終わりの、始まり
もうすぐ、過去の受賞作品である「名前のない物語」を書き終えてしまう。
10年以上放っておいた作品だったから、読み返したとき戸惑った。へたくそにもほどがある。心からそう思った。受賞作なのに。それに加えて、後に書くことになる作品との類似点の多いこと、多いこと。まあ、それだけ気に入った設定やキャラクターだったってことなんだろうか。新しい作品に取り掛かっても結局また同じ設定を登場させてしまう。でもしょうがない。だって世に出てない(書籍化されてない)から。ノーカウントだから。
そんな過去の受賞作、エブリスタでいろんな方の目に触れて、私はとても満足している。1話だけ読んで、もしくは開くだけで、2回目からはずっと☆をつけるだけの人もいるのだろうけど、以前monokaki編集部のコラムを読んでから、読んでくれている誰か、に意識が向くようになった。
“「楽しんでいる読者さんがいる」と感じられる有機的な体験です。「10PVより1反応」が、エブリスタのモットーです。”
私は以前その逆のことをしていた。
大昔、メルマガの読者は997人ほどいた。けれど全然満足できなかった。あとちょっとで1,000人になるのになぜ届かないんだろう、そう思ってキリキリしていた。登録してくれた997人への“ありがとう”が湧いてこなかった。最低だった。
そしてそんな大昔からの価値観を少し前まで持ち続けていたんだから、苦しいったらない。
今は読んでもらう努力を積極的に(私にとっては)するようになった。Twitterも再開させて宣伝もして、完全プライベートなブログでも『よかったら読んでください』と恥ずかしさに打ち勝ってアピールした。エブリスタでもつぶやき機能を使ってみた。あとはインスタに載せたら完璧。でも食べログと化している私のインスタで、“実は小説を書いている”“読んでください”と文章画像を載せるのはさすがに唐突感が否めず、勇気が出ない。(やったら自分の殻は破れそうだけど、もうちょっと考えさせて)
と、まあ、封印していた受賞作をたくさんの人に認知してもらい、数人の方には更新を追って読んでもらうことができている。本当にありがたくて、嬉しい。もうすぐ書き終えてしまうことが寂しい、と思うくらい、毎日楽しい。
今、エピローグ。
本当に、終わりは、すぐそこに来ている。
ああ、寂しい。
だけど、所詮過去の作品は、過去。
特にこの作品は一回受賞してるからどのコンテストにも出せない。それにね、いい加減、前に進もうよ、と声もする。新しい物語、自分の中にあるでしょう、と。あとは私の勇気の問題。自分との闘いなんですよね。
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