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Vtuberの切り抜き動画チャンネル収益化の可否と、収益化することの何が問題なのかについて

はじめに

注意:この記事は2020年当時の規約に従って書かれているため、最新の規約に関しては各事務所の公式サイトをご確認ください。

今回もバーチャルYoutuber(Vtuber)に関するお話です。今回は切り抜き動画に関してです。まず、切り抜き動画とはなにかについて説明します。

切り抜きとは、長時間動画(主に生放送)が第三者によって特定場面のみを抜粋され、カット等編集の上で再投稿されたものである。

ニコニコ大百科(仮)ー切り抜きとは(キリヌキとは)より引用

https://dic.nicovideo.jp/a/%E5%88%87%E3%82%8A%E6%8A%9C%E3%81%8D

そして、ここでの切り抜き動画での収益化の問題に関しては、Youtubeのことを指すことにします。また、ここでは、切り抜き対象のVtuberに関しては、にじさんじとホロライブのVtuberについて指すことにします。他企業勢や個人勢に関しては、ホームページやTwitterにある規約にて各自ご確認ください。

ニコニコ動画における切り抜き動画の収益化について

Youtubeだけでなく、ニコニコ動画でも、にじさんじやホロライブなどの企業勢の切り抜きは盛んに行われています。そして、時々、ニコニコ動画の切り抜き動画に、クリエイター奨励プログラムという再生数に応じてポイントが貰えるプログラムがついている事があるかと思うのですが、これはいちから株式会社やカバー株式会社が「クリエイター奨励で利用可能な著作物一覧」として公式に認めています。(画像は、ニコニコヘルプ内の「クリエイター奨励プログラムに対応している著作物一覧」より)

クリ奨

上では、前述した企業に加えて、田中工務店も対象になっていることがわかります。つまり、にじさんじ所属のタレントと、ホロライブ所属のタレント、あとはヒメヒナがクリ奨に対応している、ということになります。

それに対して、Youtubeでの切り抜き動画に関してはどうでしょうか。

Youtubeにおける切り抜き動画の収益化について

にじさんじ(いちから株式会社)

にじさんじに関しては、第6条(販売について)によって販売活動について書かれてあります。

第6条(販売について)
コミックマーケットやインターネットを利用した同人誌や二次創作グッズの販売等のうち、みなさまの趣味の範囲内の活動であれば、本コンテンツの二次創作作品を販売することはできます。しかし、その販売行為を、ファン活動を超えた事業活動として行ってはならないものとします。また、第1条第2項で記載いたしましたとおり、本コンテンツをそのままコピーする行為(またはこれと同視できるような行為)によって製造された物は、二次創作作品とはいえないため、これを販売する行為は一律禁止します。

(いちから「二次創作ガイドライン」より一部抜粋)

これを読むと、にじさんじの収益化した切り抜き動画は、「本コンテンツをそのままコピーする行為(またはこれと同視できるような行為)によって製造された物は、二次創作作品とはいえないため、これを販売する行為は一律禁止します。」というところに抵触するように取れます。

ホロライブ(カバー株式会社)

一方でホロライブに関してですが、「二次的創作ライセンス規約」第2章(定義)で規約に書かれてある各用語の意義が書かれてあります。これを参照して、切り抜き動画がどれに該当するかというのについて見ていきましょう。

第2条 (定義)
本規約において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによるものとします。
(1) 「本キャラクター」
当社が権利を保有するキャラクター(その存在を他と区別するために、名称を付与され、その他音声、外見、性格、世界観等によって特徴づけられた抽象的概念を表現するために創作された、絵画の著作物をいいます。)の全部又は一部をいいます。
(2) 「利用者」
本規約を承認の上、本キャラクター又はその二次的創作物の全部又は一部を利用する法人、団体、個人をいいます。
(3) 「二次的著作物」
著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、または脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物をいいます。
(4) 「改変物」
著作物を変更、切除その他改変して作成したものであって、二次的著作物に該当しないものをいいます。
(5) 「二次的創作物」
改変物および二次的著作物、その他著作物に依拠して作成された著作物を総称したものをいいます。
(6) 「知的財産権」
著作権、特許権、実用新案権、商標権、意匠権その他の知的財産権(それらの権利を取得し、又はそれらの権利につき登録等を出願する権利を含みます。)をいいます。

この中で、切り抜き動画は(4)の「改変物」にあたるものと言えるでしょう。その理由としては、「著作物を変更、切除その他改変して作成したもの」という文言が切り抜き動画の性質に合致しているからです。

また、第4章 (本キャラクターの利用許諾範囲)第2項(6)に、商用利用に関して書かれてあります。それによると、

第4条 (本キャラクターの利用許諾範囲)
1 当社は、利用者に対し、当社キャラクターについて、本ライセンスの各条項およびガイドラインに従い、利用者自身による以下の行為を非独占的に許諾いたします。
(1) 本キャラクターの二次創作物を作成すること
(2) 利用者自ら作成した本キャラクターの二次創作物を複製、上演、上映、公衆送信、展示または頒布すること
(3) 利用者自ら作成した本キャラクターの二次創作物のタイトル、説明文等に本キャラクターの名称の全部または一部または愛称を使用し、または当該二次創作物に本キャラクターの名称の一部を用いた独自の名称を付与すること
2 利用者は、前項の利用にあたり、以下の各号に掲げるすべての利用条件を遵守するものとします。
(1) 第三者の知的財産権その他一切の権利及び名誉を侵害しないこと
(2) 本キャラクターの名誉・品位傷つける行為をしないこと
(3) 公序良俗に反する行為や目的、暴力的な表現、反社会的な行為や目的、特定の信条や宗教、政治的発言のため利用しないこと
(4) 本キャラクターの公式商品であるかのような誤解を招く利用をしないこと
(5) その他、当社が不適切と判断する行為に利用しないこと
(6) 商用利用に関しては、当社より事前の承認を受けるものとすること
3 利用者は、当社が本ライセンスで許諾した権利を第三者に再許諾することはできないものとします。

https://www.hololive.tv/terms

第2項(6)には、「商用利用に関しては、当社より事前の承認を受けるものとすること」と書かれてあります。つまり、商用利用をする際は、カバー株式会社から事前承認を受けなければならないということです。この章の二次創作物が、二次的創作物のことを指すとすれば、切り抜き動画は、収益化しても問題はないが、「(1)~(5)に加えて、カバーの事前承認が必要である」ということになります。つまり、カバーの事前承認を受けていないにもかかわらず、切り抜き動画に広告を付けて収益化しているチャンネルは規約違反ということになります。

ここまでのをまとめると、にじさんじは直接明記はしていないものの、切り抜き動画のような、いちからのコンテンツをそのままコピーする行為は、二次創作と言えないため、収益化(販売)することはできない。つまり、収益化NGであることがわかります。一方で、ホロライブも直接明記はしていませんが、改変物が切り抜き動画にあたり、また商用利用に関しては、カバーの事前承認を得なければならないということになります。つまり収益化はNGではないが、事前承認が必要であるということです。

参考:のりプロでの切り抜き動画の扱い

参考ですが、犬山たまき氏を始めとしたVtuberが所属する個人事務所の「のりプロ」に関しては、犬山たまき氏/佃煮のりお氏の公式Twitterにて、切り抜き動画の収益化NGと明記されています。

切り抜き動画の収益化がなぜ問題にされるのか?

そして、ようやく本題の、「第三者の切り抜き動画チャンネルの収益化がなぜ問題なのか?」という事に関してですが、理由は明白で、元配信よりも第三者の切り抜きが再生されることで、本来再生されていたはずの再生数が取れず、Vtuberの利益を奪うことになりかねないからです。あとは、これに関しては私見になってしまいますが、他人の褌(Vtuberのコンテンツ)で相撲を取る(切り抜いて広告付けて稼ぐ)行為が好ましくないからだと考えます。

もしかしたら、「別に切り抜きしてる人も編集大変なんだから、対価に収益化することぐらい別にいいじゃん、動画面白いし」と反論する方がもしかしたらいるかもしれませんが、私はそれに対して、「面白い切り抜き動画が生まれるのは、編集の力もあるが、基本的はVtuber本人が面白いからであって、再生されるのも本人のコンテンツ力が高いからである。その人気に寄生して規約に違反して金稼ぎをする行為は社会通念上望ましくない」と再反論させていただきます。

また、公式切り抜き動画なるものがありますが、これは、本人の魅力を知ってもらう他に、切り抜き動画の収益が第三者でなく、本人に適切に行くようにするための取り組みであると考えます。

そして、収益化されてない切り抜きに関しては、基本的に黙認ではあるが、のりプロの切り抜き動画のルールに書かれてあるように、字幕や効果音、エフェクトなしのカット編集のみ施した切り抜き動画は、Vtuberの収益化が剥がされかねないのでNGであるということになり、これは他のVtuberのチャンネルも同じような感じだと思われます。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

追記(2020/12/01)

このnoteは収益化自体を否定してる訳ではなく、ホロライブや個人勢に関しては、事前に承諾を得た上で、難しいかもしれませんが、例えば切り抜き主と事務所や個人勢の場合はVtuber本人と、相談した上で収益を折半(5:5)や別の比率で分配すると言った方法で、切り抜きを事務所や本人公認にした上で、本人に利益が行くような形であれば、別に収益化しても構わないと私は思っています。

実際にVtuber以外のYoutuberで折半や収益を本人指定の比率で分配することで、公認の切り抜きチャンネルとなっているところはあります。

例:もこう氏(ゲーム実況者)、スーツ氏(鉄道系YouTuber)

ただ、事務所の規約を守らないで収益化をしている切り抜きチャンネルに対しては、それは駄目だと思っていますが。



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