何で史跡って申請多いんだろう
ちょっとWayfarerのことを書き続けて食傷気味なので、増補編は少し後で書くことにします(一応書き上げたしね)。つい先ほど、こんなツイートを見かけて「そういや何でなんじゃろ」って思ったら、色々調べだしてしまったので、書き連ねてみることにしました。
で、少し調べてみました。まずは日本博物館協会の報告書を見てみました。実は史跡・名勝・天然記念物を調べたいのですが、特に名勝と天然記念物は、海や山岳といった広大な範囲を指したり、カモシカやトキといった動物も含めるため、指定数を単純に比較しても参考になりにくいのです。
博物館の統計を見ます。P35にある「博物館の内訳」を見ると、下記のようになっていました。
総合:4.8%
郷土・歴史:59.0%
美術:20.9%
自然史・理工:8.7%
動物園・水族館・植物園:6.5%
ダントツで歴史系が多いです。ただ全国4096館のうち2258館から回答があったものだそうなので、全部ではなさそう。
次に文部科学省のリポートを見ました。こちらのP11~12に博物館の種別が述べられています。博物館・博物館類似施設の総計で書いてみます。総合計は5775館。
総合:7.43%
科学:8.4%
歴史:57.61%
美術:19.06%
野外:1.84%
動物園・水族館・植物園:5.66%
やはりダンチで歴史系が多いようです。次いで美術館が2割弱ですね。自然科学系はやや少ないイメージでしょうか。
こうしてみると、やっぱり歴史系に皆さん関心があるのかも。一番の要素は、樹木なんかは落雷などで無くなることがあるし、鉱物系なんかは範囲が何十キロにわたったりする点も大きそうです。失われやすかったり、場所を絞り切れなかったりするんじゃないかな。
あと最新の科学系の現場って、実験場だったりするから指定に向かない点も大きそう。ニュートンのリンゴ・メンデルのエンドウって(移植してた)のをどこかで見たことがあるけど、それ既に歴史っぽいですよね。
美術・芸術系は屋内展示が一般的なこと(彫像や一部の現代アートは別として)、瀬戸内芸術祭のように一箇所に集められているものも多く、人の生活の痕跡を示す史跡のような分布をしにくい点もあり、あっても(物理的な)広がりを見せないように思いました。屋内にあると、既に施設がPOIになってたら重複判定することも多いしね。
なにより、美術系統って石仏や寺院建築(教会も)と被る部分も多いので、どこからというライン引きが難しい。
結局、史跡って科学系統や美術系統も含め、過去の事象が起きた場所全般を指す(新しいものは最近だから当然少なくなる)ので多くて当然なんですね。
なーんだ。
あと、この間申請した下の画像の天然記念物などは、島の歴史的な植生についての話が相まって指定されたことが書かれてました。古くは照葉樹が多かったけど、船材や材木、燃料などに使われるうちに減ってしまった。でも元々は多かったんだよという話みたいです。
あと石見銀山だとか製鉄遺跡とかだと、自然科学系が結構食い込んでたりします。確か前者が世界遺産指定されたのって、冶金の歴史を学べる点がかなりのウェイトを占めてました。
そんなこんなで、史跡が多いんじゃなくて過去の(自然科学や美術品も)歴史全部ひっくるめてるから多いだけ、ということがわかりました。
おしまい笑