「思考の整理学」の長い長い要約
はじめに
外山滋比古さん著
知のバイブル
東大&京大で一番読まれた本
40年読み継がれてロング&ベストセラー
僕)もはや古典ですね、まだ読めてなかったので読みながら
主に短い要約をそれぞれの項目で書きながら、少し思ったことも書きました
Ⅰ
◆グライダー人間と飛行機人間
社会は学校信仰ともいうべきものをもっている
先生と教科書で勉強をする
独力で知識を得ることがない
グライダーのようなもの
自力では飛ぶことができない
学校はグライダー人間を生み出すことに特化している
勝手に飛び上がるのは規則違反とされる
僕)同調圧力 今の時代としては日本文化の良くないところのひとつ
自由に自分の好きなように書いていいよという論文が書けない
言われた通りのことはできるけど、自分でテーマを考えてというのが難しい
ただし、学校教育が長いと自分で考える力が衰えてくる
飛行機人間は、自分で考え、ものを発明し、発見する
グライダーと飛行機の能力はどちらも必要
グライダーで基礎を学ばなければはじまらない
この本はグライダーにどうやったらエンジンを搭載できるかを考えていく
自分で飛翔できない人間は、コンピュータ、AIに仕事を奪われてしまうかもしれない
昔の塾や道場、伝統芸能の師匠たちからのヒントがある
あえて教えることを惜しむ
不満が実は学習意欲を高めることがある
師匠の教えてくれない秘術をどう奪い取るかを考えた門徒が
新しい知識、情報を得る力をもつようになる
古代ギリシャ人が素晴らしい文化を築けたのは
すぐれた問題作成力があり、「なぜ」を問うことができかたからだといわれている
◆朝飯前
夜より朝の頭の方が優秀のようだ
まるで別人のよう
朝飯前という言葉は誤解されているように思う
朝飯前にやることは、さっと片付いてしまう、それだけ能率がいいということ
夜まで仕事をするのが、現代人であるが
朝の仕事が実は自然で、夜の人工光で仕事をするのは人間的には不自然
早起きが難しい場合
朝食を抜けばいい
食前は神経を集中させられる
8時に起きたとして12時まで4時間、仕事ができる
ひと眠りして(ふとんで本格的に)
僕)科学的には15分~30分のパワーナップが良いとされている
Youtubeなどで目覚ましつきのパワーナップ動画はいっぱいあります
午後の集中力が段違いになるようです
1日が2日になったかのよう(2度目の朝飯前)
ものを考えるのに、食べたあとがよくないことははっきりしている
体が疲れているときもそう
朝飯前の時間をいかに長くできるか
Ⅱ
◆醗酵
文学研究ならまず作品を読む
くりかえし心打たれるところがあれば、それは重要
わからない、謎のような箇所が再三あらわれればそれも注意する
それらが素材
これに少しのアイデア、ヒントが欲しい
どこにあるかは決まっていない
ときに週刊誌、他人との雑談、読書、テレビ、新聞など
どこにどうゆうおもしろいアイデアがひそんでいるかわからない
しばらくそっとする、醗酵させる、寝させる、しばらく忘れる
見つめるナベは煮えない
人は自分の解釈をつくろうとしている。つくらずにはいられない存在
醗酵には時間がかかる
熟したテーマは向こうからやってくる
それを考えていると胸がわくわくしてくるから自分で気づける
◆寝させる
寝て考えるタイプの人がいる
やっかいな問題も、次の日の朝に解決しているということがある
朝になって浮かぶ考えが優れているらしい
発見は朝を好むらしい
夜に深刻なことを考えるのはよくない、
興奮するようなメディアに触れるのもよくない
なるべく騒がず、朝を待とう
やはり、見つめるナベは煮えない
しばらく放っておく時間が必要
一晩では短すぎる場合がある
本当に大きな問題は長い間心の中で暖めておかないと形にならない
思考の整理法としても、寝ることは大切
思考を生み出すのも同じく寝させるのが必須
努力だけでなんでもできるわけではない、無意識の時間の効力にもっと関心をもつべき
◆カクテル
なぜか
ひとつだと見つめたナベになる
こだわりができてしまう、力んでしまう
のびのびと考えられない
代わりがあると楽だ
テーマの競争もできる
一番伸びるテーマを選べる
だから「一つでは多すぎる」という
独自の考え X に諸説 A,B,Cを照合する
それぞれ適度に参照しながら、新しい調和を考える
そうして独創の線がふっくらとした幹のようなものになる
すべてを認めて調和折衷させる
本当のカクテル論文。すぐれた学術論文の多くはこれ
◆エディターシップ
編集
ひとつひとつはそれほど秀でているわけではなくても
並べ方が秀逸だとりっぱに見えることがある
逆に、単独で感動したものが、いくつかのものと並べられるとそれほど感心しないということもある
全体は部分の総和にあらず
原稿を書く → 一次的創造
より大きな全体にまとめ上げる → 二次的創造
シンフォニーを作り上げる指揮者も二次的活動
ファッションデザイナー、映画、テレビのディレクターも同じ
一次的創造 → クリエイション
二次的創造 → メタ・クリエイション
カクテル式の論文は、メタ・クリエイション
どうゆう順番で並べるかが重要、もっともよい順序
絶妙なコンビネーションをつくる感覚が求められる
異質な考えを結合することで、奇想天外な考えを作れることもある
触媒
触媒反応、化学的な話からきている
一見、没個性的に見える作品こそ、大きな個性が生きる
むしろ、自分の好みを押し殺して、執筆者と読者の化合が成り立つように媒介者として中立的に機能する
第二次的創造は触媒的創造となる
無心でリラックスしているときに、おもしろい考えが思いつく
俺(発見したアイデアはメモをお忘れなく
寝させる、忘れる時間もやはり
化合→おもしろさ 新しい発想
アナロジー
あるとき、言葉は静止しているのに、文章になると意味に流れが生まれる
という疑問が浮かんだ
琴の音を聞いた時にそれが触媒となり
言葉の流れる現象と一緒に寝かせた
そして慣性の法則を思いついた
視覚の慣性
映画はフィルムの一枚一枚は静止しているが
前の残像が空白を埋め、意識せず流れを感じられる
流れを感じるにはある程度のスピードが必要
わかりにくいところでも思い切って速く読んでみた方が案外よくわかることもある。
僕(かなりの速読は想定していないと思う、意味がとれる速読
これらはアナロジーとよばれる
文書における非連続の連続を、類似の現象、映画のフィルムで説明しようとしている
われわれは、日常で絶えず伝えにくいことを説明や表現するときに、”たとえばーーーのようなもの”みたいにアナロジーを使っている
未知を理解する方法としてとても良い
セレンディピティ
思いもかけない偶然から生まれる、まったく別の新しい発見や発明のこと
寝させるのは、一旦離れたところに置いておく効果でセレンディピティをおこしやすい。
III
◆情報の『メタ』化
一次情報 自然を直接表現したもの
二次情報 より高度の抽象を行ったもの、メタ情報
さらに抽象化すれば、3次情報、メタ・メタ情報
情報は高次の抽象化へ昇華していく
思考や知識もメタ化の過程がある
同種を集めて整理、関連させて、二次的な思考、知識が生まれる
ニュースは一次情報の典型
同じ新聞でも社説はメタ・ニュース、二次情報
社説は別の読み方を要し、読者が少ない。
論文は一次情報であってはならず
二次でも昇華度は低く、三次情報である必要がある
一次情報をまとめて、二次情報にするときに発酵、混合、アナロジーがはたらく
抽象の梯子を登って、メタ化していく
抽象化を高めることで、高度の思考になり、普遍性も大きくなる。
◆スクラップ
本でも大事だと思ったところは
コピーをとって、袋?やスクラップブックにまとめておく
僕(10年日記? なんかいいアプリ探したい
切り抜けないときは赤ペンやマーキングしておく
本は切り抜けないから、コピーしてスクラップする
たまに、整理する。破棄するものを選ぶ。
ぜい肉をおとさないと、身動きがとれなくなる
◆カード法
紙切れでもいい。これはと思ったところをカードにとる。
内容を簡潔にまとめた見出しを書いておく
出典=本の名前とページを書いておく
記録した安心感が忘却を促進してくれる
忘却の重要性については後ほど
忘れようとしても忘れられない、深部の興味、関心
◆手帖とノート
何かを思いついたら、その場ですぐに手帖に書く
僕)はスマホにメモってしまいますが、手書きの方が頭に残りやすいかも
でも絶対にずっと覚えておかないといけなかったかどうかは寝かせてみないとわからないので、スマホメモでもいいかなと思ったりします
後から見直せるようにする工夫は必要
僕はGoogle Keepを使っています。いいメモアプリはたくさんあると思います。気に入ったのを使いましょう!
あとで見返したときに、光を失っていたら
惜しげもなく棄てること!
見返して、やはりおもしろいと思うものは
別のところで寝心地をよくしてあげる
ノートの出番である(特別感のある、安物でないもの)
これなら何か書けそうと思ったら、それを題材に書く
発表したら、日付と場所を書いて印をつけておく
これで、その考えの一生を終えたことになる
◆メタ・ノート
時間がたつにつれて、どんどんおもしろくなるものがある
そうゆうものは更に別のノートに移動させよう
土地のコンテクストが変われば、思考の生命は大きく変化する
見開き2ページで書く
ノートを整理して、箇条書き風に並べる
メタ・ノートに入れたものは、自分にとってかなり重要なもの
長期にわたっての関心ごとになろう
でも、毎日ながめてはいけない、ここでもしばらく頭から離してやる
Ⅳ
◆整理
これまでの教育では人間の頭脳を倉庫のように見てきた
テストは在庫検査のようなもの
忘却は敵とみなされてしまっている
コンピュータが現れたから、コンピュータ人間を作ってもしかたがない
創造的人間になろう
コンピュータのできないことをやる
新しいことを考え出す工場でなくては
よけいなものは処分して、スペースを広くしておく必要がある
整理が大事
忘却である
倉庫はコンピュータに任せて
人間の脳は知的なことに専念するのが
これからの方向性
忘却はやろうと思うと難しい
頭を忙しくしてはいけない
ガラクタがいっぱいの倉庫は困る
人間の脳は睡眠によって自然に整理もされる
朝の黄金時間が思考にとってよい、朝は整頓もされてる
情報過多の時代、不要なものがたまりやすい
たえず忘れていく必要がある
価値観をしっかりもっておくこと
でないと、大切なことも忘れてしまう。
◆忘却のさまざま
やけ酒は身体には悪いが、頭の中から有害なものを手っ取り早く出す一種の知恵、原始的で過激だが効果はある。
余程のことでない限りは使わないでおこう。
デスクを離れて、カフェに行ってみるのもいい
場所を変えると、気分も変わる
茶菓子などを口に入れることでも
頭の中にあるものを流し、整理する、忘れる効果がある
眠れない夜は難しい本をわかろうとして読めば、眠くなる
ひと仕事したら、別のことをする
長く同じことを続けていると、疲労がたまる
能率が悪くなる
リフレッシュが必要
別種の活動であれば、休憩なしでもリフレッシュできる
忘れるのには、別種のことをつなげるのが有効
学校の時間割がそれだ
また、汗を流すのも効果的な忘却法だ
適度のスポーツは脳の働きをよくする
散歩も身体を使い、忘却を促進する
足早に歩く。30分もすれば頭が整理され、
大切なことがよみがえってくる
僕(そのうえ創造的思考もできる
興味関心のあることは決して忘れたりしない
メモを迂闊にとりすぎないように
書くのに夢中で面白いことまで忘れてしまう
逆につまらないことをメモして
大切なことは書かず、忘れてはいけない、忘れたら取り返しがつかないと思うことで忘れない
◆時の試練
流行は人の目を狂わすものだ
新しい作家、作品は時の試練を経ていない
時が経てば、風化がおこる。
細部が欠落して、新しい性格になる
古典化の過程
古典は原稿のまま残ったのではなく
時のふるいにかけられ、落ちるべきものが落ちて
読者の忘却の層を掻い潜って生まれたもの
作者が自ら古典を創り出すことはできない
関所をとおって、30年、50年すると威力を発揮し始める
古典的な不動のアイデアを作り上げるには、忘却が何よりも大切
忘れ上手になろう
古典的になった興味や着想は簡単には消えない
思考の整理はいかに上手く忘れるか
◆捨てる
知識だけでは、現代においては力にならない
組織された知識でないとモノを生み出すことはできない
知識が飽和状態になったら、整理が必要になる
不要なものはどんどんすてる
ただし
時間があるときにゆっくりと行うこと
忙しいときにやってしまうと、とんでもないものを捨ててしまうことがある
価値のものさしがはっきりしている必要がある
常に在庫の知識を再点検し、慎重に臨時的なものを捨てる
◆とにかく書いてみる
気軽に書いてみる。書き出しはじめると書けるものだ
書いているうちに、頭の中に筋道ができてくる
順序の問題はあるけれど、そんなことを気にしていては書けない
全速力で走る自転車は小さな障害を越えられるが
遅く走ると、小さな石ころで転んでしまう
とにかく終わりまで書いてしまう
あとは、訂正、修正をゆっくりとできる
新しい考えをできるだけ多く取り入れながら
何度も何度も書き直す
少しずつ思考の整理が進み、思考の昇華の方法が身につく
思考は、多くのチャンネルを通すことで整理が進む
書いてみて、人に話してみてみる
長く語られてきた琵琶法師たちの集団の功績でもある
表現が鈍化されてきたのだろう
◆テーマと題名
マインドマップのように、話すことを樹形図風に整理する。
大量にあるセンテンスをまとめて、抽象化していき、最終的に一つのテーマ・題名に至る
アメリカでは論文作成の指導書に、
テーマはシングル・センテンス(一文)で表現されるものでなくてはならない」という注意がある
思考の整理の究極は、表題
◆ホメテヤラネバ
できる、できると自分にいいきかせる
行き詰ったら少し風を入れる
間違っても自分はできないんではないかなどと思ってはいけない
自己暗示は有効に働く
自分の考えに自信をもつだけでなく、他の人の考えに対しても肯定的な姿勢をもつこと
その気になって探せば、いいところは見つかる
ほめてくれる友を選ぶべき
なかなか難しいが
↑ ピグマリオン効果(教育心理学の用語で、他者から高く期待されると学習成績がアップしたり仕事の成果が上がったりする心理現象のこと。)
人とよく会っている人の方がすぐれたものを書けるらしい
よいところを見る目のない人は敬遠すること
Ⅴ
◆しゃべる
ギリシャの哲学者たちは、対話によって思索を深めた
沈思黙考は小さな袋小路におさまってしまいやすい
声で考えることは現代人にも重要
原稿は黙って書くが、読み返しは音読すること
目では見つけることのできない穴を発見できる
声は賢明なのだ
声の言い伝えで洗練さらた「平家物語」は
音読しても、とどこおることなく流麗
声で考える大切さを考えさせられる
新しいアイデアは人に簡単に吹聴しないほうがいい
ひとりで寝かせて、鈍化を待つのが賢明
詩人ロバート・グレイヴスの忠告
出版社に勤めるなら、編集より発送係がいい
創作へのエネルギーは代償行動で肩代わりされてしまいやすいということ
話し方について 知的会話
・身近な人の名前、固有名詞を出さない ゴシップに終わる
・「・・・ではないだろうか」「・・・と考えられる」といった表現がよい
創造的な話が生まれやすい
同じ専門の人間同士が話すと話が小さくなりがちなので注意
違うことをしている人たちと話すことでセレンディピティが誘発される
話しながら、声にも考えてもらうようにしなくてはならない
専門が同じ人が集まって話すと、話が批判的になっておもしろくない。
著者は違ったことをしている人たちが集まって思ったことをなんでも話すというのが良いという信念にたどり着いた
だが、同じ専攻の学者たちが何十年と創造的雑談を続けた例がある。
ロゲルギストというグループである。
名の知れた日本人物理学者のグループで、人間、自然全般にわたって多彩な話題を話した。
心の広さと温かい友情があったのであろう。
月光会(ルーナー・ソサエティー)というのもある
専門をもっていても、それにとらわれることないという特徴があった。
企業が同族で占められていると弱体化しやすいということがある。
ブレインストーミングをして、出尽くしたというところでふんばる
◆三上・三中
どうゆう場面でいい考えが浮かぶのか
中国の欧陽脩という人が言ったこと
三上
良いアイデアが生まれやすい状況を指し、
馬上(移動中)、枕上(布団の中)、厠上(トイレの中)を指す
三中
思考が形成されやすい状況で
散歩中、入浴中、無我夢中の状態
いずれも「最中」
三多
文章力を向上させるための秘訣で、多くの本を読む(看多)、多く文を書く(做多)、多く工夫し推敲する(商量多)こと
僕(AI時代に必須の能力ですね
考えるときは、
ぼんやりとする、力んではいけない
心が遊んでいる状態こそ創造的思考に適している
散歩中にいい考えが浮かぶことは、古来から実例が多い
知恵
本に書いていない知識がある。
教育を受けた人間はそのことを忘れてなんでも本に書いてあると思い込んでしまう。
老化は端末から
指をよく動かすべき、歩いたり、何か作ったり
病は気から
老人の死亡率は誕生日に近いと低くなり、誕生日が過ぎた途端高くなる
楽しみがあると心に張りができる
よく喋る人は老化しにくい
断片的な知識の大部分は耳学問
ことわざ
ことわざは、現実を理解、判断する基準になる
ものを考えるにも、ことわざを使って考えると、処理しやすくなる問題も少なくない。
現実をパターン化、記号化したものがことわざ
思考の整理法の一つ
普遍性の高い形の知恵
思考の体系化
自分だけのことわざを作るのもいい
どのみち、そのために興味関心の核をはっきりさせたい
Ⅵ
第一次的現実
第二次的現実についての情報によって作り上げられる観念上の世界がある
従来は文字と読書によって作られた世界だった
近年はテレビによって旅行したような気持ちになれる
僕)今はVRがあるからさらに現実に近づく
人はそれが第二次的現実であることを忘れる
現代人はおそらく人類の歴史ではじめて第二次的現実を中心として生きるようになった
これは精神史上ひとつの革命であるといえる
二次現実が一次現実を圧倒する現代においては
第一次的現実に着目する必要が大きく思われる
第一次的現実に根差した、生活に根差した、活力のある
知的活動には、飛行機を要する
歩きながら考えることは第一次的現実の中における思考
昨今の知的活動が模倣的、真に創造的でないことは
なまの生活との断絶が原因ではないか
仕事をしながら、生活の中で考えたことを
整理して新しい世界を創造する。
これが飛行機人間の生き方。
既知・未知
知的活動には3種類ある
既知のことを再認識する。Aとする
未知のことを理解する。Bとする
まったく新しい世界に挑戦する。Cとする
人間が未知の世界を理解できうるのはBの読みができるから
しかし一般的にAとBの区別がはっきりしていない
しばしばAだけにとどまって読書のすべてと錯覚してしまうことがある
Bには解釈が必要
わからなくても何度もぶつかって、おぼろげにわかってくるような読み方がC
漢文をいきなりよませる教育は一応これにあたる
昨今の本は親切でCの読みを必要とするようなものがほとんどなくなっている
読書の必要性については良く言われるが
多くは量的読書を指し
質的に見れば、A,B,Cの3つははっきりと別のもの
文学作品はAからBへの移行の橋渡しになる
しかし簡単には移行が行われていない
外国語の理解は、母国語に比べると
はるかにBの読み部分が多くなる
未知の理解において外国の古典の読書は有効
拡散と収斂
人間には二つの相反する能力がある
インプットした情報などを改変しよう、脱出しようとする拡散的作用と
バラバラの情報を関連付けて、まとめて、整理しようとする収斂作用
学校教育は収斂性による知識の訓練をしてきた
すべてのことに正解があるという錯覚におちいってしまう
それでは答えのない問題に立ち向かうことが難しい
収斂的思考は思考の半分にすぎず、それは受動的半分
創造的半分は拡散的思考、誤解を恐れずタンジェント方向に脱出しようとするエネルギーによって生まれる思考
独自の解釈を創り出していく拡散的読書
筆者の意図そのままで古典になるものは存在しないということはすでに述べたとおり
コンピューター
学校はコンピューター人間を育てている
しかも機械に負けてしまうコンピューター人間
コンピューターは人間がかなりコンピューター的な頭であったことを教えてくれた、だがそれはコンピューターよりも能力が劣っているということも
創造性こそ、機械の手出しできない
真に人間らしくあるためにもっとも大きなもの
これからはコンピューターができない仕事をどれだけできるかで社会的有用性に格差が生まれる
例えば赤ん坊にものごころをつける、スポーツ選手のコーチ、芸術や学問、セールスや商売などが創造的でなくてはならない仕事にあたる
僕)ここに関してはAIの進化でほぼ人間的ふるまいができるようになったときに、どうなるかはわからない