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hamahouse
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「凄くおおらかだから毎日が楽しそうですね」
酒を飲んでヘラヘラしている僕に、初めて店に来てくれた男性がそう呟いた。
酒を飲んでヘラヘラしてる僕は、彼からすれば毎日を楽しく生きているように見えるらしい。
「他人にも自分にも凄くおおらかにしているように見せないと、人生が嫌で止めたくなるからこうして酒飲んでるんですよ」
満面の笑みでそう返してグラスを空けると、彼は「へえ…」と苦笑いを。
褒め言葉と思って放った言葉は時として、どんな言葉よりも鋭利に無垢に心に突き刺さっていく。
もちろん彼は決して悪くない。
寧ろ、そんな返答しかできなかった僕がこの瞬間の悪だ。
「そんな黒も酔ったら忘れるんですけどね!」
と急いで軌道修正するが、気まずさは逃してくれなかった。
年の瀬が近づき、寒くてやってられないので言葉くらいは温かく生きたい。
お湯を沸かせば。
レンジでチンすれば。
温かくする方法は狂うほどあるのに。
難しいんだな
金曜、深夜
終電後の小さな小さな出来事。