理由があったとしても許されない場合
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今度はアルソック兵庫での不適切動画がアップされた。ついに警備業界でもこういったことが起こってしまった。
車両巡回における迷惑運転行為を実際に運転中に実演し、その禁止を教育内容とする動画をスマホで撮影した上で、ネットにアップした行為が問題となっている。
この社員はその後、退社したという(以下、退社社員)。
単に退社社員のわがままなら論外として、ひょっとしたらいろいろあったのかもしれない。
会社から理不尽に扱われたと思ったのか、日常業務自体にやるせない不満があったのか、それは当事者にしか分からない。
でも仮にそうだとしてもそんなことをいったら、雇う側のパワハラだって、例えばいくら言ってもいうことをきかないとか、全く仕事を覚えてくれない、お客様に対する対応がお話にならないといった社員側に非があることがことが多い。ハゲーで有名な例の事件を思い返してもらいたい笑。
それでも、パワハラはやはりパワハラ。
だから問題を起こした退社社員のやっていることはいくら理由があっても、ブラック企業のやっていることとたいして変わらないように自分には思える。
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つまり、この問題の肝は必要性ではなく相当性にあるのだと思う(単に個人的理由からむかついたとかむしゃくしゃしたといった身勝手な必要性すらない場合は論外)。
会社には会社側の、社員には社員側の正義や理屈がある。
そんな2者が自らの意思で約束を取り交わすのが契約。当然両者には互いを尊重する義務があり、それは明文化の有無に関わらない。
当然、二者の間でアンフェアなことがあれば、それに対し、抗議すべき必要性が生じる。
その上で、そのためにお互いを尊重していく中で両者のバランスをとっていくための手段を考える。それが相当性の肝だと思う。
相当性の有無に関しては当事者間の関係の他に、行為の性質・態様、相手側に与える影響やダメージの大きさ、代替手段の可能性の有無や妥当性、その行為に至った背景を加味して判断するのが妥当だと思う。
今回のケースでいくと仮に退社社員がアルソック兵庫に待遇面等で抗議する必要性があったとしても、それに対しては、その退社社員はまずは当事者同士で話し合えばよかったんだと思う。
それでも納得がいかないなら会社を辞めるとか、場合によっては専門家の力を借りて、お互いが納得いくように話を進めれば良かったのだと思う。
にもかかわらず、いくら納得いかないことがあったからと言ってこんな動画をアップされたら、モノじゃなく目に見えないサービスを売る警備業者は致命的ダメージを喰らい信用を失う。中小企業だとリアルに倒産の可能性が高まる。倒産した場合、自分の職場仲間が職を失い路頭に迷う。いくら今の時代、売り手市場だといってもそんなにすぐに次の仕事が見つかるほど世の中甘くはないだろう。
よって、この退社社員はやりすぎ、不相当、相当の逸脱の感は拭えないと思う。
逆にやりすぎの部分の違法に関してはアルソックから訴えられる可能性も高いだろう。
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この社員は面が割れているので、もう警備会社のみならず、雇うところは限られると思う。
まあ、自業自得だろうなあ。
結局、必要性すらないモンスター系は論外として、多くの場合、自分の正義ばかりの必要性に傾きすぎているところに企業も不適切従業員もクレイマーも、そして下請いじめの問題も出てくるのだと思う。
AIやロボットじゃなく人間がやっていることなんで、ある程度は仕方ない場合もある。
それでもやりすぎじゃないか、相手のことも考えての事か、考える必要はある。
これは自分も含めたすべての人や組織がいつでも陥る危険性がある問題なので、みんなで考え続ける問題だと思う。