事業承継は“超友好的”な乗っ取り

1. ドラマ「ハゲタカ」を見た。やっぱテレ朝よりNHKバージョンの方かなと思った。

まあこういうのは好みの問題なんで人によって評価はまったく違うと思うし、どちらかというとテレ朝の方が真山仁氏の原作小説に近いのかもしれない。でもヒールを水戸黄門に仕立てるのには違和感が残る。綾野剛より大森南朋の方が鷲津政彦って感じがするしね。

それはそれとして、このドラマの世界では経営権すなわち過半数の株式取得を巡って、投資ファンドの暗躍の下に、伝統ある企業の創業者一族や大企業等の旧来のエスタブリッシュメント層と外資やベンチャー企業といった新興勢力が激突し、プロキシーファイト(株主総会の開催前に、多数の株主から委任状を根回ししてもらっておくこと)やTOB(買収側の企業が、被買収側の企業の株式を、価格、株数、買付期間などを公開して、株式市場を通さずに直接株主から買い取る方法),ゴールデンパラシュート(敵対的な買収の結果、解任される取締役に巨額の退職金を支払うように前もって定めておくことで敵対的買収を抑止しようという方策のこと)等の用語が飛び交う。

同じような世界は現実社会だと有名どころでは大塚家具の親子での経営権争いが有名であるが、何もこういう世界はドラマやニュースだけのものじゃなく、全国の多くの中小企業の事業承継で起きていること。

2. 息子なり娘といった後継者が先代から会社を受け継ぐということは、それがどんな内容であれ、後継者が株の過半数を手に入れ、経営権を取得するM&A、つまりは乗っ取り行為の側面を持つ。

ただ、その乗っ取り行為が敵対的だと大塚家具みたいに社員や取引先を巻き込んだ争いになり、「ハゲタカ」の介入を許してしまう。

逆にそれが友好的であればあるほど、会社の維持・発展に勤しめる環境が整っているので、バトンを受け取った後継者は新たな価値の創造に向かってダッシュしやすくなると思う。会社が繁栄する確率も当然高まる。

3. そういう意味では自分は恵まれていた。理解のある先代と、協力的な番頭、そういった方々に助けられ、無事に経営権の乗っ取りに成功したといえる。

自分の師匠も事業承継について価値あるものを生み出すために価値あるものを受け取る超友好的な乗っ取りであるとおっしゃっている。

自分の乗っ取り行為が超友好的だったかどうかは今後の展開を見ていないと分らない部分があるが、そういえるように自分のやるべきことを実行していきたいと思う。


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