踊るのが大好きな気持ちを忘れない

今、朝ドラ「ブギウギ」を毎日の楽しみにしている。
笠置シヅ子がモデルで、今は鈴子が少しお姉さんになってOSCで修行の日々を送っている。
趣里ちゃんがとってもチャーミングだし、朝から蒼井優のダンスが見られるのがさ…うれしいよね…

私は小学2年生から中学3年生までバレエを習ってた。上手ではなかったけど、踊ることが大好きだった。
母の知り合いの娘さんが習っていたことや、プリンセスに憧れてロマンチックなものや綺麗なものが好きだったのでバレエにも当然興味が湧いてた。
小学校に入ってから少し太り始めていたので、運動もかねて母が教室を見つけてくれて通い始めたな。
習い始めてすぐは、身体もかたいし痛いし動かないしなんか地味だし、もっとなんかひらひらのプリプリキラキラなんじゃないんか…?と思ってたな。
初めて発表会でチュチュとサテンのバレエシューズを着たときは心がときめいたな…。バレエメイクも地味な顔の自分がとっても美人になったみたいで嬉しかった。顔を小さく見せるために、うぶ毛を先生が描いてくれるんだけどそれはお姉さんクラスにならないとやってもらえないので憧れてたな。初めて描いてもらえた時は、ガラケーで自撮りしたな…。
発表会で本部校のお姉さんたちがトウシューズを履いて妖精やお姫様の踊りを踊ってて、私も絶対トウシューズ履きたい!!と思うようになって、でも通ってる分校では床がトウシューズ用じゃないからということで3年生ぐらいから本部校に通い始めた。
それからは、トウシューズを履ける日を夢見て練習に打ち込んだ。
とはいえ、怠惰でシャイな性格の私だから家でストレッチするわけでも練習するわけでもなく教室でも人目が気になって上手じゃないのに場所とっちゃよくないかなと遠慮したりしていた。人より始めたのが遅いのだから、気にせず練習しなよ!!と今なら思うけど、上手な人が踊ってるの邪魔しちゃいけないかな…とか、考えちゃうんだよね………!
そんなこんなで、5年生の時にやっとトウシューズの試験に受かって履かせてもらえることに。
それからは一層練習に励むようになったな。

ところで、バレエはお金がかかる。
月謝は月5000円〜1万円、教室維持費、エアコン代(半年に1回)、発表会に出るなら出演料、チケット代、衣装代、会場代、先生へのお礼、諸々でかなりの額になる…。
ということを小学生の私は全くわかってなかった。
豊かではない家計を圧迫し続けていた。父は私には言わないけどお金がかかりすぎるから反対していたし、姉も自分はずっと我慢させられていたし(それでもこの人はこの人で塾という投資をしてもらっていた)けど、母は応援してくれた。父に無理を言って口論や大きな争いになったりかなり苦しんでいたけど私がバレエを続けたいとわがままを言ったから、すごくがんばってくれていた。母も、今はバレエ習わせて私も楽しかったよ!と言ってくれている。
私がバレエを習わなかったら、才能もないのだからとっととやめていれば、無駄な争いも生まれなかったし貯蓄もできただろうし、もう少し家族の中の亀裂が深まらなかったのではないか…と大人になった今は思う。
でも、私は踊ることが大好きだった。バーレッスンも、ピルエットもグランジュテも発表会の先生のオリジナルの振付も古典バレエも、愛していた。
学校で友達が少なくても、バレエをやるには小太りだから少しバカにされていても、早めに教室に行って柔軟して踊り始めたらそんなことどうでもよくなった。
ブギウギで、スズ子が「わて、歌って踊ることが大好きですねん!」って高らかに宣言したり、練習場で舞台に立つ日を夢見てお稽古するみんなを見ると涙が出てしまう。コンタクトがずれてしまう。

中学に入ってコンクールに挑戦して、橋にも棒にも掛からなかった時、私は絶望した。みんなは予選に通過できたのに、私はそれすらもできなかった。
落ち込んでいたら先生からコンクールは通過点だから、これからもがんばってとメールをもらったことは忘れない。でも、ああ私って才能ないんだ〜家にお金もないからバレリーナどころかバレエ教室で働くのもダメだなと、自分を見切ってしまった。
3年生の途中でバレエをやめて、塾に通い始めたけど結局志望校には行けなかった。高校では部活に入って今でも仲のいい友達もできたし、志望の大学に行けた。そこで知り合った人たちと今でも交流が続いてる。でも、就職は失敗した。今はバレエとは一切関係のない夢のない現実しかない環境で薄給で働いている。もちろん、就活を一生懸命やらなかった私が悪い。自分のことを知って、もっと合うところに行けばよかったのだ。今からだって行けばいいのだ。でも、私にはなにもない。人付き合いも、数字を管理する能力も向上心もない。かといって、お給料いらないから夢の世界にいたいわけでもない。お金の大切さは身をもって知った。大人になったらまたバレエを習いたいな‥と思ってたけど、今の勤務形態ではそれは難しい。あと太ったし。身体も硬い。このまま死ぬのかな、と思うと、じゃあずっとバレエだけやらせてもらっていた方がずっとずっと私にとってはよかったんじゃないか…?と思ってしまう。
でも、バレエを続けていたら今のような人を思いやる気持ちや教養はなかった。10年間で失ったバレエは大きいけど、得たものもたくさんある。
ずっと同じところで就職してから3年間ぐるぐるしている。
私がバレエを大好きだった気持ちは無くならない。
またいつか、踊りたいな。バレエ、大好き!