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2020-2021年短歌
根負けした振りしたいのは知っている
全部丸ごとわたしのせいね
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簡単に落ち着けないの、さする手を
落ち着きなさいと嗜められる
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駆け足で揺られる電車剥げた化粧
胸撫で下ろす 優しかったから
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手を挙げる 迎えの車焼けた肌
離れられない女になりたい
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ロング缶 注ぐグラスに染まる頬
もう酔ったのとあきれないで
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どうするの 覚えられない何時迄も
教えてくれるの分かっているけど
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待ちきれず狭い風呂場でもつれ合い
シャワーで髪を濡らすのが好き
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困り顔 タオル差し出しぶつくさと
わざとじゃないよほんとはわざと
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流れた曲、こっそりshazamで調べてる
あなたのことを何もしらない
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昼下がり恐々見つめたわるいこと
試してみなくちゃ分からないよね
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青いソファ 広がる絨毯 音はない
赤い蝋燭 揺らめく光
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目を覚まし聴こえる寝息に安堵する
気を張らないで眠っているから
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口癖みたいに謝らないでとぽつり言う
冷めた珈琲ぐっと飲み込む
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台所 刻む野菜に油はね
皿を取り出す様を見詰める
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くゆる煙り 腕を伸ばした吸いかけに
似合わないねと笑われたあの日
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こうすれば 構ってくれると背を向けて
自分本位に迎える白日
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ソファの上 座る貴方のふくらはぎ
指を舐めたら駄目だと叱られた
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駅に着く 平気そうだね嘘っぽく
指絡めるのが 精一杯だった
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こまごまと 少女のように言葉並べ
今の気持ちを忘れたくない
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しんとした 冷えた湯船で夜が更ける
つい選ぶのは教わった曲
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鏡の前 気怠い両脚 増えたあざ
理由が分かれば嫌いじゃないの
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とどまらぬ言葉連ねて朝迎う
昨日別れたばかりなのにね
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