iPhoneほしい
シンガポール生活も4か月目に入る。
最初はなんと味気のない国だろうと思っていたが、だんだん視点が慣れてきた。タイにいた頃とは全く違うことがこの国では学べることに気づいてきた。特にお金と仕事についてだ。とても初歩的で誰でもわかっているようなことかもしれないけれど、体験に基づいて実感として得られたことなので、まとめておこうと思う。後になって読んで何か役に立つかもしれない。今回はお金編。最近お金の話ばっかりな気がするけど、まぁいいでしょう。
ほしい!
ちょっと前の飲み会で少し飲み過ぎた。
翌朝、気がつくと携帯がバキバキに割れていた。
しまった。きっと何処かで落としたのだろう。ケースをしていなかったのも失敗した。まぁ、破れたのはほとんど裏面だけでカメラも無事だ。使用にあたっては問題ない。
そのタイミングに合わせたかのようにiPhone15が販売された。
別に買い替えるつもりは無かったのに、iPhone新機種の紹介動画や機能紹介ページを見てしまった。
ここらへんから色々理由を作り始めた。
なんでも今回はtype-Cがいよいよ搭載されるようだ。これまでのAndroidのアクセサリをそのまま使える。
便利だ。
そもそも個人のPCがMacでヘッドフォンもAppleだ。互換性がとてもいい。いちいち設定画面から接続するディバイスを選択しなくていいらしい。
便利だ。
今回バキバキになった機種は2017年発売の機種で結構挙動も遅くなってきていた気がしたんだ。(普段はそんなこと気にしたことない。)容量も64GB。結構使い切ってしまっている。iPhoneは写真が綺麗だと聞いていた。せっかく海外に出ているのだから、綺麗な景色をもっといいカメラで残せなくてもったいないなぁ、と思っていた気がしていたんだ。きっと。
気がつくと私はApple Storeでピカピカの展示機を持ちながらProにするか無印にするか悩んでいた。これを選ぶのが結構楽しい。自分に必要な機能と価格をすり合わせてどれにするか考えると夢が広がった。Proは結構オーバスペックな気もするし無印がいい。色はブラックがカッコいい!
物欲の果てに
7月にこっちに来てからかなり貯金も順調にできていたので、今すぐにでも買えるが、ちょっと衝動買いになってしまう気がしたので10月末まで待つことにしていた。
このことを喫煙所で会社の先輩に話してみた。
「今月末くらいにiPhone15にしようと思います。」
すると彼は少し意地悪な顔で言った。
「せっかく最新なのにすぐ買わなくていいの?今月末まで待ってたら他の人も15にしてしまうかもよ。もう今週末買っちゃいなよ」
「え、、」
確かに。せっかく最新なのだから他の人より早く買いたい!
自慢できなくなっちゃうじゃないか!
でも意を決して言う。
「いえ、とりあえず待ちます。」
先輩は葛藤する私を面白がって
「ふーーんw」と言って喫煙所を去った。
ほしい!
私の頭はiPhoneでいっぱいになった。
最新のiPhoneを手に入れるのが楽しみすぎて、ネットではレビュー動画ばかり見るようになって、コンテンツのオススメには常に『iPhone15!買うならどっちか!?』みたいな動画が表示されるようになった。そしてドンドン欲しくなる。
まぁ、ここくらいまでは楽しかった。私は普段、酒かタバコくらいにしかお金を使わないので大きめの買い物は結構エキサイティングだ。
しかし、今日改めて展示機を見に家電屋に足を入れるとiPhone15ではないものが私を釘付けにした。家庭用プロジェクタだ。
これがあれば自宅で映画が見られる。PCの小さな画面で見なくてよい。友達を呼んだら、さぞ楽しいだろう!iPhone15の次はこれが欲しい!
プロジェクタ購入のための価格計算の算段を立てる自分に気がついて我に帰った。
あれ?これやばくね?
窓のない部屋
プロジェクタの前で私が思い出したのは小学生の時に読んだ星新一の小説だ。題名は忘れたが確かこんな話だった。
買い物は楽しい。
街に出れば素敵な品物がたくさん見つかる。
買った商品やサービスは私たちの生活を豊かにしてくれる。
でも、iPhoneを買って、プロジェクタを買ったら私は満足するだろうか。
きっと、また別のものが欲しくなる。
私の部屋には窓がついているので物は捨てられるが、物欲に押し潰されてはいないだろうか。気を抜けばあれもこれも欲しくなる。どんなにお金を持っていても、安直に買ったものは絶対私を幸せにはしてくれない。
とりあえずiPhoneは今月末まで待とう。
プロジェクタは一旦やめておこう。
お金を正しく使うのは本当に難しい。
最後まで読んでくれてありがとう。
次回も楽しみにしてくれると嬉しい。