常連の話

中学1年の頃からずっと通っている床屋さんがある。もう、俺の床屋はずっとここでいい。俺の髪の毛を整えてくれるのはこの店以外にありえない!と常々感じるほどこの店のことが気に入っている。マスターの親父さんの腕がいいのだ。俺とマスターの会話はほとんど事務的なもの。どうぞ。長さどうします? 短くお願いします。(マスターが鏡を見せ仕上がりを確認させる)これで大丈夫です。〇〇円になります。ありがとうございました。ざっと思い出せたのがこのくらい。本当に雑談らしい事は一切しない。俺も髪を切ってもらっている間は目を瞑っている。そのまま眠ってしまい、こっくりこっくりする時もある。そんな床屋での時間を十数年近く大切にしているのだ。特に俺が好きなのは漫画バーテンダーが置いてある事だ。床屋関係なくね?wって思うが、このバーテンダーという漫画、接客業に大切な心構えがしっかりと書かれていることに最近気付き、これを本棚に置いてるこの店、マジトラストと改めて実感したわけだ。(漫画バーテンダーの感想に関してはまた後ほど) 話が逸れてしまったが
こんな中1の頃から現在に至るまでずっと通っているのに関わらず、俺自身、店の中でどういう扱いなんだろう?的な疑問を持ったことがある。要するに自信がなかったのだ。これほど長い年月、この店で過ごしていたのに。そんなある時、俺は財布を忘れてしまった。金がねぇ!! 飲食店なら食い逃げ。床屋ならなんていう言葉なんだろう?と呑気な事が頭に思い浮かびながらも、俺は必死に家からお金取りに行ってきます!!たんぽ?になるか分からないけど、俺のスマホ店に置いてきますんで!!と普段俺が見せないテンションで捲し立てたのだが、マスターは、一言。

次来た時でいいよ。

ああ、俺は。

すでに常連になっていたんだ...

(この後家にダッシュで戻りしっかり後払いした)

とまぁ、この話はこれで終わり。
俺はテレビの某番組を利用して叶えたい目標=夢があるが、もしその番組に出演することになったら、ぜひこの店で髪型を整えていきたいと確信している。
髪を切って1ヶ月後くらいの俺が好きなので
収録日の1ヶ月前に髪切りをお願いして
マスターに自分から初めて話しかけようかな

「今度、テレビに出ることになったんすよw」

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