急いて、急かへん。 吉岡里帆×岸田繁(くるり)
J-WAVE UR LIFESTYLE COLLEGE
(パーソナリティ:吉岡里帆・ゲスト:岸田繁)文字起こし
放送日:2018年2月18日(日)18:00~19:00
文字起こし箇所:オープニング・ゲストトーク・クロージング
(後日、J-WAVE YOUTUBEチャンネルにUPされた動画を参考に編集部分を加筆)。
吉岡:吉岡里帆がお送りするUR LIFESTYLE COLLEGE、今日のゲストはくるりの岸田繁さんです(喜)!先週ですね、この番組でくるりさんの新曲『その線は水平線』を全国初オンエアいたしました。今日はその新曲のお話を中心に、ずっとお会いしたかった岸田さんへ聞きたかったことたくさんたくさんうかがっていきたいと思います。そして、後半はGOOD LIVING COLLEGE。今回は風呂敷文化研究家のつつみ純子さんにお話を伺います。
♫ Peter Bjorn And John “Young Folks”
■長い旅を経てようやく着地した新曲をめぐって
吉岡:吉岡里帆がお送りしていますURライフスタイルカレッジ、今日お迎えしたのは、くるりの岸田繁さんです!こんばんは!
岸田:どうもこんばんは~!
吉岡:よろしくお願いしますーーーーーーーーーーー
岸田: よろしくお願いしますーーーーーーーーはい、よろしくお願いします(照)。
吉岡:やっと・・・!やっとですよ。
岸田:え?
吉岡:本当に長い闘いで。
岸田:長い闘い。
吉岡:本当に岸田さんと、
岸田:はい。
吉岡:ちゃんとお会いして
岸田:はい。
吉岡:来ていただいてお話をするというのは、この番組が2016年に始まってもう
ずっと岸田さん来てくれないかなあってディレクターの方とお話をしてたので噛み締めてトークをしたいと思います
岸田:ちゃんとしたトークをしたことがないので、いままで(笑)
吉岡:早く帰れるように頑張りますね。
岸田:ぜんぜんぜんぜんもう、ゆっくり居座って。
あのぶぶ漬け出されても帰らないように。
吉岡:ありがとうございます(笑)
そんな私も大好きな京都の街と音楽に関わる岸田さん。くるりの新曲が!
岸田:はい。
吉岡:今日本当にちょっと、これはカメラ目線で言ってもいいですか?(カメラ目線で)今日ですね、皆さん!
新曲が、このJ-WAVE UR LIFESTYLE COLLEGEで、今日この日私が大好きな岸田さんが初めての曲を私の前で披露・・・ああ、披露というか発表してくださるということで、本当に私の人生にとって大事なひと時です。
岸田:・・・なんか、あんま好きやなかったら、微妙な反応しといてくださいね。笑
二人:(爆笑)
岸田:「ああ、そうですか~」みたいな。
吉岡:「ああっ、そうですか」(笑)
というわけで、今月21日にリリースされます。タイトルは『その線は水平線』。もうタイトルが、もう好きですもん、私。
岸田:『その線は水平線』ですか? 笑いません?何か。
二人:(笑)
岸田:なんのことですかみたいな。
吉岡:ゆるいな~っていう。
岸田:そうなんですよね、はい。
吉岡:今回はどんな思いで。
岸田:これはね・・・新曲と言いつつ、2010年ぐらいかな?2009年か10年ぐらいにツアー中にポロンと作った曲で。で何回かちょっと録音しようと思って録音したんですけど、
吉岡:はい。
岸田:なんかうまいこといかへんかって。放置をしていた曲なんですけど。
吉岡:そのうまくいかないっていうのはどういう意味でですか。
岸田:なんかこう作ってる途中で、「なんかちゃうな」みたいな感じになって、完成を見ずに、まあ二度ほどチャレンジしたんですけど、なんか二回とも「う~ん」ってなって、まあそういう曲ってたまにあるんですよね。で、なんか悔しいじゃないですか。
吉岡:はい。
岸田:で、何回も録音しようと思うんですけど、だんだんそういうのってうまくいかへん曲として、こうトラウマになってくるみたいな感じになってたんですけど。
吉岡:はい。
岸田:あ、なんかいけるかもと思って録ってみたら、「ま、こんなもんか」と思ってこう録れたんで。
吉岡:着地したと、
岸田:はい、着地しました、ようやく。
吉岡:はあ~(嘆息)。
私は心から嬉しいです。あの、岸田さんの新曲がここで聴けるなんて。
岸田:ありがとうございます。光栄です。
吉岡:では、聴いていきたいと思います。
そうですね、では曲送りお願いします。
岸田:あ、「紹介」じゃなくて「送り」? あ、曲紹介ですね。
吉岡:曲紹介お願いします。
岸田:はい、ええと、くるりの新曲です。『その線は水平線』。
♫ くるり 「その線は水平線」
その線は水平線
新しい靴履いて
時代を飛び越えろ
荒らされた土を踏みしめて
働いたぶんだけ
陽の光浴びればいい
脳ミソは関係ない
当たり前の愛を貫けよ
太陽はさんさんと
染みたれた涙乾かして
その線は水平線
大きな大きな水たまりだよ
飛び込んでしまえよ
どこにも行かないさ
どこにも行けないの?
落ちてゆく流星群
真昼の空はとどこおりなく
夜のイメージを
孤独なあなたのそのやさしさを
消さないで
そのままじゃ勿体ない
いつくしみも感じない
目の前に大空が
口を開けて待っているから
飛び込んでしまえよ
どこにも行かないさ
どこにも行けないの?
少し歯をくいしばってよ
幸せのオンパレード
明るさをかもしだしてよ
その秘密教えてよ
君の前では笑顔でいたいの
轟けよ夏のよう
肌からはやさしさを
地に足をつけ走れ
まなざしは闇を切りさいて
■そう、ピュアって感じ
吉岡:聴いていただいたのは、くるりで『その線は水平線』でした。
岸田:はい。
吉岡:いや~(嘆息)たまんないです。
岸田:あ、まじですか?ほんまですか?
吉岡:はい、すっと染み渡りますね。
岸田:ありがとうございます。
吉岡:本当に、なんかもう水みたいですね。
岸田:うん。
吉岡:もう私、前もくるりさんのことが大好きなアーティストさんだったり、役者だったり、いろんな人たちがコメントを届けるっていう企画に参加させていただいたんですけど、
岸田:あの時はありがとうございました。
吉岡:その時もこう「補水液のようなんだ」っていう話をして。
岸田:言うてくれはりましたね。
吉岡:なんか体がこう、いつどんなときに体に浸透してきても、いつでも心地よく、いつでも何の濁りもなく入ってくるっていう。本当にその気持ちにやっぱり毎回させられるんですけど。やっぱり新曲を一番に聴けるってこんな嬉しいことないです。ちょっと泣きそうなくらい嬉しい。嬉しい~~!!!!やばいです!!!!
岸田:(高い声で)俺も嬉しいです!!!!
吉岡:やっぱ、メロディもそうですけど、歌詞が・・・。岸田さん、本当にTwitterとかでも、こう何か直接的に言っているわけではないんだけれど何かを感じるだったり、こう原色がないんだけれども色味を感じるとか、そういうのがくるりなんだ、って仰ってたんですけど、
岸田:はい、読まれてんねや。すいません。
吉岡:なんか、本当にその通りで、言葉自体にも物凄いパワーがあるんだけど、だからって直接こうなんだよって押さえ付けるんじゃなくて、捉えた人、聴いた人たちが自分の人生だったり、自分の日常生活に当てはめて聴ける「余白」と言いますか、なんかそういうのすごく感じて。私、もう好きな歌詞いっぱいあるけど、やっぱり今すごい頑張んなきゃって思ってる時期だから、この最後の「地に足をつけ走れ まなざしは闇を切り裂いて」っていう、このまっすぐな、なんか裸足で駆け抜けているような人がわぁっと頭に思い浮かんだり、なんか真っ裸な感じがすごくしました。
岸田:うん
吉岡:はい
岸田:すごくサウンドとかも、いま結構やっぱりきれっきれいにしてしまうの流行ってるので、なんて言うんですかね、フォトショップで加工するみたいな感じって言うんですかね。
吉岡:はい。
岸田:音もこうピッチを合わせたりとか、リズムを揃えたりとか、で、もちろんやるべきことはやってるんですけど、そのMIXんときとかも、「普通はこうやるよね」っていうことをかなりやってないんですよ。あのコンプレッションって言うんですかね、いわゆるこう音圧を上げるためにドンっとかけたらバシッて固まるみたいな。
吉岡:はい。
岸田:そこじゃないんです。はい。裸ですね。はい。
吉岡:本当に、ピュア。
岸田:ピュア。
吉岡:ああ、そうピュアって感じ。
岸田:僕がピュアなんじゃなくて、本当はみんなピュアなんですけれど、
吉岡:ふふふふ。
岸田:なんかこう、自分がピュアになることがひとつのメッセージにもなるっていう風に思っていて。とにかくこう、人、ピュアな人を見て「ピュアだな」って思うことってあると思うんですけど、「自分がピュアであるっていうことを見せないとな」っていう風におじさんながら思うんです。
二人:(笑)
岸田:おじさんになったから思うのかもしれないです。(笑)
吉岡:ああ、反対に。
岸田:もしかしたら。
■一番新しいものが一番いいという思い込みからの解放
吉岡:あのどういうタイミングで、2010年、11年ごろのときに一番初め頭に思い浮かばれて、そして今回レコーディングされて、着地されて、こう、どういう経緯でって言いますか、どういう思いがあってこの曲を作ろうと思われたんですか。
岸田:うーーーん、正直に話していいですか?
吉岡:もちろんです、なんでも聞きたいです。
岸田:新曲を書くのが、邪魔くさかったからです。
吉岡:すごい理由来た。(笑)
二人:(爆笑)
岸田:いや、ほんまにそうです。あの、曲って
吉岡:はい。
岸田:アーティストの皆さんって、まあいろんなアーティストの方いらっしゃいますし、たとえば僕の、えっと、大学で教えてる生徒さんとかは毎日曲を作ってくるんですよ。
吉岡:はい。
岸田:すごいいっぱい作るんですよね。
吉岡:はあ~(嘆息)
岸田:出てくるもん、若いから。まだ20歳ぐらいやし。なら、その一番自信のある曲を、一番いい曲を提出しなさいってことを言ってるんですけど、常に新曲が自信あるんですよね。やっぱり一番新しいものが彼らにとってリアルですし、
吉岡:はい。
岸田:一番新しいものこそが正しいみたいな風になってるんですけど、冷静に考えたらもちろんその新しいものっていうのは、その最新のモードですけども、ちょっと整理して置いといたもんっていい感じに熟成したりとか、あとは常に新しいものに向かって成長していく、人は成長していくんですけど、
吉岡:はい。
岸田:曲っていいのとそう大したことないのと、あるじゃないですか。なんかどうしても、後から聴いたら。
吉岡:はい。
岸田:まあ、それを考えると、まあいっぱい作っといて冷蔵庫の中に入れておいた方が賢いんちゃうかと思って。(笑)
吉岡:(笑)
岸田:っていうことを最近思ったんです。あの、くるりはずっと「一番新しいのが一番いい」って思い込んでやってきたんですけど。
吉岡:はい。
岸田:最近その、やっぱり同じようにこう昔作ったけど録らへんかった曲とか結構あって。ほんならいま、今朝作った曲より全然良かったりするんですよ。
昔はそれを「ああ、僕ももう年とって才能が衰えてきたんやな」と思うようになって。そう思うと不安やから、そういう気持ちに蓋をしていたんですけど、最近そういうのどうでもよくなってきて。
吉岡:ああー(驚嘆)
岸田:なんかいつでもいい曲作れるし、いつでも大したことない曲も作るから、それやったら昔のいい曲をこう・・・。
吉岡:出して解凍して・・・。
岸田:うん、出して解凍して・・・。
吉岡:あっためて食べてみよっかなって。
岸田:そうそうそうそう。そうすることによって、新しい曲を頑張って書かないといけないっていう重荷から解放されて。
吉岡:なるほど。
岸田:イェイ!ってなれるんです。楽できるって。(笑)
吉岡:(笑)
岸田:絶対楽した方がいい。(笑)
二人:(笑)
吉岡:では、そのほかもたくさんお話聞いていきたいんですけど。
岸田:はい。
吉岡:岸田さんセレクトの曲をお送りしたいな、ということで。
岸田:はい、あ、いいですか。
吉岡:はい。
岸田:ちょっとゲーマーやったんで、影響を受けたゲームのなかの曲で、僕すごい好きな曲なんですけど。
吉岡:はい。
岸田:えっと、すぎやまこういちさんという作曲家の書かはった曲です。演奏は東京都交響楽団で『のどかな熱気球の旅』。
♫ 東京都交響楽団 『のどかな熱気球の旅』(すぎやまこういち作曲)
■変わらずに好きなもの
吉岡:岸田さんも影響を受けたと言われているすぎやまこういち先生の作曲ですけれど、どういうところに惹かれましたか。
岸田:なんか気球が好きで、乗んのは怖いんですけど、これはドラゴンクエストというゲームのなかで気球に乗っているときに流れてる曲なんですけれど、あの、あんまり僕その乗りもんに乗るときとかにイヤホンで音楽聴いたりしないんですけど、絶対ゆっくりとした乗りもんに乗ってるときは必ず、それは徒歩のときもそうですけれど、頭の中に自動的に音楽が流れるんですよ。
吉岡:ほぉー(驚嘆)
岸田:で、僕こう気球くらいの速度感で、いろんなこう、たとえばヨーロッパだったりとか、ちょっと寒いとことか、砂漠とかの風景を見たいな、みたいな妄想ばっかりしてて。
吉岡:はい。
岸田:で、ドラゴンクエストにはそういうシーンがあるんで、とてもこの・・・この気球に乗ってるときは敵とか出てこないんですよ。
吉岡:はい。あ、安心。
岸田:そう、ちょっと安心やけど、なんか曲もちょっと不安定な。
吉岡:はい。
岸田:なんかその感じがすごい好きで。
吉岡:うーん、なるほど。
岸田:いろんな曲があるんですけど、その僕意外とこういうオーケストラとかクラシック音楽が好きで、もともと好きなんですけど。
吉岡:はい。
岸田:そこに至る、至ったのは、すぎやま先生のこのドラクエの曲が好きやったというのは、すごいでかいですね。こっから割とのめりこんでいって。うん。
吉岡:じゃあ、ある種この道に引っ張って行ってくれたような・・・。
岸田:そうですね。あの、まあそのあと僕はロックバンドを始めるんで。
吉岡:はい。
岸田:ロックに夢中になっていくんですけど、でもやっぱり好きなものには抗えないんで、いまやっぱり自分の書く曲ってどんどんこっち(クラシックやオーケストラ)に寄って行ってるんで。
吉岡:ああ、やっぱり戻っていくんですかね。本当に好きなものに。では好きなものは変わらない?
岸田:変わらないです。
吉岡:ずっとここにある。
岸田:うん。
吉岡:URライフスタイルカレッジ。今日はゲストにくるりの岸田繁さんをお迎えしています。この後も引き続き、よろしくお願いします。
岸田:よろしくお願いします。
■岸田さんが住んでいた街
吉岡:URライフスタイルカレッジ。吉岡里帆がお送りしています。今日はくるりの岸田繁さんをゲストにお迎えしています。よろしくお願いします。
岸田:(脱力したゆるい感じで)よろしくお願いいたします~。
吉岡:あはは(笑)。では、これまで住んでいた街で、思い出に残っている場所はありますか。
岸田:えっと、京都以外やと、東京に長く住んだことがあるんで、最初は羽根木って言うんですかね、東松原とかの方ですか。
吉岡:はい。
岸田:そのあと、世田谷の宮坂にいて、宮坂長かったんですけど。
吉岡:はい。
岸田:その辺はすごい好きでしたね。世田谷神社ってのが近くにあって。
吉岡:はい。
岸田:あの、土俵があるんですよ。
吉岡:ほう。
岸田:神社の中に。奉納相撲とかする土俵があって。その土俵らへんで、僕『ばらの花』って曲を作ったことが。
吉岡:(思い出したように)ああ(感動)。
岸田:なんか飲みもん買って・・・。
吉岡:そうだそうだ、私そこに行きました。
岸田:あっ、まじですか。そこでこう、しゅわっとする、そのジンジャーエール飲んで。
吉岡:はい。
岸田:久しぶりに飲んだんですけど、「まずっ」って思いながら。(笑)土俵のへんで、歌詞を書いてました。
吉岡:すごい・・・行きました、行きました。
岸田:すごいいいところでしたね、世田谷。
♫ くるり 「ばらの花」
■好きなものが明確な人の部屋
吉岡:京都に戻って、あの拠点を移されて半年くらいって伺ったんですけど、ご自宅ってどんな雰囲気なんですか。
岸田:自宅ですか?
吉岡:はい。
岸田:自宅はもう・・・普通の家ですよ。(笑)
吉岡:(笑)
岸田:・・・ちょっと見ます?
吉岡:あっ、いいんですか。
岸田:うん。めっちゃ汚いですよ、ほんで。僕、自分の部屋の・・・(スマフォで写真を探しながら)これでもまだきれいなほうなんですけど。最悪ですよ。まあ、これが僕の部屋です。
吉岡:すごい量の本ですね!ええっ・・・もう本、本、本、キーボード、本、本、音楽の機器、レコード・・・。ここで作られることもありますか?
岸田:いやーもうたまに、そのどうしても仕事しないといけないときはここでやるんですけど、あんまり僕家で仕事できないですかね。
吉岡:お話だと、こう移動中とか。
岸田:はい。
吉岡:散歩してるときとかに思い浮かばれることが多いって聞いたんですけど。
岸田:はい、そうですね。
吉岡:(岸田さんの部屋を一言で)言いますと、もう「好きなものが明確な人の部屋」ですね。
岸田:ああ、そうですか。
吉岡:すっごいわかりやすいというか・・・。
岸田:ああ・・・。
吉岡:もう本当に好きなものしか置きません、みたいな。
岸田:なんか、アーティスティックな間接照明とか、なんやろ、なんかのオブジェとか、豊かな生活っていうんですかね、そういうのすごい憧れるんですよ。憧れるんですけど、どうやってそうなるのかがわかってないんで。(笑)
吉岡:(笑)
岸田:本当、できないです、僕には。(笑)
吉岡:だから、本だらけになっちゃうんですね。
岸田:本だらけになったりとか、ものをこう捨てられなかったりとか。
吉岡:あーーー。
岸田:それでも断捨離みたいなん、せなあかんことあるやないですか。
吉岡:はい。
岸田:そういうときにやりすぎてまうんですよね。
吉岡:捨てちゃいけないものも捨てて・・・。
二人:(笑)
吉岡:あ、あれ捨てたらダメだって。(笑)ちょっとわかる気が。
岸田:そうそうそう(笑)そうなんですよ。だからちゃんとしたいんですけど、全然ちゃんとしないんで、はい。
■お出汁だけは・・・
吉岡:では、いま暮らしの中であったらいいな、欲しいなって思うものってありますか。
岸田:あの、部屋に匂いがこもらへんような・・・結構飯の匂い付くんですよ。こう、もうちょっと優秀な換気システムを・・・。
吉岡:あれとか、どうですか。焼き肉屋にある、上からごおおおって。(笑)
岸田:ああ、ホシザキキッチンみたいなね。ああいう、レンジフードみたいなやつでしょ。あれも回してるんですけどね・・・。
吉岡:あれじゃ間に合わない。
岸田:そうですね、出汁とか取るんで。結構こう(匂いが)。
吉岡:あ、ラーメンを作られる・・・?
岸田:ラーメンはそんなに作らないんですけど、こう普段飯を作ることが多いんで、うーん、なんかお菜っ葉たいたりとか。
吉岡:かわいい・・・「お菜っ葉たいたり」(笑)。久しぶりに聞きました。「お菜っ葉たく」って言いますよね。
岸田:はい。お菜っ葉、週3回くらい。(笑)
吉岡:(田舎を思い出しながら)おばあちゃーん・・・(笑)
岸田:お味噌汁とかも作るんで、お出汁、僕あんま顆粒使わないんですよ。割と真面目にお出汁はとる方なんで。結構壁に付くんですよね、匂いが。
吉岡:わかります、わかります。もう絶対鰹節の量とかもすごい量使うじゃないですか。あれで匂い絶対つきますよ。
岸田:かなりケチるんですけど、俺。鰹節は。
吉岡:鰹節ケチっちゃだめですよ。
岸田:ケチっちゃだめですよね。
吉岡:絶対ダメ!!
岸田:ね。
吉岡:これだけは物申します!!
岸田:ですよね。おっきい方のザルでやらなあかんでしょ。
吉岡:はい、それが嫌なんですね。
岸田:僕小さいほうのザルにきゅって詰め込んで、にぼし3本入れて・・・(笑)
二人:(笑)
岸田:混ぜて、ケチなんです。(笑)
吉岡:生活感・・・。(笑)
岸田:生活感がねえ、なんかねえ。すぐなくなるやないですか。袋のやつってね。業務用のやつとか。
吉岡:そうですね。
岸田:だからもう買いもんも邪魔くさいから、結構こうケチ臭い話ですけど、少ない、できるだけ少ない鰹節でっていう風にやってもうてるんですけど、さすがの、やっぱり吉岡さんに言われたってことで。
吉岡:もう岸田さんのこと大好きですし、
岸田:ありがとうございます。
吉岡:ほとんどのことを全部プラスに受け止められると思うんです、岸田さんのやることなすこと。
岸田:ありがとうございます。
吉岡:(でも)お出汁だけは・・・
岸田:はい。
吉岡:鰹節たっぷりの方が絶対おいしいです(大声)
岸田:明日からちょっと・・・。
二人:(笑)
岸田:大量購入して(笑)
吉岡:うるさいって言って(笑)
岸田:いやいや、もうでかいほうのザルでね。取ってみます。
吉岡:おいしいお味噌汁作ってください。
岸田:はい、そうします。
■急いて急かへん~岸田さんが大事にしている言葉(感覚)
吉岡:では最後に、私がずっと聞きたかったこと。岸田さんにとって、すごくこう大事にしている言葉って何ですか。
岸田:大事にしている言葉。
吉岡:はい、私はやっぱ岸田さんの音楽を聴いていて、ものすごい量の言葉たちに救われ、安心させられ、こう愛情深い気持ちにさせられ、本当に言葉にたくさん救われてきたので、そんな岸田さんが大切にされている言葉って何だろうって。
岸田:・・・いっぱいあると思うんですけど。
吉岡:はい。
岸田:あえてその、京都出身の方なんで、京都っぽい言い回しで言いますけど。
「急いて急かへん」っていう。
吉岡:わあーーーー。
岸田:言葉というより、感覚ですかね。あの、これって直訳しにくいんですけど。
吉岡:ああ、わかります。でもそれ今の自分にすごい突き刺さります。
岸田:(恐らくスタッフから意味を聞かれて)うん。まあ、「急ぐけど急がへん」みたいな・・・。
吉岡:ことではあるけど・・・。
岸田:ことではあるんですけど、もうちょっとふわっとしたメッセージですもんね。「あんたあれやし、なにしとき」みたいな感じですよね。
吉岡:ああ、そうです(笑)。「とりあえず、あれしとき」っていう。
岸田:はいはい。
吉岡:すごいなあ。私今すごいたぶん生き急いでる感じなんですよね。
岸田:うん。
吉岡:生活の仕方も、仕事の仕方も。全部。人とのコミュニケーションも。これじゃだめだと思うし、これじゃもう付いていけなくなる日が絶対来ると思って焦っちゃう、苦しくなる日があるから。すごい刺さります。「急いて急かへん」。
岸田:「急いて急かへん」ね。なんかこう、「絶対あの人ってああですよね」みたいなんて、悪い意味で使うこともあると思うんですけど、いい意味で早く人が諦めてくれるのがいいなって思うんですよね。「ああ、あいつもああやからいいや」みたいに許されたいなって。
吉岡:ああーーー。
岸田:(笑)
吉岡:いやもう、許されてるじゃないですか。
岸田:いやいや、んなことはないですよ。
吉岡:きっとわからないですけど、いまたぶんたくさんのくるりファンの方たちが聴かれていると思うんですけど、きっと皆さんいつくるりさんと触れても、いつでもそこに確かなくるり、確かな岸田さんを感じるからずっと大好きだと思うんですよ。
岸田:ああ、もうそれは・・・(感謝)
吉岡:私も本当に、いろんな、すごい旅をされるから、いろんなエッセンスが混ざって本当にどんどんどんどん新しい曲になってくけど、やっぱり変わらない何かを感じるんですよね、すごい。どんなに新曲をいくつ出されても。今日もそれを本当に感じましたし、「ああ、なるほどな」とすごくすとんと腑に落ちました。
岸田:あ、そうですか。
吉岡:そしてやっぱり憧れちゃいます、そんな生き方に。
岸田:僕も憧れます。(笑)
吉岡:(笑)
いいですね、忘れないです。「急いて、急かへん」。
岸田:「急いて急かへん」。
吉岡:今日は、いろんなお話をありがとうございました。
岸田:ありがとうございました。
吉岡:最後にもう一曲。くるりの曲をお送りしたいのですけど。
岸田:はい。意外な曲を選んでいただいてありがとうございます。僕はすごい好きな曲なんですけど。
吉岡:ああ、本当ですか。私もすごい考えて、岸田さんが「私が好きな曲を流していいよ」っておっしゃってくださったので。この曲にしました。
岸田:ありがとうございます。
吉岡:『太陽のブルース』。
今日はくるりの岸田繁さんをお迎えしました。ありがとうございました。
岸田:ありがとうございました。
♫ くるり 「太陽のブルース」
■番組最後の振り返り
吉岡:今日のゲストは、岸田繁さんでした。本当に念願叶い、やっとお会いしてお話できて本当に幸せな時間でした。そして今回はですね、新曲を初めてURライフスタイルカレッジで紹介させていただけるということで、感慨深く、そして、感謝感謝の思いです。ええ、皆さん、特にくるりファンの方たち、本当にこのような大役をさせていただきありがとうございました。皆さんのもとに届いたこの新曲『その線は水平線』。もう私は大好きな曲です。たぶん今日からまたリピートして聴くんだろうなって思うんですけれど、冒頭で「その線は水平線 新しい靴履いて 時代を飛び越えろ 荒らされた土を踏みしめて」こんなフレーズがあるんですけれども、くるりっていうバンドは本当にどんどん進化して、新しいもの取り入れて、本当に旅をするように音楽を作られている。そんな印象を受けるんですけれど、何も変わらない大事な部分だけがその中にあれば、何者にでもなれるし、どんなものに変わっていっても、怖いものなんてないんだなって、そんなこう勇気付けられたような気持になりました。そして、岸田繁さんのひとつひとつの言葉や、いで立ちや、話すときの柔らかさなど、どれをとってもやっぱり大好きなんだなって実感しました。本当に今日は来ていただいてありがとうございました。そんな岸田さんとの写真がアップされています。番組ホームページやツイッターもぜひチェックしてみてください。では、UR LIFESTYLE COLLEGE、また来週お会いしましょう。ここまでは、吉岡里帆がお送りしました。「急いて急かへん」。明日からも自分のペースで、一歩一歩進んでいきましょう。素敵な一週間になりますように。
文字起こし文責:
今の気持ちを繁くんに代弁してもらうbot中の人(@qskmouthpieceme)
後日、J-WAVE YOUTUBEチャンネルにUPされた以下の動画を参考に編集部分を加筆しました。2018年6月28日
https://youtu.be/2uZZOBFO53M