大垣迅平が人間性心理学を元に企業経営に挑戦した話
私大垣迅平は、「自己投資業界の心ジャンルが健康で清々しい場所となること、そして、それが次の世代に引き継ぐこと」を目標に活動しています。
この記事では、私の活動の中で、とりわけ「人材開発」や「組織開発」に取り組んできた過程を紹介していきたいと思います。
私は、大学時代に人間性心理学を深く学んだ経験から、この知識を企業経営に上手く活かせないだろうか、と模索を続けてきました。
同時に、組織のメンバーひとり一人が自己の可能性を十分に探求でき、それが組織としての成長につながる新しいモデル『ティール組織』についても研究してきました。
これらの経験や知識と研究から、自身の理想とする、組織像や人材の成長のイメージを創り上げ、それを実際に形にするべく、現在も挑戦を続けているところです。
大垣迅平が人間性心理学をどれくらい学んできたか?
大学時代、人間性心理学・トランスパーソナル心理学の授業があり、そのときの学びが今に繋がっていると大垣迅平自身は考えています。
当時、授業をしてくださったのは、イメージ(夢、箱庭、描画など)を扱う心理療法を実践・研究されている青木聡先生でした。
その他にも、フォーカシングについては日笠摩子先生に授業を通して学んだり、日本精神技術研究所のセミナーに通ったり、2009年淡路島であったフォーカシング国際学会に出席したりもしました。
また、エンカウンターグループにも何回か参加したりして、人間性心理学の知見を深めていきました。
(その他にも、認知行動療法、トランスパーソナル心理学にも強い興味を持って学んでいました。そちらの話は別途させていただきます)
この中で得た感覚が、後に大垣迅平が企業経営の模索を始めるキッカケとなりました。
大垣迅平の人間性心理学の考え方は、組織に実際に落とし込めるのか?
人間性心理学の創始者とも言われているマズローは「自己実現・自己超越」という考え方を提示しました。
様々な考え方の中で彼は「自身の可能性を充全に生きる」ことを語っています。
この考え方に影響をうけた私、大垣迅平は
「これを企業の経営にカタチにしていくには、どのようにすればいいのか」
「自身の可能性をひとり一人が十分に生かし、自己の実現を探求し続ける。これを探求し続ける組織とはいかなるものなのか」
というテーマを持つに至りました。
それ以外にも、フォーカシングで重視されている体験過程を、どのように組織に落とし込むのか、それも私、大垣迅平にとっての大きな問題でした。
現代の企業の中には、官僚制の考え方が浸透しています。
この官僚制組織のなかでは、ひとり一人が感じている体験過程は、あまり重要視されません。
それよりも「人を役割の中にはめ込む」ことで、効率よく合理的に物事を進めることが大切だとされていることが多い。
このような中で、自身の可能性を充全に生きたり、自己実現を探求したり、体験過程を重視するというのは、難しいのではないか?と大垣迅平は考えています。
大垣迅平からみる官僚制組織のあり様
現代社会の多くの組織が踏襲している官僚制組織という組織形態は、以下のように定義されています。
ここから官僚制組織のあり様をまとめると、このようになります。
縦・横に組織を区分けし
文書によって誤りのないように上から下へ指示が到達し
ルールで全体を統制し
自分が担当している範囲について、義務を課していく組織
この組織では、枠ごとに役割やルールが制定されていて、人はその任務につくこと、「枠にはまる」ことになります。
これは、ひとことで言うなら、「ポジションに人を当てはめる考え方」ということもできるでしょう。
大垣迅平は、一人一人に合った役割を作ろうとする
大垣迅平が組織を経営する中で、最初に当たった壁がこの「官僚制組織」でした。
一緒に仕事をするメンバーは、無意識に官僚制組織をイメージして仕事をしようとします。
今まで触れてきた多くの組織が、官僚制組織だからです。
上下関係のなかで、上司の立場にあたる人の指示をあおぐ。
ルールを決めて、それにしたがって行動しようとする。
判断や決定が必要なときには、上司の許可を得ようとする。
優秀で真面目なひとであればあるほど、良い企業人のあり方として、自ら官僚制の型にはまっていくわけです。
とはいえ、大垣迅平が経営に関わる会社に集まってくるのは、心に興味のある人たちです。
彼ら自身も、今までの組織での在り方とは違う在り方を模索し「自分らしく」仕事をしようと努めます。
それでも、仕事ができる人たちから官僚制の癖は抜けませんでした。
そこで、この解決策として、はじめに大垣迅平が考えたのは、「ひとり一人にあった役割をつくる」ということでした。
官僚制の「ポジションに人を当てはめる」在り方ではなくて、「人に合わせて役割をつくる」という在り方
それができれば、官僚制から抜け出せるのではないか、と考えたわけです。
最初のうちは、うまくいく兆しが見えました。
まずは、メンバーひとり一人にあった役割をつくります。
そして、役割で分けることができない余った仕事はというと、手の空いているメンバーが進んでやってくれる中で、すべての仕事がうまく回っていきました。
しかし、ここで大垣迅平はもっと大きな壁にぶつかりました。
大垣迅平がぶつかった壁「職能が高機能すぎる」
それは「人に合わせて役割をつくる」こと自体が、会社の成長のボトルネックになっていたのです。
それもそのはず、人に合わせて役割をつくる場合、これを担う人は最低でも下の4つの条件を満たさないとできません。
・仕事を設計できる能力があること
:「人に合わせた役割をつくる」ために、そもそもの役割自体の設計ができる力が必要になります
・マネジメント能力があること
:ある役割を生み出すと、それに関わる役割の人との調整などを行なったり、仕事の管理をしないといけません。それをマネジメントする力が必要になります
・その仕事を熟知していること
:役割としてつくりだす仕事の内容や、難易度、時間数など様々な面から仕事を理解していないと、役割をつくることは難しいものです
・その人自体を理解すること
:人ごとに役割をつくる必要があるので、個々人の特性や、得意とする業務や機能などを見極める力が必要になります
ここまでであれば、とても優秀なマネージャーさん、人のことを大事にしようと十数年頑張ってきているようなマネージャーさんであれば、何とかできる範囲でした。
しかし、それに加えて「人に合わせて役割をつくる」ためには、以下の能力も必要になります。
・利益性の理解力
:ひとつひとつの仕事が、コストに対して、収益性がかなっているのかを検証する
・経営に関する力
:経営全体上、確かにコストをかけるだけの収益性を持てるのかということを理解する力
これらすべての条件を満たすのは、経営やマネジメントの経験、人に対する知見の深さを兼ね備えた経営者レベルの人材ということになります。
そうなると、大垣迅平が関わる会社でこの役割を担えるのは、当初から「人に合わせて役割を生み出してきた」大垣迅平ひとりということになりました。
そして、ここがボトルネックになって、会社の成長が止まるという事態が見えて来たのです。
この過程で分かったのは、「ひとり一人に役割をつくる」方法では、官僚制ではない形で組織を成長させることは難しかったということです。
しかし、多くの人がそこで生計を立てている以上、会社を止めることはできません。
かといって、既存の官僚制組織を採用することにも違和感がありました。
そこで、暫定的な対策として、会社のなかで、より人間性を大切にして、自由を許容できる枠組みや仕事を設計していきました。
たとえば、会社に関わるメンバーは、はじめに会社全体の情報を把握したり、その文化を理解していく必要があります。その際の教育を仕事と合体させてOJTを作っていきました。
この方法をつかって、ほとんどの仕事を教育と組み合わせたOJTという形にして、自己成長の機会へと、変質させていく。
そうすることで、ひとりひとりが考えて模索できる形をつくっていこうとしたのです。
そして、この形を作っていくために、会社が生み出している利益をほとんど使う覚悟で、大垣迅平は新しい組織の在り方を模索してきました。
個性を活かして仕事をするための大垣迅平の模索
新しい組織の在り方を模索する中で、大垣迅平は、仕事の機能ごとにキャリアを4種類にわけました。
その4種類は、以下のような分け方です。
判断するという仕事
専門性を高めていく仕事
人材を活かしたり、育んでいく仕事
チームを活かしたり、育んでいく仕事
この4つの教育の中で、さらに個人の可能性を活かせるように、キャリアを仕分けていきました。
このフェーズが終わったら、できるだけ早く、自分が属しているビジネス全体のメカニズムや有機的メカニズムを理解していくフェーズに入ります。
自分が属しているチームを熟知しているメンバーや、経営レベルで活躍している人たちが関わり助言をもらいながら、自分の可能性の模索もしながら進んでいく。
ここまでくると人は自分で考えられるようになってきます。
そして、適切なタイミングで自分の個性を活かした役割に行きつけるように、個別カウンセリングを提供していく。
このようにして、それぞれが自己の可能性を実現するというルートを、大垣迅平はつくっていったわけです。
これは現在、大垣迅平が関わる会社にて高い確率で成功させることができています。
ただ、ここまでの体制をつくることに、会社のほとんどの利益を投資するという事態になりました。
しかし、大垣迅平はこの時点でやめるつもりはありません。
これからさらに、実現しようと動きはじめていることは、以下です。
・組織をティール組織に変貌させていくということ
・メンバーひとり一人が自分で自分の役割を模索できるようにすること
ティール組織に存在する有機的なメカニズムを、大垣迅平が経営で関わる会社の中にも導入していこうとしています。
自分の可能性を実現できるぴったりのキャリアを”与えてもらう”のでは、個々人のリソースの3分の1程度しか使えていないというのが、大垣迅平の実感です。
残りの3分の1は仕事をする人自身が、自ら模索するという中にあります。
そして最後の3分の1は、今まで「仕事を提供する側だった者」と「仕事を与えてもらう側だった者」が対等になる、という形で、相互に模索していく中にあると大垣迅平は考えています。
つまりこれは、ティール組織の本質である「マネジメント専門の職種をなくしていき、セルフマネジメントに切り替える」という意味でもあります。
これによって、メンバーひとり一人は、もっと自分の可能性を模索できるようになる。
また、マネジメント業務が消失することによって、マネジメントにあたっていた優秀な人材が、より自分の可能性に注力できることになります。
同時に、マネジメントする側、される側という構造が生み出していた不必要なコストがなくなりことで利益性が高まる、という方向を大垣迅平は模索しています。
とはいえ、今はまだ模索過程です。
現段階では、大垣迅平が経営で関わる会社は、人を大切にした結果、収益性が落ちるというような状況だということは否定できません。
通常、強い官僚制の体制を持ち、人の個性よりも合理性を重視する企業においては、少し人のことを大事にすることで人からモチベーションが得られて、収益が上がることもあると思います。
しかし、元から人を大切にしている企業が、さらにそれを深めていった場合、それはコスト増加を招き、場合によっては、収益性を低下させ、企業の利益を食いつくすという事態になりかねません。
けれど、この先に、より人の可能性が組み合わさることによって、収益性が飛躍的に増加するというようなゾーンがあるのではないか、というのが大垣迅平の考えです。
そして、これを解決することは、社会にとっても大きな課題を解決することに繋がると、大垣迅平は考えています。
日本トランスパーソナル学会常任理事 大垣迅平(監修)
そのほかの大垣迅平のシリーズブログはこちらです
↓ ↓ ↓
【大垣迅平の活動ログ】
大垣迅平の今までの活動、これからの活動の報告をしていきます。
新しいプロジェクトが生まれたら、ここで記事を掲載しつつ、別にブログを作り始めます。
【大垣迅平のティール研究室(ティール意識経営者・ティール組織)】
大垣迅平が「ティール意識水準」のありようを多角的な視点から模索し、探求していきます。ティール組織・ティール組織への教育等を仕事に活用し、よりよい世界にしていく方法を研究していきます。