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【ヒッチハイク旅】佐賀でいちばん明るい場所

相方の友人、よりちゃんの運転でついた場所は、田んぼの中にある空き地だった。電車が走る音だけがする長閑な場所。着くなり早速、周辺にある木材やら落ち葉やらを集めて火をつける。火はあっという間に大きくなり、わたし達の冷えた身体を温めた。

まだ17時にもなっていないのに、外は暗く星が見えはじめている。

本日2回目の焚き火が始まった。

みーちゃんがくれた日本酒をヤカンに入れて焚き火で温め、熱燗の日本酒で乾杯する。少しお酒の飛んだ熱燗の香りが焚き火の匂いと混ざり鼻を抜けていく。

よりちゃんのお友達のだいちゃんも集まり、皆で火を囲んで団欒した。

だいちゃんは海苔を作っている漁師で、明日も朝が早いと、早々に席を立った。3人の全力の見送りに、窓を開けてアデューと大声で去っていくだいちゃんの車が途中大きな音を立てて、何かを踏んだことに、少し心配をしながら、見えなくなるまで見送った。

しばらくすると、聞いたことのない音を立てて、だいちゃんが戻ってきた。見ると左後ろのタイヤがパンクしている。あの音はパンクした時の音かとそこにいた全員が納得。

なんとか、持ち寄った知識で1時間ほどかけてスペアタイヤに交換し終え、2度目の別れを伝えたのが20時ぐらいだった。あとで正式な代え方を動画で見ると、何もかもが間違っていたのだが、わたし達のタイヤ交換がいちばん楽しくて、幸せな時間だった。

だいちゃんが帰った後は相方が持っていたのアイルランドのティンホイッスルと、よりちゃんがもっていたカホンと焚き火の音で演奏会が始まり、長く続いた。

暗い空に火が舞い上がり消えていく様子が儚くてこのまま夜が続けば良いと思った。燃え上がる炎を見て、ここが佐賀でいちばん明るい場所と笑う2人が愛おしかった。

時間も薪も十分に溶かして、眠りにつくのはハイエース。寝袋はあるものの、薄い鉄の板を挟んだだけじゃ九州の夜でも寒い。狭い車内に川の字になって横たわり朝を迎えた。

旅6日目、よりちゃんは寝付けず、朝5時から焚き火をして暖をとっていたらしい。お湯を沸かしてカップラーメンを朝ごはんにした。朝ごはんを食べながら、よりちゃんと相方は将棋を指していた。

コスモスの種の収穫を手伝って、その後、近くのサービスエリアに送ってもらった。

久しぶりヒッチハイクだ。目指すは熊本にある多良木町。熊本とかいたスケッチブックを掲げた。

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