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婚約破棄された22歳、北海道女ひとり旅①日本一しょぼいゲストハウス
定山渓のリゾバを終えたわたしはこのまま北海道を出るのは勿体無いというふうに思っていた。せっかくならと思い切って、1週間車を借り、旅に出た。
はじめに向かったのは美容院。
ずっと髪を染めたかったのだ。迷うことなく金髪にしてもらい、近くのラーメン屋さんで腹ごしらえをした。
ちょっと前のわたしだったら、1人ラーメンもしなかっただろうな。思い出やワクワクは誰かと共有したい派だった為、一人旅も未経験。
とりあえず、冬の北海道といったらという安易な思考で美瑛へ向かった。下道で3時間。
15時に札幌を出たのだが、途中ニングルテラスやここら辺ではいちばん有名だと教えてもらった唯我独尊のオムライス屋さんに寄ったので、到着は20時ごろだった。
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冬季限定で青い池と白糸の滝がライトアップされてるとニングルテラスのおばちゃんから教えてもらった為、行って見る。
ほうほうと数枚写真を撮って、今日の宿がないことに気づいた。車中泊しか頭になかったわたしは、やってみたかったし!と近くの道の駅に車を停めた。
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なんとなく。ほんとうになんとなく、道の駅に行って見ることにした。駐車場内にトイレや休憩するスペースがあり、少し歩いたところに寝静まったおしゃれな道の駅本体があった。ここ行けるのかな?と膝下まで積もった雪を必死に踏み込み、少しひらけた場所に着く。何もないかと帰ろうとした時、電柱の光が動き出す。追っていくと、クリスマスツリーがライトアップされてはしめた。おお…と思わず声が出るほど美しいツリーで、今までの人生でいちばん綺麗なライトアップだった。
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まだツリーへのトキメキが覚めないまま、車へ戻る。暖房をつけたまま車内で寝ると一酸化炭素中毒になる危険性とこのオンボロレンタカーじゃバッテリーが上がるかもと恐怖に駆られたわたしは結局暖房を消して寝ることにした。
はじめての車中泊
当たり前やろ。そう言われて当然なのだが、ダウン着てるし、大丈夫っしょ!と安易に考えていたわたしには頭を抱えるほどの寒さだった。
とりあえずある布は全部着ようとベイマックスになるまで服やズボンを着込み、靴下も5重にした。靴の中にはカイロ(たまたま2つあった)をいれ、着られなかった服は心ばかりにと体にかけた。寒すぎて2時間おきに目を覚まし、朝が恋しい一夜を過ごした。
いつからか深い眠りにつけたわたしは、鳥の声で目を覚す。あぁ〜いきてた〜。嬉しくて誰もいない真っ白な雪の上をスキップしながらトイレに向かった。
もう車中泊は無理だと学んだわたしはトイレの中で今日の宿を探す。目に留まったのは日本一しょぼいゲストハウスという文字、とりあえず予約フォームからメッセージを送った。
美瑛で検索するとどうやら有名な木がたくさんあるらしい。せっかく来たのなら有名どころも抑えたい。そう思い、木を巡って午前中を過ごした。
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なんとなく旭川に行くことを決め、ナビのいちばん初めに出てきた旭川動物園を到着地に設置した。
動物園についたのは2時。セコマで明太子おにぎりとポテトフライを食べた後、2時間ほど寝てしまった。
あとあと調べたら旭川動物園はペンギンの歩行ですごく有名だったよう。ちょっと早く行ってしまった為、歩行は見れなかったものの、他の動物園とは違って手書きの説明書きがたくさんあり、かわいいとあたたかいが揃った場所だった。大人が言ってもそうだったんだと学びや発見が多く、動物園や水族館にはあまり関心がないわたしもちゃんと楽しめた。
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今日の宿は日本一しょぼいゲストハウスは幌延町。旭川から車で3時間ほどの場所にあった。到着すると、駐車場らしき場所がない。一度聞いてみようと電話をかけると、電話の向こうからここです!!ここにいます!と声がする。どこだよと外に目をやると、運転席の窓越しに手を振る男性がいた。
日本一しょぼいゲストハウス ウタラといかん
ちょっと離れるんですけど、ついてきてください。そう言って全力で走り始めた男性に慌てて車で並走する。なかなかいい走りっぷりに思わず笑ってしまった。
宿は年季の入った古い一軒家だった。猫が2匹と他にも20代の男性が2人、居候していた。
これから温泉に行くのですが、と誘われ、片道30分の日帰り温泉に連れて行ってもらった。道中は身内話に花を咲かせている男たち。わたしは話に入れなくて、耳を傾けながら生活風景を想像した。気を遣って全部の話を振ってくれるのではなく、その人たちの生活に当たり前のように赤の他人わたしが溶け込めてるそんな感覚は物珍しくてすごく心地が良かった。