教会のこどもたち
「あなたたち、早く寝ないとあしたにひびきますよ。明日は学校なのですから。遅れては怒られてしまいますよ。」
「えー、まだ眠くないよー!」
俺たちは口を揃えてそう言う。
俺は宮崎清平、12歳の中学一年生だ。
俺はこの教会孤児院に8歳から世話になっている。
この孤児院には俺の他に5人のきょうだいとシスターがいる。
16歳の高校生、アスカ姉。
10歳の小学五年生、妹のネル。
8歳の小学2年生、弟のカナデ。
5歳の弟、イロハ。
10ヶ月の弟、アズキ。
そして、シスター。
シスターは行き場のない俺達を助けてくれた大恩人だ。
俺たちはシスターが大好きだ。
本物の母親に近い存在だから、やはり駄々も捏ねたくなる。
「シスター、ご本読んで!」
とイロハが言うと俺達も読んで読んでの大合唱。
俺達はシスターの読み聞かせが大好きだ。
「読み終わったら眠りましょうね。」とシスターも乗り気で棚から赤い絵本を取り出した。
そしてシスターが自分の布団の上に座ると、俺たちはシスターの周りに集まる。
イロハはシスターの膝の上、カナデとネルは肩に寄りかかり、俺はネルの隣で座り、アスカ姉はカナデの隣にアズキを抱っこしながら座る。
俺たちが定位置に着くと、シスターは穏やかに、そして感情豊かに童話を語り出した。
俺たちが挿絵とシスターの声に夢中になるうち、絵本はとっくに卒業した俺やアスカ姉も聞き入ってしまう。
そして物語が終わる頃には、イロハとカナデ、アズキはすでにねいきをたてていて、ネルも俺もアスカ姉もうつらうつらと眠くなる。
俺たちはシスターにおやすみなさいというと、シスターは俺達1人ずつのほっぺにキスして、布団に入る。ツギハギの多い布団でも、シスターの読み聞かせのおかげでいつもぐっすり眠れた。
こんな素敵で温かい夜が続いて欲しいと願った。
いや、続くと思っていた。
でも、現実ってのは空想のようにうまくはいかない。