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"過集中"という力―WAIS-IV知能検査を受けました
はじめに
先日、WAIS-IVを受け、その結果のフィードバックをいただいてきました。
WAISは日本文化科学社が発行している心理検査の一つで、IQや発達障害傾向を特定するための専門的な検査です。
現在、全体的な知的能力や記憶・処理に関する能力を測るテストとして世界各国で使用されています。
心理学科生の時代に受けたことがあるような…ないような…というぼんやりとした記憶。
ですが今年の目標のひとつに、徹底的な自己理解をするということを掲げている私。自身の得意、不得意をあらためて認識するために、そこそこのお金を払って検査を受けることを決めました。
受けた日のこと
検査を受けるため、近くの駅のクリニック(普段通ってるクリニックとは同じ系列だけど別の場所)へと向かいました。
過去に一度カウンセリングを受けに行ったことがあるのですが、その時の先生はご退職されたとのことで、今回は全く初めましての先生にお世話になることになりました。
検査の内容自体はあまり喋ると学習効果に繋がってしまうため伏せますが、なかなかの集中力が求められます。そういえば昔は検査実施側でお試ししてたから、受検側ははじめてかも? 記憶にないだけかな? なんて思いながら、長い時間が過ぎ、1.5時間ほどで終了。
結果の報告は2週間後ということで、その日はクリニック近くのラーメン屋さんで遅めの昼食を済ませて帰宅しました。
結果フィードバックの日
朝から大雨、外に出るのも憂鬱なびしょ濡れの地面を歩くことに。
途中のフレッシュネスバーガーで昼食を済ませ、いざ結果フィードバックへ!
意気込みすぎて予定より30分ほど早く到着し、担当してくださる先生の出勤よりも早くなるという羽目になりました。ごめんなさい、先生!
フィードバックの結果
フィードバックセッションは、担当の先生と対面で行われました。それぞれの分野での得点や傾向を教えてもらいました。
全検査IQ:116
言語理解指標:119
知覚推理指標:97
ワーキングメモリー指標:114
処理速度指標:127
各能力は以下のような内容です。
言語理解(VCI)
語彙やことばで説明する力などを測る指標です。また、「結晶性知能」と言われるこれまでの経験や学習が土台となる知能も測られます。
ことばでまとめたり説明したりすることが得意で語彙も豊富です。いわゆる「勉強ができる人」はこの指標の得点が高くなる場合があります。
知覚推理(PRI)
知覚推理は、目で見た情報を踏まえて論理的に物事を考える力を測る指標です。また、「流動性知能」と呼ばれる新しい情報への適応に必要な能力についても測ることができます。
この指標の得点が低いことは「論理的な思考が苦手」とは必ずしも言い切れません。考えるのにゆっくり時間をかけるタイプの人も、この指標の得点が低くなることがあるためです。
ワーキングメモリー(WMI)
耳から入った情報を短時間記憶にとどめたり、その情報を頭の中で整理しながら考える力を測る指標です。
この指標が高い人は、聞いた情報を頭の中で整理して考えることが得意です。
処理速度(PSI)
目で見たものを書き写すなど、単純作業を素早く、正確に行う力をはかる指標です。目で見たものを短時間覚えて書き写すなどの作業をスピーディに、正確に行うことが得意という場合があります。
たとえば、黒板やホワイトボードに書かれた内容を書き写したりすることなどがあります。
https://www.kaien-lab.com/faq/2-faq-diagnosis/wais-iv/
先生のお話をまとめるとこんな結果になりました。
全体的に高めだが、知覚推理が他と比較すると差が出ている。時間の制約がある中で、視覚情報や聴覚情報を咄嗟に処理して状況把握することが苦手。
時間制約があると、他の高い能力でも発揮できていない時があるのかも。
目からの情報を論理的に処理することが苦手。(複雑なものだと余計に)
視覚からの情報処理が苦手なの、なんとなく自覚はあったんですよね。人の顔を覚えられなかったり、些細な変化に気がつかなかったり(前髪切った?とか全くわからない)。
でも先生曰く、これもひとつの「短時間で求められる視覚情報の処理」らしいので、苦手であることがありありと数値でも証明されました。なるほどなー。
ケアレスミスは過集中のせい?
高得点の分野についても触れてみます。
自分では日頃からケアレスミスが多いと感じている(実際、誤字脱字が非常多い)。それなのに処理速度が高いことが意外でした。
先生はすごーくここのところ褒めて下さったんですけどね。自分ではなんでだろう?とあまり納得できず。
で、これについて先生にお尋ねしたところ。
> 「環境要因やプレッシャーがケアレスミスにつながっているかもしれませんね。また、能力が高い分短時間でエネルギーを使いすぎてしまっている傾向があります。いわゆる過集中の状態に陥りやすい、ということですね」
ここで目から鱗が落ちる。
そう、集中できないわけじゃないんですけれど、「疲れるから意図的に集中しないようにする、集中力を使う作業を避けている」という傾向は確かにあるな…! と思いました。
なるほど、あの疲労感は過集中から来るものだったんですね。先生からはペース配分を出来るようになって、過度に集中しすぎないような環境を作ることが大事だとアドバイスをいただきました。
自分に向いた環境
今回の結果を経て、自分にあっている環境ってどんなものだろう? と先生と一緒に考えてみました。
時間的な制約があまりない、焦らせられない
具体的、抽象的な思考が求められる
言葉を使ったり人とコミュニケーションを取りながら作業、業務を進められる
特に普段からプレッシャーを感じやすい私にとっては、一番上の項目は非常に重要とのこと。
そういえば、私はこの手の心理検査や適性検査が好きでよく受けているのですが、自律性を強く求めている結果になることが多々あります。
もしかしたら、無意識に他人のペースに合わせることを避けて、自分のペースで進めることで過集中状態を避けようとしていたのかもしれません。
発達障害傾向
ずっっと気になっていた、というかメインはここですね。ASDはさておき、ADHD傾向は世間で語られているものとかなり合致している自覚がありました。
結果としては、「該当するかしないかならしないけど昔はしていた、今は社会性を身に着けたことで落ち着いた状態」だそうです。
前述の過集中もADHD傾向の一つであるらしいですね。今の自分に多動傾向はないと思うのですが、集中力の欠如=意図的に集中する状況を避けている、という見方はやはり適切なものかもしれないなあ、と感じました。
フィードバックを受けた後の感想
最初は少し驚きましたが、先生の優しい語り口もあってか納得がいく部分も多く、非常に有益な情報を得られたと感じました。
今の仕事の話(といっても休職中なのですが…)や、環境の話、復帰に際しての不安な話などもお話し、とりあえず「今年一年はゆっくり休んで、来年から元気に復帰できるようになろう」という観点が得られました。
この観点を得るまでの先生のカウンセリングがまた妙なもので、傾聴がとてもお上手な先生だったんですね。
ここ最近はキャリアコンサルタントの授業で傾聴姿勢の特訓をずっとしているのですが、お手本のような伝え返しと頷き。話しやすい雰囲気作り、というのも真似していきたいなあ…というなんだかずれた感想を持ち帰ることになりました。
まとめ
適性検査や心理検査の類は、わたしは骨格診断やパーソナルカラー診断などと近い分類をしています(もちろん医学的な利用をされることもある、という点では大きな差がありますが)。いずれも、「自分の特徴を知って強みを活かすヒントを得るツール」になるはずなので。検査結果を通じて、自分の新たな一面を発見し、今後の方向性を明確にするヒントを得ることができました。
とはいえ、興味がある方はぜひ一度受けてみてください!というにはややハードルが高い領域かもなあ…という感想です。けれど、自分のことを客観的に見てみたい!という方がいたら、思い切って楽しむつもりで受けてみてもいいのかもしれません。
今度は無料で気軽に受けられる検査なども紹介できるといいな、と思っています。