【オリジナル】最強デッキランキング 解説 2023年8月
【メタゲーム考察】
8月11日に施行された新殿堂レギュレーションにより、前環境で最強と名高い【青黒ダンタルサガ】が消滅することでゲームスピードが低下し、ミッドレンジ以降に強力なデッキが再度活躍することになった。中でも前環境から活躍し、”サガ以外には勝つ”と言われていた【黒単アビスロイヤル】や攻守ともに万能であるが、スピードにやや難がある【5cコントロール】は特に注目され、使用者が急増した。
対してサガという大きなメタ対象を失ったことで【アナカラージャオウガ】や【青白ライオネル】などのメタデッキはメタ対象を絞り切れず減少傾向。殿堂後の環境上位デッキが確立するまでの活躍は難しいと考えられる。
新殿堂の影響を直接受けることなく、高い勝率を保っているのが【赤緑アポロヌス】や【赤白サムライ】である。【赤緑アポロヌス】はサガ対策に割かれていた枠が空いたことで、十分なトリガーが採用され厳しくなることを危惧していたが、やはり速度は正義。【赤白サムライ】がメタに対する高い耐性を持っていることもあり、この2デッキが環境上位から落ちることはないだろう。
また【青魔道具】も《神の試練》の殿堂入りにより若干の弱体化を受けたものの対コンロールにおいて最強を維持し続けている。むしろ対サガ用に採用されていた《DG-パルテノン ~龍の創り出される地~》が抜け、《堕∞魔 ヴォゲンム》を採用する余裕が生まれたりと新殿堂が追い風になっているかもしれない。
そして、新たに登場したデッキが【青黒赤テスタ・ロッサ】だ。サガの消滅により墓地メタへの意識が弱まったことも相まって墓地利用デッキが再度輝き始めた。同じく墓地利用デッキである【ゼーロベン】も注目されたが、単純なデッキパワー不足や《飛翔龍 5000VT》の登場でやや厳しい印象だ。
【オリジナル環境Tier表】
・Tier1
赤白サムライ
大感謝祭 ビクトリーBESTで新たに登場した【赤白サムライ】。
最速3キルも可能という速さを持ちながら《ボルメテウス・武者・ドラゴン「武偉」》で除去しつつ《竜牙 リュウジン・ドスファング》でクリーチャーを展開できるというメタクリへの耐性がこのデッキ最大の強みだ。
コスト軽減カードの中でも特に強力な《チャラ・ルピア》に加え、除去されにくいクロスギアである《竜装 ゴウソク・タキオンアーマー》は序盤の展開を補助しつつ、《ヴァルキリアス・武者・ムサシ「弐天」》の能力ともシナジーが期待できる。
またフィニッシュの場面では《覚醒連結 XXDDZ》や《時の法皇 ミラダンテⅫ》で、呪文及び一部を除いたクリーチャートリガーのケアも可能という抜け目のなさ。
弱点は多くのカードが単体では弱く、他との組み合わせによって強く使えるカードであるということ。一度リソースを失ってしまうと取り戻すのが難しい。
赤緑アポロヌス
圧倒的な速度とトリガー貫通力を持つアグロデッキ。
耐性が優秀なタマシード、スター進化獣を進化元に《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》のメテオバーン能力と自身の攻撃を合わせワンショットを狙う。
メタクリに対する耐性も十分に高く《カチコミ入道 <バトライ.鬼>》によるバトル能力や《轟く侵略 レッドゾーン》の登場時能力で、序盤に出されるほとんどのクリーチャーには対処できる。
そしてこのデッキの隠れた強みは使用難易度の低さ。良くも悪くもコンボパーツを揃えることさえできればダイレクトアタックまで迷うことが無いため、プレイヤースキルによる差が生まれにくい。
誰が使おうと文句なしのTier1デッキ。
青魔導具
対コントロール最終兵器【青魔導具】。
エレメント除去の登場とその代表である《ヴァルキリアス・武者・ムサシ「弐天」》が環境に存在することから、環境での立ち位置はそう良くないように思われた。
しかしそれを跳ね返すほどに《「無月」の頂 $スザーク$》は強力だった。
対コントロールには圧倒的な強さを誇り、一度着地すればリソースが尽きることはなく、実質上の除去耐性からバトルゾーンも支配してしまう。
最近では《卍 新世壊 卍》を採用せず、本来サブプランであった《堕∞魔 ヴォゲンム》をメインプランに置く構築まで登場した。
このデッキの核はもはや《卍 新世壊 卍》から《「無月」の頂 $スザーク$》に変わりつつある。
弱点は相変わらずアグロデッキ。
《堕呪 ボックドゥ》の登場もあり少し改善したが相性不利が覆るほどには至らなかった。
・Tier2
アナカラージャオウガ
メタクリの展開から《CRYMAX ジャオウガ》に繋ぎ早期決着を狙う。
前環境から上位に位置しているデッキだが、サガという大きなメタ対象を失うこととなった。
また大活躍中の【赤白サムライ】に不利であることも向かい風。
しかしデッキパワーは健在なため《キユリのSAMラジオ》で展開されるクリーチャーの質や《CRYMAX ジャオウガ》のフィニッシュ力の評価は依然として高いまま。
環境が落ち着いてメタ対象が定まれば、採用するメタクリを変えて環境に戻ってくると考えられる。
アナカラーグラスパー
攻守バランスの整ったループデッキ。
環境全体の速度低下の恩恵を大きく受けており、《終末王秘伝オリジナルフィナーレ》で中盤以降の除去とリソース維持を同時にこなしたり、不利状況からも《蒼狼の王妃 イザナミテラス》単体でループを始動できる点が強い。
墓地メタを採用する必要も減ったため、自分の動きを重視できるようになり全体的に強化されている。
アナカラーデッキ全般の特徴として、【赤緑アポロヌス】や【赤単我我我】に対して不利であるということが知られているが、このデッキはかなり強い部類である。
しかし有利とは言いづらく、微不利くらいに思うのがいいかもしれない。
青黒赤テスタ・ロッサ
新殿堂後に開発された新たな墓地利用デッキ。
小型のテスタロッサを種に《灼熱連鎖 テスタ・ロッサ》を起動、5枚の墓地肥やしを利用して《超神星DOOM・ドラゲリオン》の早期着地を狙う。
他のデッキと比較した場合に優位であると感じるのはキルターンの速さだ。【赤緑アポロヌス】のように単純なキルターンではこのデッキより速いデッキは存在するが、このデッキは《禁断竜王 Vol-Val-8》や《終末縫合王 ザ=キラー・キーナリー》でトリガーやカウンターをケアしながらフィニッシュを狙えるというのは大きな強みだろう。
環境から墓地メタが減っているのも相まってメタクリの貫通性能は現段階でも十分に高い。
しかし歴史が浅いデッキなのもあり、ピンポイントでメタを当てられた場合の対処については今後の課題となるかもしれない。
黒単アビスロイヤル
サガが消えたことで環境上位に入り込んだ。
なんでもこなす万能デッキというのが第一印象。
《サイバー・K・ウォズレック / ウォズレックの審問》や《ブルーム=プルーフ》で序盤の動き妨害し、続く《邪侵入》と《邪龍 ジャブラッド》で自らの展開を磐石なものに。
中盤以降は《深淵の壊炉 マーダン=ロウ》と《絶望と反魂と滅殺の決断》でゆっくりと攻めたてることも《アビスベル=ジャシン帝》で一気に攻め切ることもできる。
しかし万能は最強ではない。
100点は取れないが全教科80点は取れる、それが【黒単アビスロイヤル】。
それゆえ取れるプランが幅広く、リソースにも余裕があるとは言えないことから、使用難易度はかなり高い。
本来の強さを引き出すにはかなりの練度が必要になるだろう。
5cコントロール
「4ターンロスト」の魔法が唱えられるコントロールデッキ。
このデッキの特徴は格下とされるデッキに滅法強いという点。
弱点となるメタカードが他の環境デッキと違っており、1枚1枚のカードパワーが非常に高いため、相性の逆転が起こりづらい。
《天命龍装 ホーリーエンド / ナウ・オア・ネバー》と《龍風混成 ザーディクリカ》のコンボはもちろん強力であるが、《ブレイン・スラッシュ》がこのデッキの評価を支えている。
課題であった中盤のリソースと《聖魔連結王 ドルファディロム》の着地に手間がかかるという2つの問題を一気に解決してみせたのだ。
それでもTier1になれないのはやはり【青魔導具】の存在が大きい。今後の新規エレメント除去に期待するばかりだ。
赤単我我我
数年前から変わらない強さを維持し続けている現代の赤単速攻。
環境で最も安定したアグロデッキがこの【赤単我我我】、10枚以上の1コストと合計9枚の「ブランド」でほぼ全てのゲームを4ターン以内に終わらせることができる。
新殿堂の影響は特に受けていないが、【赤緑アポロヌス】に刺さるS・トリガーが【赤単我我我】には刺さりづらいことが環境での立ち位置を良くしている。
また強力なアグロデッキでありつつ、《烈火大聖 ソンクン》を使ってミッドレンジのゲームにも対応できるという側面を持っており、序盤の攻撃を凌がれた場合やクリーチャーを展開してくるデッキに対して猛威を振るう。
今回のTier表は入賞数を重視して作成したためTier2としたが、これは使用者が多くないためだと考えている。
単純なデッキパワーではTier1としていいだろう。
・Tier3
アナカラーオービーメイカー
赤青緑カイザー刃鬼
ゼーロベン
4c邪王門
赤黒テレスコ邪王門
鬼羅スター
おわりに
まだ環境が固まったという印象ではないが、地域ごとのメタは回っているように思う。関西では先週まで【赤白サムライ】が多く入賞していたが、今週からはそれに有利な【黒単アビスロイヤル】が増加してきている。環境にも構築にもどう変化を見せるのか楽しみだ。
サガが消えた今、新たな王はどのデッキになるのか。