
タイで和太鼓チームを作るなら
もしタイで和太鼓のチームを作りたいとしたら、何が必要だろうか。私はもう和太鼓のプロになろうとは思わないけれど、週末の気晴らしに叩く場所がほしい気もする。実行するかは未定だけれど、今回はタイでチームを作る妄想をしていきたい。
耳の痛い質問
タイで就活を進めるなかで、日本の就活ではなかった話題になることが多い事に気づいた。
「和太鼓の道で行こうとは思わなかったのですか?」
ここまでは日本の就活でもよく聞かれる。私はあらかじめ用意しておいた答えを返す。
「はい、大学で和太鼓の活動には区切りをつけて、他にも自分が興味を持った分野でも戦ってみたいと感じています。」
日本では太鼓の話はこれ以上深掘りされない。
しかし、タイではここで終わらない。
「タイで演奏する予定とかあるの?」
「大学で区切りを付けようと思ったのはなんで?」
「教室とか開かないの?」
「海外の人は日本の太鼓にどんな反応をするの?」
私は就活の面接で和太鼓の話題に関してあまり深掘りされたくない。和太鼓と私の関係に関しては自分でも答えが出ていないことがたくさんあるのだ。和太鼓にイマイチ積極的でない私を見て、面接官は悟ったように言う。
「もしまだ太鼓が好きなら、やらないと後悔するよ」
後悔。
言ってくれる・・・。
長い間見ないようにしていた問題を喉元に突きつけられた気分だった。
私が和太鼓に関してモヤモヤと考えているのは逃げだと言われた気がした。機材がない、場所がない、人がない、お金がない、技術がない。環境やことの難しさを言い訳に太鼓から逃げているだけなのだと。
もし、チームを作るなら
では仮にタイで和太鼓をするなら何が必要だろうか。
週に一回でも仲間で集まって八丈太鼓が演奏できる場所があれば素敵だ。必要なものをざっと書き出す。
太鼓・台、撥、稽古場、人、保管場所、搬送手段、発表場所、衣装
ざっとこれだけあれば活動するには十分だ。
楽器類
最初は日本からこちらに太鼓を持ってくる方法を考えた。日本にある自前の1.6尺の桶太鼓に八丈のx台を買い足してこっちに輸送するやり方がコスト的にも最善のように感じる。しかし、ことは簡単でなさそうだ。ヤマトのサイトでは木製品は輸送できないとのこと。もちろん輸送費も20000円で馬鹿にならない。税関に引っかかって没収でもされれば悔やんでも悔みきれない。

そうなるとタイ国内から調達するしかない。「タイ 太鼓」でgoogle検索。するとバンコクから北のほうにアーントーン県という場所があり、ここがなんでも太鼓を生産している太鼓村だという。

流石に値段までは調べられなかった。いずれにしてもここは取材しにいかなければならない。
稽古場
全和太鼓演奏者を悩ませるのが騒音の問題だ。爆音の和太鼓はギターやバイオリンと違って部屋や公園で音を出すわけにいかない。防音の設備がなければ太鼓の面をタオルで覆ったり、太鼓の代わりにタイヤを打ったりして防音対策をしなければならない。「バンコク 防音スタジオ」で検索。バンコク音楽練習スタジオマップ 2022年版を見つけた。

このEQスタジオなんかはこの前行った湯の森温泉の近くだ。プロムポンから徒歩でも通える。使用料は今直接聞いているが大体1時間300〜500バーツが相場だ。

人
そもそもの太鼓が人を集める習性からここはあまり心配していないが、どうせなら排他的でないチームにしていきたい。最初に日本人だけ!タイ人だけ!となるとそれ以外の人は足を踏み入れづらい。タイ人も日本人もそれ以外もいるチームにしたい。最初は日本人が集まりそうなスーパー・タイの大学等に出向いてビラ配りでもしようか。あとは個人で簡単な演奏をして、その機会にチームメイト募集を呼びかけるのがいいかもしれない。
最初の目標は私を入れて3人だろう。3人いれば太鼓一台でも八丈は回し打ちができる。太鼓が増えて色物の曲をやるのでも2人と3人では華やかさが違う。経験者はほぼ皆無だろうから、必然的に最初は教室のような形になってくると思う。最終的には10-20人のコミュニティになったら最高だ。
搬入手段・保管場所
ここは最も頭を悩ませる問題だ。和太鼓演者を悩ませるもののもう一つが太鼓の保管場所と移動手段である。部屋の隅に置いておくだけでかなりのスペースをとる。なんとか私の部屋に置くとしても、移動はかなり難しい。どうしたって車で移動するしかない。そうなると、こちらで運転ができない私はどうしたらいいだろうか。大きめのタクシーを呼ぶか?それはそれで費用がバカにならない。一番いいのは稽古場所に太鼓を置かせてもらえることだが、そう都合よく事は進まないだろう。たまに街中で原チャリの隣に台車をくっ付けたような屋台を見かける。あれがあれば一人での移動も可能かもしれない。

発表場所
発表を前提とせず、ただ楽しく叩くだけでも十分だが発表場所があるとメリハリがつく。教室のような形式でやるなら尚更発表の場は必須だろう。まだこちらに来て日の浅い私は、タイで催されるイベントやその伝手を持たない。しかし、探せば日本よりイベントの機会はありそうだ。イベントに定期的に出られるようになれば、年周期でチームの運営もしやすくなってくる。

お金はあまり心配していない。必要ならその分頑張って捻出すれば良い。本当に太鼓を面白いと思ってもらえたならチームメンバーもお金を出してくれるかもしれない。
あとは私のやる気次第。
お金はないなら作れるが、やる気は簡単には生まれない。
とりあえず次はアーントーン県に遊びに行ってみようと思う。
最後まで読んでくれてありがとう。