責任に見合った報酬を!
1.この前、警備検定施設警備2級に合格したウチの隊員(今はある部門の副隊長)と面談をしたところ、今回の試験からバックドラフトが範囲に加わったと言っていた。
バックドラフト。
確か、とある消防士の兄弟を軸として火だけでなく議員達の合理化施策に翻弄されつつも、それと向き合い、戦うアツき男達のストーリーだったと思う。
料理の鉄人にも使われたテーマ音楽も印象的だった。このときにキーワードになったのがバックドラフトだった。
ちなみにバックドラフトとは例えば冷蔵倉庫のような気密性の高い室内空間の火災で、燃焼により酸素が欠乏して一旦鎮火した状態になってから、ドアを開けたり、窓を割ったりすることにより、大量の酸素が流れ込み、爆発を引き起こす現象のことを言う。
一見鎮火したかに見えて窓をあけると爆発する。
そんなプロですら苦戦をバックドラフトが警備検定の試験範囲になるということはそれだけ、初動対応において警備員に求められるものが増えたと言うこと。
2.(1) 映画「タワーリングインフェルノ」でもそうだったが、この手の作品の多くでテーマとなるのが、安全と経済合理性のトレードオフという関係でこの作品もその例に漏れない。
公的な警察や消防ですら財政状態が悪くなればこの文脈に悩まされる。
ましてや民間警備はなおさら、である。
求められる役割が増えたなら、それに従事する隊員に対して当然それに見合った報酬
を経営者としては与えたい。
でもそれは取引先、もっと言えば社会の安全に対する理解が伴って契約金額をいただかないと厳しい。
だからこれからは契約交渉の場面でも今まで以上にその重要性を説明するつもりでいこうと思う。
でもそれだけでは限界があると思う。その場合は国なり社会の規制による保護が必要になると思う
何度も申し上げたように、人の低コスト、コスト削減は現場の人間の士気にもかかわる。
何かあればバッシングするほど多くのものを警備員に求めるなら、取引先の方々、および社会はそれに見合ったものを与える道義的義務があると僕は思う。
(2)東京オリンピックではテログループによる脅威が取りざたされている。
外事3課を始めとする警察が直接的にそれらの脅威に対処するし、民間警備もまた、施設の出入管理や巡回という形で、警察を補佐する役割を担うだろう。
彼らの経費を削減すればどうなるかを自分たちは一度真剣に考えるべきだと思う。
神の見えざる手を盲信し、安くしか売れないのは社会的に不要なんですよと悪びれずにいう考えは社会を不幸にする。
目先のお金ばかりに目を奪われれば安全の、もっと言えば人間のバーゲンセール化が進行し、本当に大切なものを社会は失うということを、僕は経済合理主義者に強く言いたい!