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クロ子とグレ子と白子。

用事があって、古着の着物屋さんに通っていてふと気づいた。
自分にはコンセプト会をやるテーマがないな、とずっと思っていたのだけれど、やりたい会あったわ。
古着の着物屋さんを貸し切って、来た人に似合う着物を一式着せる会。
買うか買わないかは任意、写真とって「わー!」で終わってもいいし、丸ごと買ってその場で着て帰ってもいいし。
呉服屋さんで着物を買おうとすると、だいたい反物を選ぶところから始まり、採寸に裏地にその他諸々、時間もお金もかかる。
プレタ着物もピンキリなので、いいものはそれなりに高いし、安いのは分かりやすく安い。
そして気軽に試着できないことが多い。
反物であればそれっぽい形に巻く(けっこう技術がいる)、
プレタは試着を前提にしていないので、下手するとしつけ糸を切らないと着られない。
(普通のしつけとは別に、ハンガーにかける用のしつけがあったりする)
古着なら最初から着物の形だから羽織って試せるし、気に入ったらそのまま着て帰ることもできる。
そもそも古着といっても着古されているような物は少なくて、しつけ糸のついた新品がごろごろしている。
そして、着物の古着は多分日本中で余っているし、これからも増え続ける。
SNSのあちこちで「実家の片付けをしていたら大量の着物が出てきたけど、どう処分すればいいですか?」っていう声を毎日のように見かけるのだ。
古着屋さんに行くたびに、こんなにたくさんの素敵なものがタンスの奥にしまわれていて、その価値が知られないまま捨てられていくことにどうしようもない歯痒さを感じる。
誰かのために仕立てられて、袖を通されることもなく眠っていた着物と、着物に興味があるけどどこから始めればいいのかわからない人をつなぐ会。

さらに、着物の似合い方は洋服と全然違う。
洋服感覚で選んだものはなんだかぱっとしないのに、とんでもないものがしっくりきたりする。
あるいは「これはないかな」みたいなのが、帯を乗せて小物も足して、なんなら半襟も変える?とかやってみるといきなり輝き出したりする。
着物好きあるあるだと思うけど、着物をしばらく着ていると「ゾーンに入る」ことがたまにある。
合わない着物と帯に何を足せばしっくりまとまるか、目の前の人にどんな着物が似合うか、見通せる瞬間があるのだ。
自分のセンスに自信がなくても、着物のコーディネートの正解はみんなわからないので「これが正解ですが?」って顔をしていればごまかせる。
体型のコンプレックスが強みに変わったりもするし、多少の凸凹は着付けでフォローできる。
だいたい着物を着てるってだけでイレギュラーなので、似合う似合わないとか着付けの上手下手とかは相対的に小さな問題なのだ。
道端にピーポくんの着ぐるみがいたら、何着てても「ピーポくんいたね」しか覚えてないでしょ(例えが極端)。
洋服は何を着たらいいかわからない人に、何を着ても似合わないような気がする人に、着物って選択肢もあるぜ!ってサムズアップする会。
貸し切る古着屋さんの選定とか着付けの技術とかもちろん費用とか、現実面を考えると色々難しいけど、まあ言うだけタダだからとりあえずぶち上げておこう。

じゃあ、そこにいる自分の服装は、と考えると、着付けの邪魔にならずに膝をついても平気で、狭い店内で嵩張る着物と帯を抱えて機敏に動けるような……
着物を着てない!完全に機能に振り切った洋服!
どうしても「誰かに着せる」「似合うものを探し出す」「簡単な着付けなら教える」みたいに、自分が動く側になるので、着物だと逆に都合が悪い。
そういう機動性の悪さとか手入れの煩雑さとかが着物衰退の一因なんだわ、ってのを逆説的に証明してんな……
でもほら、洋服だって外に出る制服でお風呂掃除しないし、TPOってやつですよ。
……そうするとお風呂掃除できる服が制服ってことになってくるな?
黒いタートルネックにしゃがめるワイドパンツ、畳に上がり下りするので多少踵を踏んでも大丈夫なスニーカー(スニーカーでも大丈夫じゃないけど)。
それなりに埃っぽいので洗濯しやすく、腕を上げてもお腹が出なくてどこかが引きつったりしないこと、しゃがんでも背中が出なくて、畳に膝をついても擦れて穴が空いたりしないこと。
そうなると、y'sの丈短めカットソーもブーツも、ドクターマーチンのスリーホールも候補から外れる。
スケッチャーズの踵踏んでも大丈夫なスニーカーとか?でもビジュアルが好みじゃないんだよな…
だからってサンダル履く訳にいかないし、クロックスも好みじゃないし。

自分が主催の会なのに完全に黒子の発想。せめてグレ子にならないと。
クロ子とグレ子って多分幼稚園の時に見ただけなんだけど、妙に覚えてるんだよな。
良い子悪い子普通の子とか。

写真は千葉県白子町。
タイトルに合わせて引っぱってきたけど、多分行ったことあるな。
千葉にいた頃によく房総半島を横断して九十九里浜を見に行っていたので、地名に見覚えがある。
さすがに生の白子とか鍋とかはの写真は生々しいので自重しておいた。
プリン体も気になるし。

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