推し(#ババババンビ)が武道館いってくれたのでもう死んでもいいかなという気持ちに一瞬なった(前編)
いやぁ、わかってるんですよ。ぼくが推しのことを書きはじめるとキモくなってしまうということは。でもこのブログ記事を読む人に前提知識がないと楽しめないだろうから下記リンクを貼っておきます。
なぜこうなったかというと…
日本武道館公演を一ヶ月半ほど後にひかえた1月26日。
事の発端はネットで生配信された番組『[ニコ生]【1泊2日お泊まり】#ババババンビ 現体制最後の生配信@日本武道館への記録』の1シーンだった。
メンバーが生配信をしながらトークをする番組内で、朝方に合宿所から収録場所へ走って駆けつけるというコーナーの後、それは起こった。
くじ引きでスイーツがゲットできるかも、というバラエティ番組ぽい内容。テレビでもよくあるやつで、ハズレならセンブリ茶(めちゃ苦いお茶)を飲まされるような、ぼくもそんなものだろうな、と思っていた。
ところが5人がくじを引いて紙に書かれた内容をカメラへ向けると「スイーツゲット」「ポンテギ(韓国のお菓子、サナギを甘く揚げたもの)ゲット」に並んで異質な文字が……。
「京都マラソン2024出場決定」
それを引き当てたのは推しの岸みゆと、みおち。晴天の霹靂とはこういうことをいうんだろう。スタッフの拍手も虚しく響く。
さっきこの収録場所へ走ってきたのが約2kmというから、その20倍。富士山登頂もしてるってのに、またまたそんな試練を!?(しかもマラソンまでの間に滝行での武道館成功祈願もやっている……!)
京都マラソンの開催日の1ヶ月後には武道館。そうでなくてもマラソンの1週間後って、岸みゆの生誕記念ライブじゃん。正気か? そんな過酷なことをさせて身体にダメージ残ったりしないの? 無茶振りにもほどがある。不適切にもほどがある。(←時事ネタ)
普通に考えても、走り込みのトレーニング時間があるなら、より一層武道館に向けてのレッスンをしてほしいじゃないですか。あるいは集客のプロモーション活動に充てるとかしてほしいじゃないですか。それをマラソンて。
練習している間は孤独で無防備だろうから、ランニング中は悪いオタクに場所がバレてしまうような配信や投稿などは無いだろうし。応援しようにも当日どうするんだ? 沿道で応援してたとしても、マラソンランナーって一瞬で駆け抜けていってしまうものだよね?
登場したゲストのクロちゃんが、呆然としていた岸みゆとみおちへ京都マラソン出場経験&武道館公演経験の"先輩"としてアドバイスしているんだけれども、めっちゃ言葉を選んで慎重に話をしている……。
配信のコメント欄は当然のように紛糾。無茶をさせる運営に非難轟々。
なんというか岸みゆはショック状態に見えたので、このシーンはファンならずとも心配になったはず。みおちも気丈に言葉を発しているが、懸命にバラエティ的な光を見出そうと苦労しているように見える。
ファンも不安がっている中、カラ元気でもだめだろうし、気を持たせてもいけないだろうし、諦めるような姿もよくないだろうし……。
何とも言えない時間を過ごす。どうやったって、心配しかできんわ!
いや、こっちも視聴者ですからわかってんですよ。バラエティ番組なので演出としてこういう空気になってもGoなのだという目算はあるだろうし、彼女たちの事務所的にOKだからこその流れなんだろうってのはわかります。
それにしたって、フルマラソン。
気丈で儚い撮影会
その後の1月28日。岸みゆの投稿を見て、ぼくは心配になった。
何のメッセージだろう……。そして、予定されていた#ババババンビの撮影会で、急遽岸みゆが出演できなくなったことが参加予約者へ通知された。
ひょっとしてずっとマラソンへの不安が続いてるんじゃないだろうか。けれど、近いうちに再び撮影会が開催されることになり、息を吸うように予約申し込みをした。即完売。
走り込みの特訓が始まったようで、ライブやグラビアや配信やビラ配りの合間にランニングの報告が投稿されるようになった。アイドルというのはそういうものだと頭ではわかっているつもりでも、どう考えたって過密スケジュール……。
マラソンを1週間後に控えた日、撮影会は都内の一棟貸しのハウススタジオで行われた。アイドルの撮影会にはいろいろな方式があるが、ぼくが参加しているのはアイドル1人あたり7~8名のファンが1分交替で写真を撮影し、それを何巡か繰り返すというもの。
去年の夏頃から撮影会に行くようになって、今回で5回目。カメラは素人同然で、初めて参加したときは緊張のあまり身体が震えてしまい、ブレも多く何百枚も撮ってまともに撮れたのが10枚くらいという悲惨な状況。最近ではどういうタイミングで撮ればいいかちょっとわかってきて、お話しをさせていただきながら雰囲気をみてシャッターを切るようになった。
ファンというのはアイドルに理想を投影している反面、疲れてるんじゃないかとか、不安になっているんじゃないかとか、ネガティブなことに関しても見たいようにアイドルのことを見るものだと思う。
でもなんか、そういう独りよがりなこっちの見方を、片鱗も受け取られないようにしたかった。心配だけれども心配しているとは伝えたくないというか。それもまた、ファンの独りよがりではあるのだけれども。
最近まで凝ってた「カバ」に飽きちゃったことなんかでひとしきり笑った後、京都マラソンに出場することについて聞くと「応援してくれたら嬉しいな」と言うので、思わず「うん、京都行くから!」と答える。
正直のところ、その時点では口からで出まかせみたいなものだった。まだ新幹線のチケットも取っていなかったし、前乗りするとして前日は都内でバレンタインイベントだしで、京都行きへの具体的な予定は何一つ立てていなかったのだ。
けれど富士山登頂の企画と違って、岸みゆとみおちにフォーカスを当て続けた実況中継があるわけじゃあない。東京にいながら「なんか走ってるんだろうな~」とその日を過ごしてしまうのも、勿体ない気がした。
おれは運動ができないから42.195Kmなんか走れないんだけれども、こうやってファインダーの向こうで気丈に振る舞っているアイドルが、儚くもあり、心強くもあり、帰り道でスマホから新幹線のチケットを予約した。
バレンタインイベント
さらに一週間。マラソン前日のバレンタインイベントでは珍しくチェキ券は6枚出しが可能だった。京都への移動時間もあるから列を捌くスピードを上げたかったのかな?と、いらん邪推をする。
ソロ写では往年の名曲『バレンタイン・キッス』のジャケ写みたいに撮ってもらった。ツーショットでチョコの詰め合わせを手渡してもらったとき、なんだかこみ上げてくるものがあって、「こんなに華奢なのに、明日、マラソン走るんだな…」と思わずこぼしてしまうと、走るポーズで撮ろうかと言ってくれた。
イベントや特典会では、何を話そうかいつも考えて、列に並んでいるときもあれこれと忘れないように言おうと思うのだけれども、アイドルを前にすると、全部スッ飛んでしまう。
冬の京都を走る
このブログを書いているのは3月の下旬。もう一ヶ月以上前の出来事だというのに、まだ最終コーナーの彼女の姿が瞼に焼き付いて離れず、思い出が薄れるようには消えていってほしくないと思っている。
2024年2月18日(日)開催「京都マラソン2024」の応援に、ぼくは朝6時の品川発新幹線に乗って京都へと向かった。出張や旅行の際、行楽電車で駅弁を食べるのがことのほか楽しみなのだが、朝早すぎると買える売店が限られていて、選択肢が減るのが少々残念だ。
予定では8時頃には京都に着く。不慣れな土地なので速度と地点のイメージがまったく湧かない。リアルタイムでどの地点を通過するかも不明なので、対策も立てようがない。だから最低限の応援場所として、スタート地点近くとゴール近くの二箇所だけはなんとかしたいと思っていた。
京都駅から電車を乗り継いで太秦天神川駅で降り、天神川四条の交差点で待つことにした。沿道にはそれなりに人が集まっていて、道幅も広いので応援する場所としては間違っていなさそうだった。
最初は道に向かって左側にいたが、封鎖前に「もしかしてあっち側を通るかも」と右側に移った。これがよかった。
まず先頭集団が走っていき、続いてたくさんの人が押し寄せてくる。見逃さないように端から端まで目を配る。ライブで応援するときのタオルを持ってきたので、それを掲げて待つ。すると……。
「あ、タオル!すごい」と声がしてみおちが走ってきた。そのすぐ後ろを岸みゆが「わー!」と手を振りながら通り過ぎていった。走ってるときに手を振ると体力を消耗するだろうに……。そんなことを考えてしまった。
道が横断可能になるまで、Twitterを確認する。沿道のファンが通過報告をしているので、マラソンコースマップと照らして次の場所のアタリをつける。コースの内側を直線で移動すれば、徒歩でもショートカットできそうだ。
だが、横断可能になるまで少し時間がかかったことと、京都の西側の各ポイントの通過が案外早かったため、電車で行って仁和寺あたりで見えるかどうかは微妙だった。
それで路面電車の嵐山本線で帷子ノ辻へ行き、そこから北野線へ乗り換え、終点の北野白梅町で降りる。ここまで来れば追い越しているはずなので、平野神社付近の曲がり角で待機。コースが車道の向こうだったので、角ならば見つけやすいと思ったからだ。反対側では応援団やチアが賑やかに応援している。
通過報告のあがっていた仁和寺からは多少距離があるので、いつ頃ここを通るのかはわからなかったが、マラソンコースマップには、ペース別に概ねの通過時間が書いてあり、5時間かけるランナーならばいつ頃通過するという目安になった。
しばらく待っていると緑色のビブスをつけたテレビクルーに囲まれて岸みゆが走ってくるのが見えた。そうか、地元テレビ局では放映があるのか。少し遠かったけれども、タオルを掲げて「岸みゆ!頑張って~!」と思い切り声を上げた。テレビクルーが気づいてくれて、岸みゆは手を振ってくれた。
ここから東へまっすぐ行けば、徒歩の速度でも鴨川あたりでまた見られるはず。
そこから歩きに歩いて鴨川まで辿り着く。暖かい日でよかったが、だいぶ汗をかいてしまう。
鴨川のハイタッチゾーンでタオルを掲げて待っていると、通過するランナーの人が「もうすぐ来ますよ!」と教えてくれた。ということは、追い越して来たということだろう。Twitterの通過報告では、ファンが写真や動画をアップしていたので、自分もiPhoneを動画撮影にして握っておいた。
でも、岸みゆがすぐ近くを通ってハイタッチしてくれたものだから、動画どころではなかった。
このあたりになるとコースで折り返しや曲がり角が多くなるが、こっちは徒歩なので先回りがしづらくなる。次は百万遍の交差点が良いかと思ったが、あろうことか道を間違えてしまい、全然たどり着けないという事態が発生。これは追いつけないかもと小走りで急ぐが、普段から歩いたり走ったりをしないこともあって、膝が悲鳴を上げ始めた。
百万遍交差点に辿り着き、通過報告をチェックするとどうやらみおちが足切り(コース上にいくつか関門が設定されており、時刻によって交通封鎖が解除になってしまうためそこに辿り着いていないランナーは終了となる)に遭ってしまったようだった。
♪変えられる世界だって信じてる
交差点の角で待っているうちに、頭の中に#ババババンビの「アイノハナ」の歌詞が流れ始めた。変えてほしい、走りきって、武道館で世界は変えられることを示してほしい、ファンの勝手な押し付けだけれども、そんな気持ちになってきた。
そして岸みゆが百万遍交差点を通過。「変えられる世界だって信じてる!」思わず声を上げる。
マジで「アイノハナ」は名曲なので皆んな聴いてください!
ここからは、走ってゴール付近まで行かなければ徒歩だと追い越されてしまう。ぼくはランナーでもないのに側道を走り始めた。オタクが躁状態で挙動不審になって走り始めてしまうやつそのもの。
膝から下がかなり限界だったが、42.195Kmを走破せんとする岸みゆに比べたら、異常中年男性の両足くらいくれてやる!(←全然カッコよくないゾ)
感動のゴール!
ゴール地点直前の最後の角で最後の声援。身体を庇うようにしながら走ってくる岸みゆの姿。テレビクルーもずっと伴走してきたのだろうし、すごい……。
ゴールに向かっていく岸みゆを追いかけてぼくも走った。後にTVerで配信されたMBSの特番「京都マラソン2024 みんなが主役 縁の下のチカラめし」を見ていたら、ゴール直前で画面の奥に赤い応援タオルを掲げて走ってるオタクの姿が確認できると思うのですが、紛うことなくぼくですね……。
そしてついにゴール!
なんだろう。体力!? 根性!? 無茶振りに思えた企画は、アイドルの天賦の才能とパワーの前に成立してしまった。ファンへ、人々へ、努力すること、世界を変えていくことを、その姿をもって示した。
偉業だよ。ほんとうに偉業。
もちろん、数多のランナーも古今東西42.195Kmに果敢に挑戦し、走破し、それぞれの目標を叶えているのだから、一人のアイドルが走りきったことは、この広い地球からしたら小さな出来事かもしれない。
でも、ファンにとって、ぼくにとっては、大事件なんだよ。
ふとしたことから出会ってしまい、魅かれ、推し推され、何度も生きるパワーを貰って、こんな過酷な試練をクリアする姿を見せてくれて、それって他の誰が簡単にやってのけたとしても、岸みゆが走り抜いた時と同じ気持ちをぼくにくれるもんじゃない。
ぼくは、アイドルはファンを照らすものだとずっと言っていて、まあそれはこのブログを昔から読んでる人は「またか」って感じかもしれないけれど、そのまばゆさにただただ、畏れ慄き、涙するしかない。
日は暮れて…
現地解散もなにもぼく一人ではあるのだが、足が棒になるとはよく言ったもので、膝からくるぶしから、痛くてまともに歩けない。
どこかで休んで食事でもしようと思ったが、あいにく日曜日で閉まっている店も多く、検索してもとんな店かわからないのでいまひとつピンとこない。
駅まで行けばなんかあるだろうと、ネアンデルタール人よろしく前傾姿勢で京都御所まで歩き、そこから京都駅まで南下。なんと、これだけで日が暮れてしまった。
岸みゆがくれた感動の余韻に浸っていたのでまったくそんな考えが出てこなかったんですが、タクシーかバスを使えばよかったんですね。とほほ……。(徒歩だけに)
駅地下の薬局でロキソニンの湿布薬を買って膝に貼る。すると効果覿面。クララが立ったとばかりに歩けるように。けれど今度はもう気力が潰えていたので、そのまま駅弁を買って新幹線に乗車。爆睡して品川に到着。
列車を降りる。さっきまで眠っていたので、まるで今日一日の出来事が夢のよう。アイドルがマラソンを走って、それを一日追いかけて。
おれは本当に #ババババンビ というグループアイドルを通じて「無かった青春」を体験させられているのかもしれない。
(中編へ続く)
投げ銭大好きですが、なるべく折りたたんでお投げくださいますようお願いいたします。