令和最大級とも言える衝撃的な事件が起こった
サイゼリヤの大人気メニュー「真イカのパプリカソース」の販売が終了になるというのだ
あの、真イカのパプリカソースが
販売終了―――
このショックによって米津玄師は名曲「lemon」を書き上げたと言われている(私の中で)
※今でもあなたは私の光
私が先日まで暮らしていたマンションは、目の前にサイゼリヤ、角を曲がれば日高屋、振り向けばすき屋、音を立てず忍び寄る富士そば、といった感じで「激安チェーン店の博覧会」みたいな街でした
おしゃれなイタリアンもいいけれど、私が一番好きなのはやっぱりサイゼリヤでした
グラスワインを100円から楽しむことができるリーズナブルさもさることながら、エスカルゴやカプレーゼ、生ハムなどの本格派のおつまみも充実しており、万人受けする美味しい料理を間違いなく提供してくれるという安心感のあるお店なのです
週末になれば口癖のように「サイゼ行く?」と彼氏をしつこく誘いました
サイゼリヤで待ち合わせて、先に着いた方が「柔らか青豆の温サラダ」を2皿注文しておくということが決まりになっていました(1人1皿)
中でも私が好きだったのは「真イカのパプリカソース」です
このメニューがすごいんですよ
「とりあえず何かつまみたいとき」、「あまり食欲がないとき」、「豪快にワインを飲みたいとき」、「最後に何かひとつだけ注文して満足したいとき」etc...
そのどんなシーンにも寄り添ってくれるメニューなのです
しかも1皿199円(税込)
「価格崩壊」と書いて「サイゼリヤ」と読むのか?
でも、そんないつも味方でいてくれた真イカのパプリカソースはいなくなってしまう――
その理由を広報のご担当の方が語っている記事があった
"原料品質を下げてまで同じ商品を販売すべきでないと判断”―――
「誠実」という概念の生まれ変わりか何かなのかと疑いたくなる理由に、私は涙を流しました
これは受け入れざるをえない
こんなに愛されている商品を、苦渋の選択で販売中止にしたその姿勢に、心からの拍手を送りたいです
しかし、もう一人の私が叫んでいました
「あと200円くらい上乗せしてくれてもいいんだよ!!!!?」
降りしきる雨の中、サイゼリヤを抱きしめながら私はそう叫びました
でもサイゼリヤは
「お客様の満足のために、それはできません…」
そう言ってはにかむだけでした
サイゼリヤが好きだ……
そして、真イカのパプリカソースが大好きだ
でも、もうすぐあいつはいなくなっちまう
いてもたってもいられなくなり、土砂降りの中、私は傘もささずに真イカのパプリカソースを探しました
向かいのホーム、路地裏の窓、こんなとこにいるはずもないのに(名曲からの引用)
ふと気づけば、雨は止んでいました
空を見上げると、大きな虹がかかっています
まるで真イカのパプリカソースが笑っているみたいだ、そう思って、私も笑いました
真イカのパプリカソースよ、永遠に―――
≪本日の一曲≫ この街には君がいない/忘れらんねえよ