私にはわからない。
数日前、私は誕生日を迎えた。
同時に、祖父母の命日を迎えた。
だけど、私は入院中である。
ケーキを買ったり、ろうそくを灯す事もない。
一年前の誕生日に記事を書いたが、
私のかあちゃんは、耳が聞こえない。
17歳で私を産むが、父親は逃げた。
私を産んだ、その時に祖父母が、
かあちゃんの側にいて、私を愛でてくれた。
だが、その帰りに祖父母は交通事故で、
亡くなってしまった。
かあちゃんは、親戚一同に絶縁と勘当され、
産まれてまもない私を、連れて故郷を離れた。
そして、かあちゃんはもういない。
何もなく、病院のベットで物思いにふける。
今日は特別な日なんだよな…。
別に私の誕生日という訳ではなく、
かあちゃんにとって、特別な日なのだ。
かあちゃんの運命をガラリと変えた日。
私は、かあちゃんの気持ちになって考える。
病院はやる事がないから、考えてしまうのだ。
もし、私を身籠もらなかったら、
かあちゃんは、こんなにも壮絶な人生は、
送らなかったのでは、ないか。
祖父母も健在で、16歳〜17歳と言えは、
おしゃれや、楽しい事もたくさん経験でき、
なんなら、一番青春を謳歌していただろう。
故郷で、家族仲良く、暮らしていたんだろう。
うむ…私を身籠もったばかりに、
かあちゃんは、その全てを失ってしまった。
かあちゃんが生きていた時に、
もっと、色々聞いてみれば良かった。
多分、かあちゃんの性格を考えると、
私が後悔してる?と聞いても全否定するだろう。
逆に発狂して、怒り狂うだろうな…。
やっぱり、聞けないよな。
かあちゃんの人生だもん。
かあちゃんがどう思ってるかなんて、
私にはわからない。
わかりっこないよな。
かあちゃん…産んでくれてありがとうな。
かあちゃんの息子で、オレは幸せ者だよ。
今日は満月らしい。
たくさん、お話をしよう。