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似合う、好き、なりたい。

あきやあさみさんの講演を配信とアーカイブで見て「なりたい」「好き」「似合う」本をそれぞれ探してみた。
本当は本屋さんとか図書館とか「自分のフィルターをまだ通していないもの」からまっさらな状態で選ぶのがベストなのだろうけど、
とりあえず手元にある本からピックアップしてみた。
好きな書店は片道40分+高速料金が新書一冊分くらいかかるので…
そして本屋さん行ったらこれにかこつけて前々から欲しかった本をワーク関係なく大量に買っちゃいそうなので…

「似合う」本は三砂ちづる先生の「きものは、からだにとてもいい」。
夏大島の織り柄の背景、ひらがなのタイトル。シンプルで凛として、でも冷たくはないマットな紙質の表紙から始まる文庫本。
内容は40代半ばに「もうストッキングもパンプスも履きたくない、ブラジャーとか着けたくない」と思い立って突然きものを着だした三砂先生のエッセイというか体験記というか。
ちょうどストレスの最高潮のタイミングでこの本に出会って「それな!」という勢いでめちゃくちゃ読んだ。
当時の自分はストレスのせいか体を締め付けるものが嫌で嫌で、仕事はゴリゴリの肉体労働なのにパンプス(ヒールあり)が制服で、体のストレスと心のストレスがごっちゃになってのしかかってきて潰れそうだったんだけど、
そんな時に「着物があるぜ!」ってサムズアップしてくれた本。(そんなキャラではない)
落ち着いた大人の語り口なのだけれど、行間から「苦しい服はイヤ!好きなものを着るの!」っていう素直な子供の声が聞こえてくる気がする。
たまに着物が好きすぎてちょっとこじつけっぽくなっちゃってるところも自分に似てるなと。
そしてamazon見に行ったらもう新品の取り扱いはなくて、電子書籍もなかった。
三砂先生の新刊もこのあいだ本屋さんで見たけど、こっちは買うかどうかは保留中。

「好き」は大山顕さんの「真上から見た狭くて素敵な部屋カタログ」。
この人の文章も写真も好き。
暮らしの参考にする実用書というより、写真と文章を楽しむために眺める本という感じで読んでいる。
おしゃれすぎて参考にしようがないという話でもある。
「素敵」とか「かわいい」とか、単語の使い方が直球というか素直というか、自分の文章はかなり大山さんの影響を受けていると思う。
(そうは見えないけど)
ぱらぱらっと見て、分類しがいのあるワードがいっぱいあるな!って感じがする。
大山さんはデイリーポータルZで知ったライターさんで、これ以外にも本を買ったり、展示を見に行ったり色々している。
マンションポエムとか工場夜景とか色々なことをやっておられるんだけど、入門編としてお勧めなのはこの記事あたりかな。

すごい個人的な話で、一年だけ船橋で働いていたことがある。
仕事内容はどうしても好きになれなかったけど、西船橋出身の大山さんの文章の解像度がちょっと上がったことだけはよかったと思う。
「はいはいあの辺ね!」みたいなのがわかるのは嬉しい。
地図で見た行田団地の形状が気になりすぎて休日に見に行ったりしたんだよな。
でも平日は仕事が終わると一刻も早く離れたくて、目の前に来た津田沼止まりの総武線に乗って津田沼パルコのスタバで甘いもの飲んでから乗り換えて帰ったりした。
住んでたのは幕張本郷(津田沼から一駅)だったのに!

「なりたい」は仲野徹先生の「こわいもの知らずの病理学講義」。
これを「なりたい」に挙げている時点でこわいもの知らずな感じはある。しかもまだ読了してないし。
明るくポップな見た目で、言葉も易しいんだけど、内容は骨太で理論的で実践的。
確かヤンデル先生がオススメに挙げてて買ったはず。
自分には医学の根本的な知識が足りてないので、こういう一般向けの本でちゃんとした本というのがとてもありがたい。
いかにも医療っぽい本を「これ医学的にどこまで正しいのかな」って疑いながら読むのは疲れるし、体系的な知識がないので騙されてても気付けないだろうなという怖さが常にある。
なので医学周りの本は、自分が信頼している医療者が勧めている本なら大丈夫だろう、という線引きで選んでいる。
この本とヤンデル先生の「症状を知り、病気を知る」と迷ったんだけど、表紙の印象とタイトルでこっちにした。
あと後者はナース(看護学校の学生さん)向けの本なので、ナースではない、医療のほんの端っこにいる人間が挙げるのもちょっとあれかなと…

一応子供の頃は「勉強できる子(勉強しかできない子)」「本ばっかり読んでる子」だったのだけれど、
こういう本を読むと、もっとちゃんと頭を使って勉強してくればよかったなと思う。
教えてもらったことをそのまま吐き出すのは上手だけど、
自分で知識を取りに行くとか、わからないものに果敢に挑むとか、そういうのをやらないまま大人になってしまったことを後悔する。
だからといって大人になってからやるかっていうと、一日中デイリーポータルZのバックナンバー読んで休日が終わったりしてるんだけど。
(それはそれで有意義かもしれない)
この本みたいに「ポップで易しく見えるけど中身の詰まった人」になりたいってのと、コツコツ読んで血肉にしていきたいのと、という両方の「なりたい」本かな。

ちなみに、背景の布はIKEAの布団カバー。
子供用の寝具コーナーで見つけて、普段なら無難に無地を選ぶのだけれど、今回は自分の直感に従って海の柄にしてみた。
寝ているだけでも海の柄に包まれている気分はなかなかいいし、気に入った柄が広い面積で家の中にあるというのはじんわり嬉しい。
こういうものを選べるようになってきたのも、自問自答の表出の一部かもしれない。


隙あらば自分語り、というのはインターネットやっちゃいけないムーブのひとつなんだけど、
あきやさんが講演の最初で「自分語りお待ちしてます」と言ってくださったのでやってみることにした。
まあ自分のnote全体が、自分語り以外の何物でもないんだけどね…

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