見出し画像

新記紀アマテリヲン 其の伍 (エヴァンゲリオン二次創作小説)

其の零はこちら

「ピピッピピッピピッ」赤い受話器がランプを点滅させて鳴った。其の右にセットされたカードリーダーにカードを通し、制服組の一人が赤い受話器を取る。
「分かりました。予定通り発動致します。」

戦車内部に映る画面では怪物をロックオンしているが、怪物は山の奥の方に歩いて行き、山に隠れて徐々に姿が見えなくなってロストした。其の瞬間、怪物に群がっていた戦闘機達は蜘蛛の子を散らすように怪物から全速力で離れていった。

青い車の助手席からミサトが乗り出して双眼鏡で其の様子を見ている。助手席に座っているシンジの顔にミサトの胸が当たっていた。
「ちょっとまさか、Nツー地雷を使うわけー?!伏せて」
ミサトはそう言うとシンジに覆い被さるように車内で伏せた。
山の奥から少し光が漏れた直後、辺りは大きな光に包まれ、怪物のいる地点では大きなエネルギーの柱が立った。少し遅れて爆音が届き、少しの間をおいて熱風が放射状に広がる。其の熱風の勢いは凄まじく、ミサトとシンジを乗せた車を吹き飛ばした。転がる車の内でミサトはシンジを抱えて守っている。轟々と燃え盛る炎。
「やったー!」
制服組の一人は半分声が裏返りながら立ち上がる。制服組のもう一人が座ったまま冬月とゲンドウのいる方を振り返り冷静に
「残念ながら君達の出番はなかったようだな」
と言った。
「衝撃波、来ます」
とオペレーター。
ゲンドウと冬月は黙ったまま画面を見ていた。ゲンドウは相変わらず白手袋に覆われた手を顔の前で重ねている。

いいなと思ったら応援しよう!