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【スプナー・インタビュー企画】vol.8 Taka Azさん_インタビュー

音声配信アプリSpoonの配信者を1人ピックアップし、その人について深堀りするインタビュー企画。 第8回は、Taka Azさん。元々は仕事の調査で始めたというSpoonとどう向き合い、「落語」を積極的に発信していくようになったのか…その知られざる素顔に迫りました。

リアルとネットが混じり合う、
程よい温度感がSpoonの魅力。

元々、Spoonを始めたのは、配信アプリ全般のリサーチが目的で。各アプリごとに仕様が少しずつ違うので、いろいろ聴き比べしていました。その中で、一番こなれていたというか、フィットしたのが、Spoonだったというわけです。

Spoonって、ラジオっていうより、コメントで枠を盛り上げたり、枠主とリスナーとの雑談のような色合いが強いからか、他のアプリに比べて匿名性が低く、ネットとリアルの境界が曖昧で。リアルと地続きに関係性が持てる穏やかな雰囲気が、私にはフィットしていました。それこそ、一番最初に入った枠主さんとは飲みに行ったり、仲良くさせていただいてます。

調査自体は半年ほどで終わったのですが、そのまま続けて、今年の11月でちょうど3年目になりました。

…もっとも、文句なしに良い場所というわけではなく、また1から関係性を構築するのが、少々面倒くさいというものぐさな気持ちもありますが(笑)

ー元々は配信に積極的ではなかった?
そうですね。配信するつもりはありませんでした。…でも、いろんな配信者さんと仲良くなるにつれ、自分もやってみようかな、という気持ちになりました。

それでいざ、何をやろうかと考えた時に、「自分の声」を分析してみて。…それこそ、普段の声とマイクを通した後の声って、印象が違ったりするじゃないですか。だから、音源として、自分の声が活かせるジャンルは何かないかなと。

歌を歌うだとか、朗読するだとか、いろんな選択肢があって、いろいろと試したなかで、1番しっくりきたのが「落語の声」で。自分で言うのもなんですが、結構イケてたんですよね(笑)そこから、Spoonで落語を発信するようになりました。


落語デビューは、
まさかのSpoonから?!

ーあれ、落語経験者じゃないのですか!?
そうなんですよ。「上手いね」「プロみたい」なんて有難い言葉をいただくこともありますが、落語を始めたのは、そもそもSpoonと出会ってからですね。

ーそれは驚きです。
 そもそも、落語との出会いは?

ちょっと話が逸れますが、私ね、中高生ぐらいから、仏像とかが好きで。

…その流れで、狂言や浪曲、落語を、音楽聴く感覚で聴いていたんですよね。

のめり込むようになったのは「サライ」っていう付録付きのカルチャー雑誌で私が好きな落語家・桂枝雀さんが特集されていて、それを買ったことがきっかけですかね。それを機に、様々な音源を集めるようになりました。

それこそ、大学では落研(落語研究会)に入ることも考えたんですよ。ただ、「落語LOVE」が前面に出たオタク気質の人ばかりで、私には少々、濃すぎて…。入る勇気が持てませんでした(笑)

ちなみに大学では、野球サークルに入りました。元々好きだったし、身体を動かしたかったので。結果、飲み会要員でしたけどね(笑)ちなみに、それまでずっと剣道やっていましたよ。

ーキャストで上げられている落語の演目には
 選定基準はありますか?
基本は、自分が聞きたいなっていう噺を録っています。自分の好きなものをみんなに聴いてもらって、面白いと思ってもらえたら良いなと。

それこそ、落語って、大きく関西弁を使った上方落語江戸落語って二つあるのですが、私は欲張りなんで、どっちもやりたくて(笑)どちらの落語もあげてます。

元々は、オチがつくから落語というわけで、話としては笑い話が多いんですけど、怪談ものがあったり、人情ものがあったり、結構、多種多彩なんですよ。

みんながイメージするような扇子持って座布団に座って……っていうのは、江戸落語ですね。

一方の上方落語は、三味線の音を入れたり、お囃子が入ったりするわけです。元々は、大道芸みたいに外で演じられていた影響みたいですね。大きな身振り手振り、表情で笑いをとっていく様子は、相手におもろいなと思わせたらそれで勝ちみたいなパワープレイ感があって。強いエネルギーを感じられるところが好きです。

私がよく演じる上方落語の古典は、大阪弁の中でもクセの強い河内弁が多かったりして、イントネーションなど難しいところもありますが、研究していく面白さはありますね。

ーところで…演目によると思うんですけど、
  お稽古時間ってどれくらいですか?

ワーッと、口ずさんでみて、リズムが掴めたら、これでいこうっていうような形で進めています。
だから皆さんが思ってるほどは、真面目にお稽古をしてないと思いますね。

ー好きこそ物の上手なれ、ですね!
そうですかね?(笑)でも、それこそ、プロみたいに全部のセリフが頭に入ってて…みたいなことはなくて、台本を用意して収録しています。もちろん、いくつかは諳んじれますけど、私の落語はスプーンナイズドされてますね。

表情とか何か仕草とか、そういうもので表現出来ないぶん、音声により特化したというか。そこを研ぎ澄ませる意識でやっています。

もっとも、私がDVDよりCDで聴くことが多かったので、「耳で聴く落語」っていうのがしっくり来ているところもありますね。自分の好きなリズムやイントネーションが明確にあるので、自分の中の「正解」までの道のりが意外と短いのかもしれないです。

スプナーと一緒に楽しむ、
娯楽としての落語。

ーSpoonでは、キャストをあげるほかに、
 「落語」に関することされていますか?

そうですね。不定期で、2人のゲストと一緒に、稽古枠→発表会枠を披露する「三人会」をLIVE配信で行っています(※落語発表後は大喜利)。

ゲストは、大体知り合いが多いんですが、実はこちらから声をかけたことは、ほぼ無くて。
「落語に興味があるから、やってみたい」という方がいて、だったら、やってみます?みたいな形で決まることが多いです。

演目も、相談されたら提案しますが、基本は自由に決めてもらってます。傾向としては、聴き馴染みのある江戸落語を選ぶ方が多いですね。

初めのうちは、正直、キャストの方が、上手いこと編集したり、ノイズを取ったりもできて、わざわざリアルタイムでしなくても…とも思っていたのですが、実際にやってみると、LIVE配信だと、観客や日にちによって空気感がかなり違って笑うポイントがかなり違ったりして。

同じ演目、同じ演者でも、聴いてくれる人に合わせて、マクラ(※落語に入るまでの導入部分)やオチを変えたりと自由度も高くて。それこそ、日常の中で面白かった話をタイムリーに交えたりと、当意即妙にアレンジできるわけです。

ちょっと寄席っぽい側面があるわけですよ。暮らしの延長線上でやっているから、時には子どもの泣き声が入ることもありますが、そういう音はその日にしか出ない音なわけで、偶発的な部分にも面白さを感じるようになりました 。

LIVE配信の「三人会」は、何回か続けてみた体感としてSpoonでのニーズは十分にあるなとは思ってますね。

ーなるほど…。それこそ、三人会のメンバーに
   どう落語の稽古をつけたりしてるんですか?
稽古なんて、恐れ多い…。「練習枠」という位置付けでお稽古枠をやっていますが、基本、一緒に読み合わせするみたいな形です。

匙投亭七草さんみたいに社会人落語サークルに所属されている方だったら、市民講座などで場数踏んでるでしょうし、小学生相手にもうまいこと言えるんでしょうけど、ズブの素人ですから。ちゃんと教えられるなんて思ってはいません。

もちろん、あまりにおかしかったらアドバイスしますが、個人的には、その人のやってること自体が全て落語になると思ってまして。

なので、極論、すごく下手だとしても、その人のキャラクターだし、それこそが味になるんじゃないかなというスタンスでやってます。だから、筋が良いなぁと思った人に「駄目出しください」って言われたときは、ちょっと困りましたね(笑)もうすでに素敵なのに…という話です。

ーなるほどなるほど✍️
それこそ…枝雀が、「落語は緊張と緩和」って言ってて。緊張がググッとあって緩和して…というのが落語だというようなこと言っているのですが、そういうもの含め、落語は娯楽なんだと思うんですね。

日常にないと困る訳じゃないけど、あると潤うというか、人生が豊かになるものなのではないかと。…あ、最後に「Taka Azさんにとって落語とは?」みたいなのはやめてくださいね(笑)

ーあ、聞く気満々でした…( ̄▽ ̄;)
さては、安易に要約するタイプですね?(笑)
一言で端的にまとめられたら、大人として格好いいのですが、なかなか難しいですよね。

それこそ、落語を始めたのがSpoonからなので、大した活動はできてはいませんが、私きっかけで落語聞くようになりました!って言ってくれるスプナーさんがいたりして、Spoonで落語やってきて良かったなと感慨深くはなりますよね。

落語に興味持ってくれた方に対して「ようこそ、こちらの世界へ」みたいな気概もないですけど、誰かの生活の娯楽の一つとして、落語を提供できているのだったら、それはとても嬉しいことだなと思いますね。

インタビューさせてくれる人を随時募集中。配信時期は未定ですが、必ず記事にさせていただきます。お気軽にお声がけください。

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