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ウジョとソナ 独立運動家夫婦の子育て日記

『ウジョとソナ 独立運動家夫婦の子育て日記』
パク・ゴヌン/著
ヤン・ウジョ、チェ・ソナ/原案
神谷丹路/訳
里山社/出版



「国や民族の幸福のために努力しながらも、けっしてそのために個を犠牲にしてはならない。全体は個でなりたつが、個なくしては全体はない」
革命家というと、命や家族を顧みない無鉄砲なイメージがあったが、この日記の登場人物は違った。戦火が渦巻いていても、家族のささやかな喜びを噛み締め、生きようとする。祖国のため、子どもたちの未来のため。

日本による韓国「併合」中(1910-1945)、独立を志した亡命政府「大韓民国臨時政府」があった。そのメンバー、ヤン・ウジョとチェ・ソナ夫婦が1938年7月4日から1946年4月29日までに記した、娘の成長と20世紀のアジアの動乱。舞台は亡命先の中国。日中戦争の最中、大挙する日本軍から逃れるため、無差別空爆をギリギリで避けながら北へ北へと逃げる人たち。死と隣り合わせの時代に宿った無垢な2人の子ども。彼らを通して、20世紀の日本を知る。

私たちが学校で習った歴史は、日本ないしは西洋からの目線でしかない。侵略した側であって、された側の記憶を知らない。軍国主義だった日本が、近隣国にはどう映っていたのか。垣間見える一冊だ。

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