健全な支出は最大の利益

1. 今、明石営業所があるので、基本的に神戸までは電車でいくのでほとんど利用しないが、昔、買い物しに神戸まで車で行った際、某デパートで3000円以上買い物すれば、1時間500円の駐車代が3時間無料という駐車場を利用し、無駄遣いをしたものだ。

冷静に考えれば,1500円を免れるために3000円を支払っていることになり、1500円の損。

本当にそのデパートで欲しいものがあればお得だが、そうでなければただの無駄遣い。

2.(1) こういった目先の損を免れるために、さらに大きな損を選択してしまう人間の心理を説明する理論にプロスペクト理論というものがある。

この理論はプリンストン大学名誉教授で認知心理学者のダニエル・カーネマンが提唱した意思決定モデルで行動経済学の代表的な理論の1つとされる。

この理論は以下の2つの概念で成り立つ。

すなわち①損失回避と②参照点

A  まず①の損失回避とは人間は損をすることを異常に嫌う、ということ

例えば、パチンコでも競馬でもいいのだが、賭け事をしたとき、人は1万円儲かった時の喜びよりも、1万円損した時の苦しみのほうが、2〜2.5倍も大きく感じるとのこと。
だから負けた時、その損失分を取り戻すために、人はまたお金をそこにつぎ込んでしまう。そうやってどつぼにハマってしまう。

B  次に②参照点とは損かどうかは絶対額でなく相対的な感覚で決まる、ということ。

例えばよく飲食店にいくと松竹梅の3つのコースがあるが、多くの人は真ん中の竹を選択してしまう。でもそれを選ぶ合理的な理由はない。なんとなく真ん中なものがちょうどいいという主観的なイメージ(特に日本人が抱く)で決まるもの。

(ちなみに売り手はあえてそんな人間の心理を逆手に取って、本当に売りたいものを竹において松や梅をおとりにするといった枠組みを変える事で感じ方を変えるフレーミング効果というやり方を使う。)

(2) こういったことを意識しておくと、企業経営においてもより合理的な判断ができると思う。

例えば、税金対策にしても、たまに税金に取られるくらいなら外車を買ったり、いいマンションを買う方がましだという方がいらっしゃる。

しかし、その結果、普通に税金を払う以上に会社の現預金が減って、不況時に一気に資金繰りが悪化し、経営が苦しくなる。

また、自社のような警備業でいえば、人件費なり教育費用を切り詰めたいあまり、減らしすぎると、隊員のモチベーションが悪化し、かつ十分な教育もうけていないので、質が悪化する。

その結果、契約が更新されなくなったり、新たな仕事がこなくなくなったりする。

3.  大切なのは目先の損失に目を奪われずに、払うべきものはしっかり払い、払わなくてもいいものは払わないという健全なコスト意識なのではないか、と思う。

そういう意味で健全な損失は最大の利益なのである。

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