【シンガーソングライター研究会 発】不定期メンバー紹介 Vol.1 笹部智美
シンガーソングライター研究会のメンバーを一人ずつピックアップし、その方のパーソナリティと魅力に迫っちゃおう!という「不定期企画」。 決して筆まめではない我々ですが、シンソを盛り上げてくれる個性豊かな仲間にインタビューした記事をお届けします。 (インタビュアー&文責:Shallow Sea)
新潟出身の笹部智美さん(以下「ともちゃん」)。短大進学を機に大阪へ出て来て、その後、ご主人と社内恋愛の末結婚。サラリーマンの妻に憧れて結婚したはずが、次女が生まれる頃突然ご主人が「実家の和菓子屋を継ぎたい」と言い出し、現在は週6日、家業の和菓子屋を手伝いながら3人の娘さんの母親としての顔も持つともちゃん。「(主人は)三男坊なのに、騙された(笑)。」そんな話からこのインタビューは始まりました。
ともちゃん:最初からお店を手伝っていたわけではなかったけど、それが週3日くらい入るようになって、気づけば毎日くらいになっていて・・・・。だから、こうしてインタビュー受けてるんだけど、私、音楽をやる暇がなくって・・・・。朝から夕方までお店にいて、家に帰ったら家事が待っていて。
お店のこと、妻として、母としての家事もこなして日々が過ぎていくともちゃん。唯一のお休みはお店の定休日である火曜日。火曜日にふらっと出かけたり、自分自身の時間を過ごしている。
ーそんな中、音楽活動は?
ともちゃん:私は田舎育ちだから、そもそも音楽活動なんて・・・あれ?!みんな学生時代にバンドとかするのかなぁ?(逆に質問されるShallow Sea)
えびちゃん:私は母親が音楽の先生で、小さい頃からクラシックピアノと理論をやっていて、バンドは組んだりしたことはないんだけど。
さかやん:僕は高校でギター始めて、大学でバンド始めて。
ともちゃん:やっぱりそっかぁ・・・。学生時代にはそういう楽器に触れる機会がなく、周りにも多分そんな人(音楽活動をやっている人)がいなくて。あ、それこそ、私、エレクトーンを中古でおばあちゃんに買ってもらって、たまたま近くに習いに行って、小学校4,5年の時にユーミンを薦められて発表会でやって、弾くのはあんまり好きじゃなかったけど、それがきっかけでユーミンに出会えたのは良かったかも。
童謡・唱歌が大好きだったともちゃんは、楽器よりもレコードをかけながら歌うことに夢中になり、周りからも歌うことについて(田舎で誰にも聴かれなかったからなのか)「うるさい」などと止められなかったことが今の自分の原点ではないかと振り返る。
ー会社員時代にゴスペルをやっていたんだっけ?!
ともちゃん:そう、習い事で。やりたかった音楽がそこにあったの!小学校の時音楽の教科書に黒人霊歌が1つだけ載っていたの。それにすごく魅かれたっていう記憶が、どこか頭の片隅に残っていた時、「天使にラブソングを」がちょうどブームだったこともあって、「OLのお稽古事」として通いはじめたの。でも、お教室だったから、全然できていないのに先へと進んじゃうのが嫌で、多分1年ももたずにそこは辞めてしまいました。
しかし、ゴスペル教室で知り合った友達に誘われ、大阪ミナミの洋楽専門のカラオケ店(マニアック)に連れていってもらうことに。洋楽をそれまで聴いたことがなかったともちゃんは、カーペンターズの「スーパースター」を覚えてその店に訪れたという。以降、そのお店で洋楽ではなく、邦楽を色々歌っていたら、ともちゃんの歌を聴いていた他のお客さんから「あれ歌ったら」「これ歌ったら」と言われるようになり、それらのお薦め曲を歌うためにCDを買い、曲を覚え、人前で披露し、「人前で歌うってこういうことなんだ」と実感したのでした。
ともちゃん:だからその後、ゴスペルでクリスマスシーズンに京都の駅ビルやATCで歌うことになっても、なんか物怖じしなかった。
ーなるほど、こういう経験がともちゃんの堂々たる歌の姿勢を作っているのか・・・・。なんだか少し知れたような気がする。
さかやん:「水曜日の午後」っていうのは、SIN-SO AWARDSの前くらいに知った曲なんですか?
ともちゃん:何を歌おうかな?って探していて、最初キャロル・キングを歌おうかなと考えていたんだけど、なんかしっくりこなくって、ダメだダメだと思っていたところ、そういえば、昔オフコースの「僕の贈り物」とかが好きだったなぁとかって振り返っていたら、たまたま「水曜日の午後」がかかって、「わぁ、好きだ~」って思って・・・。
さかやん:僕もそれまで知らなかったんですけど、SIN-SO AWARDSで知って、コーラスとかカーペンターズに通じるところがあるなぁと感じたんですが、あれはコーラスは入れてらっしゃったんですか?
ともちゃん:ううん、あれはカラオケなの(笑)。しかも6つもキー上げて。低いところを歌ったら埋もれてしまうなぁと思って上げていったら、6個も上げることになって・・・・。
さかやん:僕もあぁいうアレンジの感じ好きなんですけど、レコーディングしたらまた別の感じになりましたよね、ユーミンみたいな、70年代みたいな。
ともちゃん:うん、全然違う。なんかね、ほんといい~!(ほのぼの)広沢タダシさんの中で、レコーディングにあたってだいぶ色々考えてくださっていたみたいで。「ノラ・ジョーンズがAORを歌ったら」・・・みたいなイメージと、あとはユーミンの「夕涼み」のあの音と質感。
さかやん:高井城治さんのペダルスチールがすごく好きです。
ともちゃん:あれね、あれが一番に録ってあって、もう音入れの時に、あれ(ペダルスチール)ありきで、「ちょっとこれ聴いて」みたいな感じで。
さかやん:ちなみに、レコーディングの時の広沢さんってどんな感じなんですか?指示とか具体的にあるんですか?
ともちゃん:うん指示は、あ、抽象的かな?例えば、
「ピアノに対して、リッチな音で」とか。
「『水曜日の午後』っていうエンディングで・・・」とか。
それをあぁかな、こうかなぁって・・・・・。
広沢さんの中では完成形ができていている中でのレコーディングだったとのこと。最終レコーディングの3日前くらいには、「もうインストルメンタルでお願いします!」と言いたくなるほどだったともちゃんも、最後はノンストレスでレコーディングを終えられたのだとか。それもこれも、最初からこのレコーディングのゴール地点をどこに据えるのかを、きちんと決めていらした広沢さんのおかげでしたとともちゃん。グランプリ副賞であるレコーディング。貴重な話が聞けた気がする・・・。
ーグランプリを取る前と、取った後で何か変化とかありましたか?
えびちゃん:例えば、レコーディングの経験も含めて何かありますか?
ともちゃん:レコーディングの経験はそれまでもあったので、緊張はそこまでしなかったんだけど、凄い難しかった・・・・。歌ってこんなに難しいのかと。1回全部がなくなる感じがした!なんか、サナギの中身がぐちゃぐちゃなのと同じような、あんな感じ。実態がないっていう感じになったのは初めてくらいだった。でもそこまで来るまでに、「もう私歌わないかも」って思ってたのにシンソに入ったのも、色んな人たちの「熱」に触れて「行動力」にも絶対影響受けてると思うし、心の中で「生きるヒント」にできればなぁと思っていた中で、もしまた表現するっていう機会があればやってみたいなぁって思っていたくらいだったの。
そんなともちゃんがSIN-SO AWARDSに応募したのは、「シンソを盛り上げなくっちゃ!みんな出ようよ、やろうよ!」という気持ちでだったとか。
えびちゃん:それは我々も一緒だったかも・・・・だから一番乗りで応募してしまった・・・(笑)
ともちゃん:びっくりだよね~、もう出したの?って(笑)。でもあぁいうのって絶対必要だよね!
さかやん:でももっと早い人いるんちゃうかと思ってた。
ともちゃん:いやあ、たいていの人は1回はね・・・(考えなおしたり練り直したりするよ・・・)あんな早いことはない(笑)。でもそれがあるからみんなヨシ!ってなったと思うよ。
「もう歌わないかも」と思ったともちゃんは、時間的な余裕もないし、シンガーソングライターではないから、例えば「シンソ合唱部」のような、何か歌うための基盤がないと参加したり動いたりできないんだと言う。しかし・・・
「歌は最大のコミュニケーションツールで、人生を明るく照らすきっかけであり、自分を成長させてくれるもの」
と実感しているともちゃんは、シンソという場所を通じて、今、さまざまな刺激をメンバーや企画そのものから受け、自身も毎週Stand.fm(ササベトモミ『日々のアレコレ』)で番組配信を行うなど着実に行動している。本人はそんなことするとは思ってもみなかったと振り返るが・・・。
大勢の中で歌うのはいいけど、実はポツンとソロとして立たされたら「どうしよう・・・」となってしまうし、人前でしゃべるのも本当は苦手だというともちゃんだけれど、歌だったら饒舌になれるし、歌が本来の自分とは、全く逆の人生をもたらしてくれると言う。友達づくりも歌を通じてだったら、同じものが好きだから「仲良くなりたい!」と思ってどんどん輪が広がるのだとか。
えびちゃん:仲良くしていただけますでしょうか?
ともちゃん:いやあ~仲良くしてください~!
一同:爆笑
えびちゃん:去年の「シンソサミットリアル」でも、そんな人前で一人で歌うのが苦手とか、全然わからなかったですよ!
ともちゃん:そりゃぁ~、あれは・・・・もうヤバいよ(笑)もうコンディションが整っていない状態?歌える状態ができてないのに、(ステージに)立ってもうた・・・・みたいな。もう危険極まりないよね、あれはダメだよ・・・。
さかやん:見ててそんなん全然感じなかったですよ(笑)
ともちゃん:いやあ~MCも逃げたしね。もっと色々自分で言えばよかった。だからね、可もなく不可もなく「無難に」っていう。
さかやん:たぶん、その(無事にやれてしまう)レベルが他の人より高いんだと思いますよ。
ともちゃん:「上手いことしゃべるよね」って言われるのって誉め言葉じゃないよね。「無難にこなしたね」みたいなのって。
えびちゃん:そうそう、私も「無難に終わったよね」っていうと、さかやんにいつも「『無難』は誉め言葉じゃないから」って言われる・・・・。
さかやん:それはほんまにそうやから・・・・。
ともちゃん:ね!そうなの、そうなの、だから何かがあって、恥ずかしくても「素の自分」が出た時の方がいいよね。
えびちゃん:ともちゃんのラジオ(スタエフ「ササベトモミの日々のアレコレ」)もめっちゃしゃべり上手だし、ほっこりするなぁと思って聴いてるよ。だから、ともちゃんはシンソのみんなから刺激もらってるって言うけど、私たちもともちゃんのラジオを聴いたりしながら刺激をもらってるし、私は絶対ともちゃんにはなれないけど、ともちゃんの声色とか、みんなに語りかけるような話し方とか学ぶことは多いよ。
ともちゃん:色んな人がいるから面白いし、広沢さんがよく言うけど、みんな目的も違うし、やりたいことも違うし、最初から「違うこと」が前提だから気が楽で。シンガーソングライターではない私でも挑戦できることがあるし、こういうのも(メンバーインタビュー企画)そうだけど、いろんなことを知れる機会っていいよね。(お互いを)知ってるのと知らないのとでは、音楽聴いた時とかも違うと思うし、近い気がするし。
さかやん:全く知らない人だけど「音楽」っていう共通のもので集まってきたメンバーっていうのがあるから、何かしら共感できるっていうのは誰に対してもあるかなって。
ともちゃん:仲良くできそう!って思う。
えびちゃん:そうそう、このインタビュー企画、ともちゃんが初回で、これからnoteを使ってシンソメンバーに色々聞いてみようと思ってるんです。
さかやん:最後に何かメッセージを(無茶ぶりさかやん)。シンソに向けてでも何か言いたいことがあれば・・・・。
ともちゃん:何だろう・・・・(困ってしまうともちゃん)
えびちゃん:例えばどんなことこれからしたいかとか、シンソでのともちゃんなりの関わり方とかでもいいし(えびちゃん助け舟)。
ともちゃん:私ねぇ、デュエットがしたいの~。
さかやん:ほぉ~。
えびちゃん:この前ね、私がね、ともちゃんに「これどう?」っておススメした曲があるの。ものすごい綺麗なハモリで、ともちゃんと合うだろうなって思って。
さかやん:へぇ~。
ともちゃん:ギターを(さかやんに)弾いてもらおっかなぁと・・・・。
さかやん:そ、それ何の話?!別にそれで何か出るわけちゃうやろ(汗)
ともちゃん:爆笑
えびちゃん:それでコンサート出るとかそんなんじゃないんだけど、「ともちゃん with Shallow Sea」みたいな・・・ほら、ともちゃん、自分で演奏したりするわけじゃないし・・・・(さかやんに事前に説明せず、女子だけで盛り上がっていた話だったので急遽説明責任を負うこととなったえびちゃん)。
ともちゃん:(笑いが止まらない)
えびちゃん:カバーで、ともちゃん主旋律で、ハモリ入れたら綺麗かなぁとかって思って・・・・。それでともちゃんに「これどう?」って聞いたら、「いいわね」ってなって・・・・。
ともちゃん:「それ何の話~?」ってね、さかやん(爆笑)
えびちゃん:ね、(さかやんには)言ってないから・・・・(汗)。
さかやん:あ、う、うん・・・・いやいや・・・ね、ご一緒してくれるなら光栄なことなので。
ともちゃん:ほんと、聞いてなかったから、何々その話?だよね。でも「なんの話?」って穏やかだよね・・・・さかやんって・・・・。
えびちゃん:うん、さかやんキレないから。同じトーンでいつも「俺はそうは思わへん」とかって、終始このトーンだから。
さかやん:笑
ともちゃん:せっかくだからそんなこともできたらね(笑)。
えびちゃん:さかやん、(ギター)プレイヤーやし。
さかやん:そりゃだって、ともちゃんは広沢さんのギターで歌ってるような方やから・・・・荷が重いわ(笑)。
最後はそんなさかやんの「寝耳に水」な話でインタビューは幕を閉じましたが、「ともちゃん with Shallow Sea」によるカバー曲の演奏の機会は、そう遠くもない未来にチャッカリとやってきて、3人は一夜限りのコラボを果たすのでした。
(その模様は、2021年5月4日放送のStand.fm「SIN-SO RADIO#14」にてお楽しみください)。
2021.3.14 大阪市内(ともちゃんのお団子屋さんの近く)にて