ゴールデンカムイ考察 旧約聖書編1
※最終話のネタバレ含みます
楽園追放について
登場人物
アダムとイヴと神(父)
ざっくりあらすじ
神は最初の人類アダムを土から創りました。神は一人じゃ大変だろうとアダムの肋骨からイヴを創りました。2人は楽園で暮らしていました。
楽園での生活において、神は楽園の中央にある知恵の樹からだけは実を取って食べてはいけない。食べると死ぬ。と言いました。
ある日神が留守の時にヘビがやってきて「中央に生えている知恵の樹の実を食べたことがあるか?」と言いました。
食べたら死ぬと言われているので、食べないと言うと「あの実を食べると神のように賢くなれる」と言われ、誘惑に負けたイヴは食べてしまいました。続いてアダムも。
帰ってきた神が二人を追求するとイヴは、ヘビのせいにしました。
怒った神は、二人に必ず死ぬ呪いとアダムには労働の苦しみを、イヴには出産の苦しみを、ヘビには地を這うことしかできないという罰を与え、二人とヘビを楽園から追放して二度と戻れなくしました。
解説
人類初の責任転嫁と禁を破った(法を犯した犯罪)という話。
人類が創られた目的は「生めよ、増えよ地に満ちよ全ての生き物の頂点に立て」
神が知恵の樹から知恵の実を食べることを禁じたのは、自己判断ができるようになると言いつけを聞かなくなる(法を守らない)から。後に「善悪の実」と呼ばれるように。
知恵の実を食べたことで、互いに羞恥心が生まれ全裸が恥ずかしくなったから葉で性器を隠すようになった。というエピソードもある。
ゴールデンカムイでは
この話が出てきたのは最終章、配役は以下
アダム=杉元
イヴ=アシㇼパ
ヘビ=尾形と鶴見中尉
杉元は軍にいた一時期を除いて真面目に働いて金を稼ぐということを知らないから、禁断の果実である金塊争奪戦に参戦した。金塊の分け前をやるから協力しろと言った鶴見中尉は杉元にとってヘビ。
すでに金塊の前にいるアシㇼパさんに人を殺す(殺人という禁)よう仕向けた尾形はアシㇼパさんにとってのヘビ。
金(きん)と禁(きん)をかけてる禁断の果実。
楽園追放がモチーフとはいえ、金塊を放棄(禁断の果実は食べなかった)なので、善悪の判断がつかずに二人共殺人無罪、労働も出産もないパートナーで、楽園を追放されなかったアダムとイヴのお話というオチ。
誘惑するヘビが両方にいる辺りアダムとイヴではなく、どっちもイヴということかもしれない。杉元乙女な部分を考えるに。乙女=処女なので。
男同士は時代的に常に描かれていたので、最後実は女同士でしたみたいな?
現代社会を反映といえば反映だけれども。
杉元が少しばかり持ち帰った金塊(禁断の果実)も自分では食べずに、人妻で子もいる梅ちゃんにあげてしまうのもだし、妻子持ちな鶴見中尉の目潰しに使ったりで、知恵の実から得られる、労働と子孫繁栄という人間の営みや法律を捨てた二人と、それをすでに実行している者達という話に。
知恵の実を食べたことで羞恥心が生まれたというのも、そもそもどっちもイヴだからという。
アイヌの楽園追放
アイヌにもヘビが関わる稲妻夫婦という楽園追放に似た話があるのは稲妻夫婦の回で説明があったけれど、楽園から追放され落ちる途中のヘビが落雷に見えた。というのは聖書のほうにもエピソードがあるようで。
稲妻の由来は雷が多いと稲が豊作になる=稲が妊娠するからだそう。
悪さをしたヘビが列車(楽園)から転落は、尾形や鶴見中尉で微妙に回収しているかも。鶴見中尉は雷神に例えられているし。
2人は人間(アイヌ)ではなくなったのでアイヌ関連のエピソードは回収されず、それはまた別のお話に…
タロットカードとの関連
楽園追放はタロットカードのNo.6恋人のカードのモチーフにもなっている。
ヘビに誘惑され禁断の果実を手に取るイヴという場面。
正位置はそのタイトル通り、恋人、夫婦、恋愛に関する信頼関係を表す。
逆位置は破局や心中、浮気、ふしだらな関係を示す。
カヴァー絵6巻は、表牛山&裏家永で家永が9の隠者の絵で描かれている。そして雷も描かれている。表が6で裏は9。
9巻隠者白石はそのままコソコソしているスパイ&恋をしたから脱獄王。とそのままの意味。
そして23巻を1と数えると31巻は9の隠者に該当する。
表は去ろうとする杉元、裏は来るのを待つアシㇼパ。その意味は?
6に該当する28巻はカヴァー絵表は二階堂なのでパートナーの片割れを意味する。そして最終章では杉元と心中しようとするも、死に際に片割れと再会。
裏は誰なの?な人と有坂閣下。
去ろうとする杉元。誰かを待つアシㇼパと合わせると?