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突然の猫ミーム

2024年、一本の猫ミームが生まれた。
それは愛らしい猫たちがキレキレのダンスで登場したかと思うと、
ナンセンスなボケと鋭い突っ込みを高速で繰り出し、
最後はこの世のモノとも思えない声で「ボエ~」と熱唱するという
奇妙奇天烈摩訶不思議ながら、中毒性の高いものだった。

最初は猫マニアの間で広まったが、
暇と自己顕示欲を持て余したギークらがコラージュや改ざんを繰り返し
動画の亜種を展開すると、ブームに火が付き、目ざとい広告代理店が
テレビCMに流用するに至り「猫ミーム廃人」が社会問題となった。
仕事中も授業中も、電車の中でも、用を足していても、
四六時中、動画をチェックしないと気が済まないのだ。

そして翌年の2月22日(土)22時22分、いわゆる「猫まみれ」の瞬間、
ネットにつながれた全世界のコンピュータに突然、かの猫ミームが現れた。
それを目にした人間は、人語を介しての意思疎通ができなくなり、
人類はそれまでに築き上げた文明を失った。

猫族はこの日を「建国を偲び、種の繁栄を祈るための祝日」と定めている。


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